表面弾性波デバイス用ランガサイト型結晶 の開発および電気的特性評価 (13650346) 平成13年度-平成14年度科学研究費補助金(基盤研究(C) (2) ) 研究成果報告書 平成15年3月 研究代表者塩幕忠 (奈良先端科学技術大学院大学物質創成料学研究科教授) 表面弾性波デバイス用ランガサイト型結晶 の開発および電気的特性評価 (13650346) 平成13年度-平成14年度科学研究費補助金(基盤研究(C) (2) ) 研究成果報告書 平成15年3月 研究代表者塩寄忠 (奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科教授) 平成13年度-平成14年度科学研究費補助金(基盤研究(C) (2) ) 研究成果報告書 はしがき 本報告書は平成13年度-平成14年度科学研究費補助金(基盤研究(C) (2) ) 「表面弾性 波デバイス用ランガサイト型結晶の開発および電気的特性評価」に関するものである。 研究組織 研究代表者:塩寄忠(奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科教授) 研究分担者:岡村総-郎(奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科助教授) 研究分担者:西田員司(奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科助手) 研究分担者:武田博明(奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科助手) 研究経費 平成13年度1, 700千円 平成14年度1, 400千円 計3, 100千円 研究発表 (1)学会誌等 ・ H・ Takeda, M. Kumatoriya, T. Shiosaki: "Effect of alminiumsubstitution in La3Ga5SiO14 CryStals on their structure and piezoelectric propertiesM Appl. mys. Lett. 79 (2001) pp.4201-4203. ・ H・ Takeda, M.Kumatoriya, T. Shiosaki: "structure and Piezoelectric properties of Al-substituted Langasite (La3Ga5_xAIxSiO14) crystals" , ElecII.OCeI・aml'cs l'D JapaD IV (2002) pp. 43-46. ・ H・ Takeda, S・ Okamura, T・ Sbiosaki: Hcbemical Etchingstudyon lanthanum ga11ium silicate La3Ga5SiO14 Single crystalsH J. MateT. Scl・. Lett. 21 (2002) pp. 1117-19. H・ Takeda, R・ Aoyagi, S・ Okamura and T. Shiosaki: =cation distribution andmeltingbehaviorofLa3Ga5M4+o1。 (M-Si, Ge, Sn, Ti, Zr andHf) crystals" FeTl・OelectI・1'cs (in press). -1- ● H. Takeda, S. Okamura and T. Shiosaki: "Synthesis and characterization of Ba3MVGa4Si:014 (M- Nb and Ta) crystal" , Trans.Mater.Res.Soc.Jpn. (in press). (2)学会発表 'H. Takeda, S. Okamura and T. Shiosaki: "cation distribution and melting behavior of La3Ga5M4十o14 (M-Si, Ge, Sn, Ti, Zr and Hf) crystals" , The 6th Euroconference onApplications of PolarDielectrics, September 2-5, 2002, Aveiro, Portugal ・武田博明、西田貴司、岡村総-郎、塩寄忠: 「Ba3MeGa4Si2014 (M-Nb5+and Ta5十)結晶の合成と評価」 ,第14回目本MRS学術シンポジウム,東工大大岡山 キヤンパス, 2002年12月 (3)出版物 無し (4)参考文献 ・ H. Takeda, J. Sato, T. Kato, K. Kawasaki, H. Morikoshi, K. Shimamuraand T・ Fukuda: "synthesis and characterization of Sr3TaGa3Si:014 Single crystals" MateT. Res. Bull. 35 (2000) pp.245-252. ・ H. Takeda, T. Fukuda, H. Kawanaka, N. Onozato: …Effect of startingmelt composition on growth of La3Tao.5Ga5.5014 CryStal" J. Mater. Scl'. MateT. EIectT. 