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あけまして、おめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
知能工作研究所 和田
秀巳
親子の接する時間の長短と学力の関係について質問が寄せられましたのでレポートします。
これは私が“フリースクール系の教育と虐待としつけの関係”について調べていた時、偶然御茶
ノ水大の先生の研究発表を読む機会がありまして、
(今はネットでも見ることができます)親の
年収と学力相関関係、親の年収が高ければ高いほど、成績も良いという統計を目にしたのです。
文科省が毎年行っている学力テストの結果統計分析なのですが、
(27 年も発表されています。
)
東大生の親の年収は8百万以上などと週刊誌で騒がれているのはご存知でしょう。このデータ
の中に、親子が接する時間の長短と学力の関係もデータとしてあり、学力の高い子と親子の接す
る時間やその内容までかなり詳細にレポートされていました。当時は政治問題化するのを恐れ
たのか、教育界の混乱を避けたのか、
“親の接し方”についてはあまり注目されませんでした。
しかし、現在では当然だというようにネットに扱われています。これはこれで大変な問題なので
す。理由は後で述べます・・・。特記すべきことは、学力の高い子のグループの親ほど、決して
無理に勉強をさせていない事、家族と読書したり、美術や音楽鑑賞したり、スポーツ、社会活動
に参加したり、のんびりと実に豊かなゆとりの中で共に生活している姿でした。この事は、教育
現場にいる先生方の方が、なんとなく実感として分かっているのではないでしょうか。
このままでは、富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる。事実、貧困格差社
会の現状があります。そこで困ったマスコミや教育界は、貧しくとも未来がある、親の接し方で
解決されると言い出したのではないかと邪推しています。何をどうやって親子で接すれば良い
のかの手立ては何も示されず、ただ問題のボールを親に投げただけのように見えるのです。
最近、ミシガン州のペリー幼稚園のプログラムが話題になりました。直接親子の接し方ではな
いのですが、週に 1 回 1.5 時間ほど家庭訪問を行い、先生たちが園で普段どのように子どもと遊
び、話しかけるかをやって見せるという、親に学びの機会を提供する手厚い就学前教育です。そ
の後約 40 年にわたる追跡調査の結果、参加した子どもたちは、小学校入学時点の IQ が高いだ
けでなく、長い人生において、学歴が高く、雇用や経済的な環境が安定しており、反社会的な行
為に及ぶ確率も低かった(経済効果がある)というのです。
(
「学力」の経済学 中室牧子著 より)
このような 6 人に 1 人の指導者のプログラムは無理としても、
「学力」を育てるには、
“園・
親・子の接する”教育、教材が必要ではないでしょうか。
日本の幼児教育界では、園は園、家庭は家庭とバラバラ、それどころか、対立することも多い
と聞きます。出来た、出来ないで親が騒ぎ、子どもが園でやりたがらないから、教材は持って帰
さないという園もあるとか。親子で接するチャンスを教育者自ら奪っている、実に愚かな事です。
ペリー幼稚園のように、園・子ども・親が一体になってこそ、教育効果が生まれるのですから。
私は、知能教育を更に発展させる意味でも、
“知能工作遊び”には重大な役割があると考えて
います。
園で楽しく作り、知能因子を基に楽しく遊ぶ。(知能教育)
→ 家庭に持って帰って報告する。(こんなのを作ったよ)
→ 家族で遊ぶ。
(親と接する)
― レポート 2017/01/08―