2017年(平成29年)の新ゴム消費予想量

2017(平 29).1.20
日本ゴム工業会
2017年(平成29年)の新ゴム消費予想量
この予想は、主要製品(業種)別に検討された当年の新ゴム消費予想量をもとに、
当会で策定したものである。
ゴム工業での消費予想量
 2016 年のゴム工業における新ゴム消費量は、国内自動車生産の低迷や中国の
過剰設備問題による成長鈍化、資源関連の低迷等の影響を受け、前年を下回る
水準で推移した。
 この結果、自動車タイヤおよび自動車向けを中心とした工業用品とも国内生産
はマイナスとなり、年間では 1,285.1 千トン、前年比-2.7%と 5 年連続で減少
の見込みとなった。
 過去最高の 2007 年との比較では 76.6%の水準となっている。
 なお、2017 年は 1,293.2 千トン、前年比+0.6%の予想である(表-1)。

表-1 ゴ ム 工業における 新ゴ ム 消費量
2015年
( 27年)
2016年
( 28年)
2017年
( 29年)
( 実 績)
( 見込み)
( 予 想)
消 費 量 ( 千トン)
1, 320. 7
1, 285. 1
1, 293. 2
前 年 比 ( % )
94. 8
97. 3
100. 6
(注)本表の消費量は 2016 年末に策定された各業種団体等の予想および経済産業
省統計の実績(1~11 月)を基にとりまとめている。
-1-
主要製品別の新ゴム消費の内訳は、表-2のとおりである。
表-2
主要製品別の 2016 年の新ゴム消費見込みと 2017 年の消費予想
( 単位: ト ン )
製 品 別
2015年
2016年
2017年
( 27年)
( 28年)
( 29年)
( 実 績)
タ イ ヤ 類
前年比 ( 見込み) 前年比 ( 予 想)
前年比
%
%
%
1, 071, 840
94. 4
1, 041, 060
97. 1
1, 043, 810 100. 3
自動車タ ・ チ
1, 057, 570
94. 3
1, 027, 060
97. 1
1, 029, 110
100. 2
14, 270
98. 5
14, 000
98. 1
14, 700
105. 0
231, 090
96. 5
225, 700
97. 7
230, 790
102. 3
ゴ ム ベ ル ト
23, 740
90. 9
22, 050
92. 9
21, 960
99. 6
ゴ ム ホ - ス
35, 180
98. 8
34, 480
98. 0
34, 290
99. 4
172, 170
96. 8
169, 170
98. 3
174, 540
103. 2
17, 770
97. 9
18, 340
103. 2
18, 600
101. 4
1, 100
101. 9
1, 180
107. 3
1, 180
100. 0
16, 670
97. 7
17, 160
102. 9
17, 420
101. 5
1, 320, 700
94. 8
1, 285, 100
97. 3
1, 293, 200
100. 6
その他のタ イ ヤ類
工 業
用 品 類
その他の工業用品
そ の 他 製 品 類
ゴ ム 履 物 類
その他のゴ ム 製品
ゴ ム 製品計
(注)①タイヤ類はJATMA統計による。 「自動車タ・チ」には運搬車タ・チ、フラップ・リムバンドを含み、
「その他のタイヤ類」には、更生タイヤ用練り生地(経済省統計)を含む。
工業用品類およびその他製品類は経済産業省の生産動態統計をベースとし、その他製品類の
「その他のゴム製品」には 当会のゴム引布部会統計をもとにした引布を含めている。
② 工業用品類のうち「その他の工業用品」は、防振ゴム、各種パッキン、スポンジ製品、
ゴム板、ゴムロール、防舷材、ゴムライニング等とする。
③ その他製品類のうち「ゴム履物類」は、ゴム底布靴、総ゴム靴等とし、 「その他のゴム製品」は
運動競技用品、医療衛生用品のほか、ゴム引布、家具・家庭用品、事務用品等とする。
-2-
主要製品別の当年の新ゴム消費予想の内訳:
(1)タイヤ類(1,043,810 トン、前年比 100.3%)
 自動車タイヤ・チューブ
新車用は、国内自動車生産が前年を若干上回ると予測した。
市販用は、夏用タイヤ、冬用タイヤともにほぼ前年並みと予測した。
輸出用は、前年並と予測した。
以上を総合して、当年の自動車タイヤ・チューブの生産は、新ゴム量ベース
で 1,029,110 トン、前年比 100.2%と予想した。
 その他のタイヤ類
 更生タイヤについては、サイズの多様化やトラック・バス用タイヤ需要の
伸びにより、前年を上回ると予測した。
 その他についても需要増が見込まれるため、全体では新ゴム量ベースで
14,700 トン、前年比 105.0%と予想した。
(2)工業用品類(230,790 トン、前年比 102.3%)
 ゴムベルト
 主力のコンベヤベルトは、国内需要で 3 割強を占める鉄鋼・セメント向け
で大きな伸びが期待できず、輸出も海外需要の好転が見込めず、前年並
(微減)と予測した。
 また、伝動ベルトは、国内需要の半分を占める自動車向けで、若干の減少
を見込むが、輸出は 2%増と予想し、合わせて前年比ほぼ横ばい(微減)
と予測した。