12 (2001) pp. 199-202. (5)備考 研究分担者の武田博明が第14回日本MR S学術シンボジウムにて本研究課題に 関する成果で奨励賞を受賞 -2- 研究成果 (学術誌等) 以下の頁は、著作権者の許諾を得ていないため、 電子化していません。 参考文献 (本研究に関連する発表論文) 以下の頁は、著作権者の許諾を得ていないため、 電子化していません。 結論 本研究ではランガサイト(化学式La3Ga5SiO14、 LGS)型結晶と呼ばれる圧電材料に着目 している。このLGSは水晶に比べ電気機械結合係数が大きく、また周波数温度依存性が LiTaO3より小さいため次世代デジタル通信機器用圧電材料として有望である。しかし残念 ながら、これらランガサイト型圧電結晶は現在のところ特殊目的のみの応用にしか至って いない。この原因としてLGSが高価なGa203 (化学精製が他の酸化物に比べ困難であるた め)を原料としているため、水晶やLiTaO3のような汎用化が阻まれていることが挙げられ る。そこで本研究ではGa203の低減を目的に,新規ランガサイト型圧電結晶の開発を試み た。 平成13年度において、 LGS結晶の主成分であるGaを安価なAlに置換することで結晶 作製,結晶構造、圧電特性などに与える影響を詳細に調べた。回転引上げ法にて La3Ga5_xAIxiO14 (LGAS ; Ⅹ=0.5及びo.9)単結晶を作製した。引上速度1。5Inm仇、結晶回転 数10rpmの条件で作製した結果,直径約23mm、長さ約100mmの結晶が得られたo結晶内 部にはインクル-ジョン及び気胞等のマクロ欠陥は見られなかった。尚、 Ⅹ-1.0及び1.5の 組成についても作製を試みたが、作製初期に斜方晶ペロヴスカイトが晶出し単結晶は得ら れなかった。 LGAS (Ⅹ=0.5及びo。9)単結晶について化学組成分析によりAl含有量は育成 方向に沿って減少することがわかり、計算からAlの偏析係数は約1.03-1.07となった。結 晶構造解析の結果からAlはLa席を除く酸素6配位の八面体席及び2種類の酸素4配位の 四面体席に分布することがわかり、またLa席以外全ての陽イオン-酸素(M-0)間拒離が Al置換量の増加につれ短くなることもわかった。電気機械結合係数(k12、 k25及びk26)は いずれもAl置換により大きくなった. 平成14年度において、 LGS結晶と同構造をもつ新規組成のランガサイト型結晶 Ba3MeGa3Si2014 (Me=Nb,Ta: BNGSおよびBTGS)の合成を試みたo BNGSおよびBTGS共 に酸化物原料から固相反応法で作製した結果、ランガサイト型単相となることが分かった。 次に、回転引上げ法にて単結晶の作製を試みた。原料にイヒ学量論組成混合粉末を用い、柑 禍は50mm¢Ptルツボ、引上速度1mm胤結晶回転数10rpmの条件で作製したo作製した BTGS結晶において内部にインクル-ジョン及び気胞等のマクtj欠陥が見られず、 BTGS 単相のみ得られたことから、調和融解することが示唆されたo -方、 BNGSにおいては不 透明な結晶が得られた。 Ⅹ線回折により結晶中に不純物が含まれていることが分かり、且 つその不純物が作製初期から観察されたことにより、 BNGSは非調和融解することがわか った。単結晶Ⅹ線結晶構造解析の結果からBaは酸素8配位の十面体席、 Nb及びTaは酸 素6配位の八面体席、 Gaは酸素4配位の四面体席、 siは酸素4配位の小さい四面体席と規 則的に分布することがわかった.弾性表面波評価から求められた電気機械結合係数はLGS (k2-o.38%)より大きい値(k2-o.43%)であったo 以上のことから新規組成LGAS及びBTGS共に、 LGSに比べ高価な原料であるGa203 使用量を低減させ、且つ圧電特性が向上することからランガサイト型圧電単結晶の中で有 望な材料であることが分かった。本研究において得られた成果はランガサイト型圧電結晶 の弾性波デバイス実用化に向けて大きく頁献したと自負している。今後,単結晶大型化に よるデバイス量産化を目指し研究を行っていく。 -39-
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