Vol. 145

ご参考資料
Vol. 145
(対象期間:2016年12月26日~2017年1月6日)
インドの代表的株価指数であるSENSEX指数は12月26日に一時26,000ポイントを大きく下回る水準まで下落しましたが、売られ
過ぎとの見方から反発し、対象期間を通して見ると2.8%の大幅高となりました。インド10年国債利回りは、国債発行額が縮小さ
れるという発表などを受けて低下(価格は上昇)しました。為替市場では、円が対米ドルで上昇に転じる中で、インドルピーも対
円では下落し、対米ドルでも小幅に下落しました。昨年インドでは、物品・サービス税(GST)の導入に向けた憲法改正など構造
改革が進みました。詳しくは、2ページ目の基礎講座をご参照ください。
[株式市場]SENSEX指数の推移
[株式市場]
(2002年12月31日~2017年1月6日)
週間騰落率
日付
終値
(前週末比)
(ポイント)
12月23日 26,040.70
12月30日 26,626.46
2.2%
40,000
1月6日 26,759.23
0.5%
SENSEX指数を構成する30銘柄のうち、対象期間中に25銘柄が上
昇しました。中小型株は大型株以上に大きく上昇し、対象期間中
にボンベイ中型株指数は4.8%高、同小型株指数は5.5%高となり
ました。
[債券市場]
インド10年国債利回りは、国債発行額が従来計画よりも縮小され
るという発表などを受けて低下(価格は上昇)しました。インド準備
銀行(RBI、中央銀行)は1月2日、本年1月第1週から6週間の国債
発行額が昨年9月時点の計画と比べて1,800億ルピー少ない6,600
億ルピー(約1兆1,000億円)になると発表しました。
30,000
20,000
10,000
[為替市場]
0
2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月
昨年11月の米大統領選後に米国債利回りが上昇する中で円安米
ドル高が進んでいましたが、対象期間中は米国債利回りが低下し
て円高米ドル安となる中で、インドルピーも対円では1.7%安となり
ました。対米ドルでは0.2%の小幅なルピー安でした。
[債券市場]インド自国通貨建て10年国債利回りの推移
(2002年12月31日~2017年1月6日)
日付
利回り
12月23日
12月30日
1月6日
6.54%
6.52%
6.39%
変化幅
(前週末比)
-0.02%
-0.13%
[ニュース]
最大州含む5州の議会選挙、2~3月に実施
10%
9%
8%
7%
政治
6%
5%
4%
2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月
[為替市場]インドルピーの対円レートの推移
(2002年12月31日~2017年1月6日)
(円)
3.5
円安インドルピー高
3.0
日付
為替レート
12月23日
12月30日
1月6日
1.732
1.721
1.703
週間騰落率
(前週末比)
-0.6%
-1.0%
今年度の経済成長率、7%割れの可能性も
2.5
経済
2.0
1.5
インドの選挙管理委員会は1月4日、州議会選挙の日程
を発表しました。選挙が行われるのはウッタル・プラデー
シュ、パンジャブ、ウッタラーカンド、マニプル、ゴアの5州
で、投票は2月4日から3月8日にかけて、開票は3月11日
に実施されます。インドでは、国会上院の議員が主に州
議会議員によって選ばれることから、州議会選挙の結果
は国全体の政治にも大きな影響を与えます。特に、2億
人とインド最大の人口を抱えるウッタル・プラデーシュ州
の選挙は重要視されています。現モディ政権は2014年
の総選挙(国民の直接選挙による下院選挙)でインド人
民党が単独過半数を獲得して誕生しましたが、上院では
少数与党です。
円高インドルピー安
1.0
2002年12月 2005年12月 2008年12月 2011年12月 2014年12月
出所:上記のグラフはいずれもBloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベ
ストメンツ作成。
インド政府は1月6日、今年度(2016年4月~2017年3月)
の実質国内総生産(GDP)成長率が前年度比+7.1%にな
るとの見通しを発表しました。昨年度の同+7.6%からは
鈍化するものの、インド経済は3年連続で7%台の高い経
済成長率を維持する見通しになります。但し、今回の見
通しは10月までの鉱工業生産指数などに基づくもので、
政府がブラックマネーの根絶を狙って11月に実施した高
額紙幣廃止の経済に与える短期的な悪影響をすべて織
り込んだものではありません。多くのエコノミストは、今年
度の成長率が6.5~7%程度に鈍化すると見ています。政
府は2月28日に、今年度の経済成長率見通しの改定値
を発表する予定です。
英国プルーデンシャル社はイーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社です。最終親会社およびそのグループ会社は主に米国で事業を展開
しているプルデンシャル・ファイナンシャル社とは関係がありません。
1/2
ご参考資料
Vol.145(対象期間:2016年12月26日~2017年1月6日)
[インド基礎講座] 2016年の振り返り:高成長続き、構造改革進む
実質GDP成長率が主要国の中で最も高い7%台で推移し、消費者物価指
数(CPI)上昇率が鈍化するなど、良好な経済状況が続く中、インドでは経
済の活性化を図る構造改革が進み、緩和的な金融政策がとられました
(図表1)。SENSEX指数は、2月の政府予算案における財政赤字削減目標
の堅持や金融緩和期待などから上昇した後、政府が11月に実施した高額
紙幣廃止が経済に短期的な悪影響を与えるとの懸念から下落し、年間で
は1.9%の上昇となりました(図表2)。インド10年国債利回りは、良好な経
済状況と金融緩和に加えて、高額紙幣の廃止が中長期的には経済にプラ
スとの見方から大きく低下(価格は上昇)しました(図表3)。為替市場で