以上を総合して、当年の生産は、新ゴム消費量ベースで 21,960 トン、
前年比 99.6%と予想した。
 ゴムホース
 ゴムホースは、自動車用ホース(新ゴム消費量ベースで 67%を占める)につ
いて、四輪車の国内生産を横ばいとみ見込むが、中国需要が、小型車減税に
よる前年 10-12 月の特需の反動があり、若干減少すると予測した。高圧用
-3-
ホースは、国内での公共工事の増加で建設機械需要でプラスを見込むが、
海外需要は回復待ちで若干のマイナスとした。その他用ホースは、公共
工事関連で増加するが、大口径ホース等は前年並みと予測した。

以上により、当年のゴムホース全体の新ゴム消費量は、34,290 トン、前年
比 99.4%と予想した。
 その他の工業用品
 その他の工業用品について、防振ゴムは、主要な需要先である自動車の
国内生産が回復傾向にあり、新車投入に伴う市場の活性化や新規の受注等
が見込まれ、+3.0%と予測した。また、パッキン類は、自動車用、医療・
建設用などで増加が見込まれ、+2.9%と予想した。スポンジ製品は、主力
の自動車向け等での増加を見込み、+5.4%と予測した。ゴムロールは、製
鉄用や製紙用で従来の傾向が続き前年並みと見込まれ、印刷用で活字離れ
やデジタル化、樹脂素材へのシフトなどの影響から減少し、前年比-4.0%
と予測した。ライニングは主要製品である化学工業用、水処理用、電力用
で横ばいないしは若干の増加が予想され、+2.0%と予測した。防舷材は、
国内需要が民間設備投資や港湾整備事業の推進などで、民需・官需ともに
増加すると見込まれることから+4.9%と予測した。ゴム板は、オリン
ピック関連やリニアモーターカー関連の需要盛り上がりへの期待もあり
+1.6%と予測した。
 以上を総合して、その他の工業用品での新ゴム消費量は 174,540 トン、
前年比 103.2%と予想した。
(3)その他製品類(18,600 トン、前年比 101.4%)
 ゴム履物

ゴム履物は、布靴ではスニーカー・ブームや海外旅行者の購買需要が一段
落したが、為替による価格競争力向上や高機能品の認知度アップによる
需要増に期待し、前年並みの 1,180 トンと予想した。
 その他のゴム製品
 その他のゴム製品について、医療衛生用品は国内市場、海外市場とも
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引き続き販売増が見込まれ、+4.0%と予測した。運動競技用品は、球技用
ボールで増産の見通しだが、ゴルフ用ボールは前年に増加した反動もあり
-0.7%と予測した。また、ゴム手袋は、作業用、医療用などで需要が安定
しており、前年比で横ばいとした。ゴム引布は、ほぼ前年並みと予測した。
 以上により、全体では、新ゴム消費量で 17,420 トン、前年比 101.5%と
予想した。
(付)ゴム工業における天然ゴムと合成ゴムの消費割合
 2017 年のゴム工業における新ゴム消費量 1,293.2 千トン(前年見込み
比 100.6%)のうち、天然ゴムと合成ゴムの消費内訳は、天然ゴムが 667.3
千トン(同 100.6%)、合成ゴムが 625.9 千トン(同 100.6%)の予想である
(天然ゴムの使用比率は 51.6%)(表-3)。
表-3
ゴム工業における天然ゴムと合成ゴムの消費内訳
( 単位: 千ト ン )
2015年
( 27年)
2016年
( 28年)
( 実 績)
( 見込み)
2017年
( 29年)
前年比 ( 予 想)
%
前年比
%
天 然 ゴ ム
677. 0
663. 1
97. 9
667. 3 100. 6
合 成 ゴ ム
643. 7
622. 0
96. 6
625. 9 100. 6
1, 320. 7
1, 285. 1
97. 3
1, 293. 2 100. 6
51. 6 +0. 3
51. 6 ±0. 0
合 計
天 然 ゴ ム の
使用比率( %)
51. 3
以
-5-
上
<参 考 ①>
ゴム工業とゴム工業以外での新ゴム消費量:
( 単位: 千ト ン )
2015年
( 27年)
2016年
( 28年)
( 実 績)
( 見込み)
2017年
( 29年)
前年比 ( 予 想)
%
前年比
%
ゴ ム 工 業
1, 320. 7
1, 285. 1
97. 3
1, 293. 2
100. 6
ゴ ム 工業以外
265. 2
264. 5
99. 7
260. 0
98. 3
1, 585. 9
1, 549. 6
97. 7
1, 553. 2
100. 2
合 計
<参 考 ②>
1.四輪車の生産台数:
2015年
( 27年)
2016年
( 28年)
2017年
( 29年)
( 実 績)
( 見込み)
( 予 想)
生産台数 ( 千台)
9, 278
9, 158
9, 239
前 年 比 ( % )
94. 9
98. 7
100. 9
( 注)
2016年の見込みおよ び2017年の予想台数は、
一般社団法人日本自動車タ イ ヤ協会の見通し 数字によ る 。
2.2017年度の主要経済指標の対前年度増減率:
実質国内総生産( G D P )
1. 5
実質民間最終消費
0. 8
実質民間企業設備投資
3. 4
鉱 工 業 生 産 指 数
2. 7
為替レ ート ( 円/ド ル)
111. 5
( 注) 「 平成29年度の経済見通し と 経済財政運営の
基本的態度」 ( H 28. 12. 20閣議了解) よ り
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