平成29年 年頭所感 - 関東東北産業保安監督部東北支部

平成29年 年頭所感
関東東北産業保安監督部東北支部長
伊
藤
浩
平成29年の年頭に当たり、謹んでお慶び申し上げます。
旧年中、産業保安行政に対し格別の御理解と御協力を賜り、厚く御礼申し上
げます。
昨年は、熊本、函館、福島などで大きな地震が発生したほか、台風 10 号が東
北の太平洋側へ直接上陸し、観測史上最大となる雨量が記録され著しい被害が
発生しました。近年の自然災害は激甚化しており、事前の備えや罹災後の迅速
な対応がいかに重要か痛感いたしました。
さらに、昨年は首都圏の大停電、博多駅前の陥没等、これまでにないインフ
ラ関連事故が頻繁に発生しました。産業保安の確保において、予想を超える事
態がいつ起こっても不思議では無いという前提で対応していくことが、今後ま
すます重要になると考えます。
さて、昨年の管内における産業保安の状況を顧みますと、事故件数は総じて
減少傾向にある一方で、電気保安の分野で感電等により3名の方が死亡したほ
か、火薬保安の分野で重傷者2名の事故が発生するなど、重篤災害が減少しな
い憂慮される状況にあります。
昨年までの状況を踏まえ、本年、当支部は、それぞれの保安分野毎に以下の
取り組みを実施してまいります。
都市ガス保安分野においては、昨年の事故件数は一昨年に比べ減少し8件で
あり、事故による負傷者は一昨年の3名から2名減の1名となりました。他方、
昨年は、導管工事中の火災事故もありました。本年は安全管理の徹底について、
各ガス事業者に対して引き続き指導してまいります。
また、都市ガス事業は、本年4月からのガスの小売全面自由化に伴い、事業
者によっては事業形態が大きく変わることになりますが、自由化後も保安の重
要性に変わりはございません。経年管対策や、消費者の安全確保のための啓発
などにも引き続き取り組んでまいります。
LPガス保安分野においては、昨年の事故件数は15件であり、一昨年に比
べて大幅に減少したものの、依然として漏えい火災事故及び爆発事故が発生し、
負傷者が出ております。本年も引き続き事故防止に向けて取り組むとともに、
特に、冬季における雪害に伴うガス漏えい事故の防止、CO中毒事故防止など
に努めてまいります。
高圧ガス、コンビナート保安分野においては、昨年は重大な状況に至ったも
のはございませんでした。一方、昨年は、秋田県、宮城県の石油コンビナート
総合防災訓練に参加し、災害発生時における県、消防、各地区協議会との連携
を強化いたしました。今後とも関係機関との連携を通じて重大事故の未然防止
に取り組んでまいります。
火薬保安分野においては、昨年の事故件数は11件と一昨年より1件増加し、
重傷者も2名となっております。事故の大半は花火大会や動物駆逐用煙火使用
時など火薬の消費時に発生しています。本年も引き続き、各県等と連携し事故
防止に努めてまいります。
電気保安分野においては、近年、事故発生件数は減少傾向にあるものの、昨
年は感電死傷事故件数が一昨年よりも増加しました。本年も事業者に対し事故
原因の究明と再発防止対策を徹底するとともに、ホームページ及び会議等での
情報提供を通じて、引き続き電気事故の防止に努めてまいります。
また、昨年は、太陽電池発電所の使用前自己確認制度の導入、電気関係報告
規則における報告対象事故の見直しや PCB 関係法令の改正等がありましたが、
本年も風力発電所に対する定期事業者検査の導入等の法令改正が予定されてお
ります。本年も法令改正内容の周知に努めるとともに、法令遵守状況を確認し、
的確な安全規制を実施してまいります。
鉱山保安分野においては、近年、災害件数と罹災者数は減少傾向にあります。
本年も「第12次鉱業労働災害防止計画」に基づき、鉱山保安マネジメントシ
ステムの構築と有効化、設備的対策等措置の強化及び鉱山労働者の保安意識の
レベルアップを念頭に引き続き監督・指導に努めてまいります。昨年は災害2
件、罹災者2名となり、1年間無災害は達成できませんでしたが、今年こそは
無災害を達成するよう、更に効果的な監督・指導に努めてまいります。
また、鉱害については、一昨年は事故が多発しましたが、昨年は当支部の目
標である鉱害発生「ゼロ」を達成しました。本年も、各鉱山において自然災害
等のリスクを十分に検討・評価した上で、万全な対策を進めるよう、引き続き
立入検査による監督・指導や休廃止鉱山鉱害防止等工事費補助金を活用した鉱
害防止事業などにより鉱害の防止に努めてまいります。
以上、本年も国民の皆様の求める安全・安心に対するニーズにしっかりと応
えるよう、「強い使命感」、「科学的・合理的な判断」、「業務執行の透明性」
及び「中立性・公正性」を行動規範として、職員一丸で取り組んでまいります。
引き続き産業保安行政への御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
最後になりますが、平成29年が皆様にとって良い年となりますことを祈念
いたしまして、新年の挨拶とさせていただきます。本年も「ご安全に!」