は、インドルピーは対円で年前半に下落しましたが、11月の米大統領選後
には上昇傾向となりました(図表4)。
(2015年12月31日~2016年12月30日)
30,000
28,000
26,000
24,000
22,000
2015年12月
2016年6月
2016年12月
(図表3)インド自国通貨建て10年国債利回りの推移
(2015年12月31日~2016年12月30日)
(図表1)政治経済の振り返り(2016年)
物品・サービス税(GST)など、構造改革進む
8.0%
7.5%
国会は、5月に不良債権の削減で経済の活性化を図る破産法を、8月
政 には国と州の複雑な間接税を一本化するGST導入のための憲法改正
治 案を可決しました。政府は、2月に発表した2016年度の予算案で財政
赤字削減目標を堅持し、11月にブラックマネーの根絶を狙ってそれま
での高額紙幣(1,000ルピーと500ルピー紙幣)を廃止しました。
7.0%
6.5%
6.0%
2015年12月
経済成長率は7%台の高水準、物価上昇率は3%台に鈍化
実質GDP成長率は、2016年1-3月期に前年同期比+7.9%、4-6月期に
(円)
1.9
1.8
1.7
1.6
1.5
1.4
2015年12月
と10月は同4%台、11月は2014年11月以来の低水準である同+3.63%
(速報値)まで鈍化しました。
物価安定の中で、2回の追加利下げ
物価が安定的に推移する中、RBIは2015年に行った4回の政策金利
引下げに続き、2016年も4月と10月に追加利下げを実施しました。ラ
ジャンRBI総裁は9月に退任し、副総裁であったパテル氏が総裁に昇
格しました。政策金利の決定は10月から、金融政策評議会の合議制
に変更されました。
2016年6月
2016年12月
(図表4)インドルピーの対円レートの推移
経 同+7.1%、7-9月期に同+7.3%と、高い成長率が続きました。CPI上昇
済 率は、1月から8月までおおむね前年同月比5%台で推移した後、9月
金
融
政
策
(図表2)SENSEX指数の推移
(ポイント)
(2015年12月31日~2016年12月30日)
(9/21現在)
円安インドルピー高
2016年6月
2016年12月
出所:Bloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成。
イーストスプリング・インベストメンツ株式会社について
165年以上の歴史を有する英国の金融サービスグループの一員です。
●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社は、1999年の設立以来、日本の投資家のみなさまに資産
運用サービスを提供しています。
●イーストスプリング・インベストメンツ株式会社の最終親会社は、英国、米国、アジアをはじめとした世界
各国で業務を展開しています。
●最終親会社グループはいち早くアジアの成長性に着目し、アジアでは14の国や地域で生命保険および
資産運用を中心に金融サービスを提供しています。最終親会社グループの運用資産総額は、2016年6
月末現在、約5,620億ポンド(約77兆円、1ポンド=138.41円)に上ります。
イーストスプリング・インベストメンツ(シンガポール)リミテッドについて
■アジア地域を幅広くカバーする資産運用会社で、インドを含むアジア株式・債券に関する専門知識と豊富な経験を最大限活用した
運用を行います。
イーストスプリング・インベストメンツの属するグループのインドの運用会社(ICICIAM)について
■1993年にインド大手の民間銀行ICICI銀行の資産運用会社として設立され、1998年からはイーストスプリング・インベストメンツの属
するグループとの合弁で事業を展開しています。ICICI銀行は、1955年に設立され、2016年3月末現在、総資産は約7兆2,069億ル
ピー(約12兆2,301億円、1ルピー=1.697円で換算)となっています。
■設立以来、インドで資産運用事業に注力している、インド大手の運用会社です。運用資産総額は約2兆2,090億ルピー(インドにおけ
るシェア約13.4%、2016年7-9月平均)となっています(出所:Association of Mutual Funds in India)。
[当資料に関しご留意いただきたい事項]
当資料は、インドの証券市場と政治、経済、文化等にかかる情報提供のみを目的として、イーストスプリング・インベストメンツ株式会社(「当社」)が株式
会社DZHフィナンシャルリサーチに情報提供を依頼し作成したもので、特定の金融商品等の勧誘・販売を目的とするものではありません。また、金融商品
取引法に基づく開示資料でもありません。当資料には、現在の見解および予想に基づく将来の見通しが含まれることがありますが、事前の通知なくこれら
を変更したり修正したりすることがあります。また、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。当資料で使用しているグラフ、パフォーマン
ス等は参考データをご提供する目的で作成したものです。数値等の内容は過去の実績や将来の予測を示したものであり、将来を保証するものではあり
ません。当資料は信頼できると判断された材料を使い、十分な注意を払って作成していますが、当社および株式会社DZHフィナンシャルリサーチは、必ず
しもその正確性、完全性をお約束するものではありません。また、掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいた
ものであり、個別銘柄の売買の推奨を意図したものではなく、当社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。
イーストスプリング・インベストメンツ株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第379号
加入協会 一般社団法人投資信託協会/一般社団法人日本投資顧問業協会
2/2
170111(04)