眼科 齋藤 了一

眼科救急
眼科
齋藤 了一
・1.眼の表面の異物
・2.眼内異物
・3.薬品による化学熱傷
・4.眼開放性外傷
・5.眼窩骨折
・6.急性緑内障発作
・7.結膜炎(特殊な症例)
・8.結膜下出血
・9.術後眼内炎
・10.飛蚊症
・11.外傷性視神経障害
赤は専門医に連絡、黄は症例による
1.眼の表面の異物
・A.砂小石などで眼痛の強い時。電話を受けた時点で水
道水やシャワーで十分洗ってもらう。受診時ベノキシール
点眼麻酔下で痛みをとり、異物の有無を確認する。
次に眼洗浄を行い異物を洗浄し異物を除去する。除去できれば
タリビット眼軟膏点入後、眼帯をして翌日眼科受診。
除去できなければ専門医に連絡。
・B.鉄片異物の場合は専門医に連絡。顕微鏡下で異物除去。
2.眼内異物
・異物の位置に応じて除去。
眼科的検査とCT等で位置を確認。前房内なら洗浄、虹彩上
なら攝子で摘出、水晶体内なら白内障手術(外傷性白内障)。
硝子体内や網膜に刺さっている場合はマグネットで除去。
3.薬品による化学熱傷
・軽傷の場合は自分でシャワーや水道水で十分洗浄してきて
もらう。一般にアルカリ性の場合重症化しやすい。受診後通
常は500mlの生理食塩水で洗浄。タリビット眼軟膏・リンデロ
ン軟膏を点入し眼帯をして翌日眼科受診。
・重症の場合は3-4本使用し20分ほど洗浄し専門医を呼ぶ。
4.眼開放性外傷
・専門医に連絡。まず一時的に眼球損傷部を縫合整復
(角膜・強膜)。
症例に応じて白内障手術(水晶体損傷がある場合)、硝
子体手術(網膜剥離の危険性がある場合)を施行。
5.眼窩骨折
・診断CT(冠状断が有用)
・消炎剤・抗生物質の内服を処方し翌日眼科・耳鼻科
紹介。
・経過をみて整復手術検討(耳鼻科)。
・鼻をかまないように注意する。
6.急性緑内障発作
・自覚的には頭痛・片側の眼痛・視力障害
・他覚的には角膜の混濁・結膜充血・対光反応の消失
を認める。
・2%サンピロを10分おきに点眼、高侵透薬(マンニット
等)の点滴
・上記のみで改善することがあるが、改善しなければ
laser虹彩切開、または白内障手術。
7.結膜炎(1)
・アレルギー性結膜炎
結膜に浮腫、かゆみ。救急外来では小児に多い。
・感染性の強い結膜炎
A.流行性角結膜炎
強い結膜・眼瞼結膜の強い充血。耳前・顎下リンパ節腫脹。
アデノチェック(ベノキシール点眼下)で診断。
7.結膜炎(2)
・感染性の強い結膜炎
B.咽頭結膜熱
流行性角結膜炎より比較的軽めの結膜・眼瞼結膜の強い充血。耳前・顎
下リンパ節腫脹。咽頭の強い痛み、発熱。
アデノチェック(局所麻酔点眼下)で診断。
C.急性出血性結膜炎
急性に両眼性に結膜下出血をきたす。エンテロウイルス感染
A-C共に同様の症状をきたした人が身近にいないか聞く。本人に直接
触らない。両眼共に1Wは強い感染症を呈するので要注意。抗菌剤・
0.1%フルメトロン点眼4回を処方。眼脂を介して伝染。
8.結膜下出血
・通常は片眼に眼球結膜に出血を認める。
放置してよい。眼脂なし、痛みなし(軽い異物感
があることあり)。
9.術後眼内炎
・白内障・緑内障。硝子体手術後に術眼に充血・疼痛・
視力低下をきたす。早急に専門医に連絡。
・抗菌剤点眼を1時間おきに行う。
・症例により緊急手術が必要になる。
10.飛蚊症
・視野障害・視力障害等他の症状が有る時以外は緊
急な対応を必要としない。翌日の眼科受診を勧める。
11.外傷性視神経障害
・一側の眉下の外側を強打し、直後より急激な視力障
害をきたす。
・まずはマンニット500ml点滴を行い視束管撮影とCTで
視束管の損傷がないか検査を行う(実際は骨折がない
ことも多い)。視力回復が無ければ専門医に連絡。