Column ご参考資料 「投資のヒント」 2017年1月6日 2016年の市場動向の振り返りと2017年の展望 米国大統領選挙後の世界的な金利上昇を背景に、 債券よりは株式が選好された1年に 2016年は、FRB(米連邦準備理事会)の利上げ観測など を受けて金利が上昇(債券価格が下落)した一方で、米国 のトランプ次期政権の経済政策期待を反映して世界的に 株式市場に資金が流入し、年間では株式が相対的に良 好なパフォーマンスを示しました。 国内REITは、日銀の金融政策を背景に、国内金利が低 位で推移したことを好感し、相対的に高い配当利回りが選 好され高いパフォーマンスを示しました。 新興国株式は、中国人民元安などを受けて年初から大 幅に下落したものの、原油価格の上昇に加え、米国大統 領選挙後には債券市場から資金が流入したことなどから、 年間ではプラスの収益率となりました。先進国株式も、トラ ンプ次期政権による大規模なインフラ投資や規制緩和な どの経済政策への期待を背景に米国株式が大幅に上昇 したことなどから、プラスとなりました。国内株式は、英国 のEU(欧州連合)離脱決定や米国大統領選挙などの予想 外の結果を受けて大幅に下落する局面が見られたものの、 年後半からの円安・米ドル高の進展を好感して、年間では 小幅なプラスとなりました。一方、先進国債券は、トランプ 次期政権の政策への警戒感から世界的に長期金利が上 昇し、年間ではマイナスとなりました。 2016年の株式・為替市場について 各資産の年間収益率(円ベース) (2012年~2016年、年次) 2012年 2013年 2014年 国内REIT 41.0% 海外REIT 38.7% 新興国株式 32.1% 先進国株式 30.7% 新興国債券 30.0% 国内株式 20.9% 先進国債券 20.4% 国内債券 1.9% 先進国株式 55.0% 国内株式 54.4% 国内REIT 41.1% 海外REIT 24.3% 先進国債券 22.7% 新興国株式 19.0% 新興国債券 10.8% 国内債券 2.0% 海外REIT 41.8% 国内REIT 29.7% 先進国株式 21.7% 先進国債券 16.4% 新興国株式 12.3% 国内株式 10.3% 新興国債券 7.8% 国内債券 4.2% ※各資産のインデックスについては次 ページをご確認ください。 (出所)Bloombergのデータを基に三井 住友トラスト・アセットマネジメン ト作成 2015年 2016年 国内REIT 9.9% 新興国株式 7.8% 新興国債券 6.2% 先進国株式 5.0% 国内株式 海外REIT 12.1% 3.1% 海外REIT 国内債券 2.1% 3.0% 国内債券 国内株式 1.1% 0.3% 先進国株式 先進国債券 -1.2% -3.0% 先進国債券 -4.5% 国内REIT -4.8% 新興国株式 -14.6% 新興国債券 -14.9% 2016年の主要株価指数の騰落率 2016年の株式市場は総じて堅調に推移しました。 (2015年12月末~2016年12月末) 特にロシア市場やブラジル市場は、2015年は原油安な -40% -20% 0% 20% 40% 60% どを背景に大幅に下落する展開となりましたが、2016年は ロシア 52.2% OPEC(石油輸出国機構)の減産合意などを受けた原油価 格の上昇を受けて景気底入れ感が強まり、株式市場も急 38.9% ブラジル 回復しました。また、米国市場は、トランプ次期政権の経 15.3% インドネシア 済対策への期待などから主要指数が史上最高値を更新 英国 14.4% するなど、3年ぶりの高い上昇率となりました。英国市場は、 米国 13.4% 6月の国民投票でEUからの離脱が決定したものの、通貨 ポンド安が進んだことなどを好感し、上昇しました。日本市 ドイツ 6.9% 場は、年初の中国人民元ショックや英国のEU離脱などの 1.9% インド 海外要因による円高・米ドル安の進行から、大幅下落する 0.4% 日本 局面が度々見られましたが、米国大統領選挙を機に大幅 に円安・米ドル高が進んだことなどを好感し、年間では小 中国 -12.3% 幅ながら5年連続のプラスとなりました。一方中国市場は、 年初の中国人民元ショックによる大幅下落の影響をカ ※各国の株価指数については次ページをご確認ください。 (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメン バーしきれず、年間では12%以上の下落となりました。 ト作成 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。本資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 1/3 2016年の為替市場は、一部の資源国通貨を除き対円で は概ね下落する展開となりました。 ロシア・ルーブルやブラジル・レアルなどの資源国通貨 は、主力輸出品である原油や鉄鉱石などの商品価格が 上昇に転じたことから景気底入れ期待が高まり、大幅に 上昇する展開となりました。米ドルは、年前半にFRBによ る利上げが見送られたことや、英国のEU離脱決定などを 受けて一時100円割れの水準まで円高・米ドル安が進み ましたが、年後半にはトランプ次期政権が掲げる政策に 伴う景気回復期待を背景に米国長期金利が上昇したこと などから円安・米ドル高が進行し、年間では3%程度の円 高・米ドル安にとどまりました。ユーロも英国のEU離脱決 定による欧州の景気悪化懸念を背景に夏場にかけ円高・ ユーロ安が進みましたが、米国大統領選挙後は円安・ ユーロ高の動きとなりました。一方、英ポンドは、6月の国 民投票でEUからの離脱が決定し、景気下支えのために BOE(英国中央銀行)が金融緩和を行ったことなどを受け て大幅に下落する展開となりました。 2016年の主要通貨(対円)の騰落率 (2015年12月末~2016年12月末) -30% -20% -10% 0% 10% 30% 18.4% ブラジル・レアル 16.2% ロシア・ルーブル 米ドル -3.4% 豪ドル -4.0% -5.5% インド・ルピア -6.9% ユーロ 英ポンド 20% -20.0% (出所)Bloombergのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメン ト作成 2017年の市場動向は? 2017年の世界経済は、先進国は緩やかな成長を続ける一方で、新興国も回復力を次第に高めていく姿が想定されます。 その背景には、トランプ次期政権による減税やインフラ投資拡大などの経済刺激策の効果が見込めることや、中国経済 の安定化、原油価格などの商品価格が低下局面を脱しつつあることなどがあげられます。 また物価は、ディスインフレといわれる低インフレ局面からインフレ率が徐々に高まるリフレーション局面に移行しつつあ ります。これはOPEC減産合意により原油価格が底堅く推移する見込みであることに加え、米国は完全雇用に近い経済環 境下において財政発動を行うことが見込まれ、インフレを押し上げる可能性が意識されています。加えてトランプ次期政権 が志向する保護貿易政策や移民抑制政策などが実現すれば先行きのインフレ率をさらに高める方向に作用すると考えら れます。 一方、非伝統的な金融政策の効果に限界が囁かれるなか、先進各国では金融政策への過度な依存から脱し正常化へ 向かう動きが見られ始めています。米国では今年も緩やかなペースでの利上げを継続すると見られ、インフレ動向次第で は利上げペースが速まる可能性が指摘されています。また日本はすでに金利を重視した政策へ転換し、ユーロ圏は緩和 措置は延長しつつも債券購入額の減額に踏み切っています。 このような環境下においては、米国の成長加速やインフレ上昇への期待を背景に、米国金利は上昇基調となる可能性 が高く、為替市場では金利差拡大を背景に米ドルが他通貨に対して高値圏で推移する公算が高いと考えられます。また 企業収益の回復期待などを背景に債券から株式への資金流入が見込まれ、先進国の株式市場は概ね堅調な推移が期 待されます。 一方、世界経済を取り巻く不透明要因についても目を配る必要があります。先進国のリフレーションの進行に伴い、新興 国からの資金逃避の動きが強まれば新興国資産や通貨が一時的に下振れするリスクもあります。また、米国のインフレ 懸念の高まりから利上げが加速し、財政赤字拡大への懸念が過度な金利上昇や米ドル高に繋がれば、逆に景気に悪影 響をおよぼすことになります。加えてトランプ次期政権の政策動向によっては市場の警戒感が高まる可能性があります。 また欧州では英国のEU離脱に向けた動きが本格始動することに加え、年内に予定されるフランス大統領選挙やドイツの 総選挙などの結果次第では、反EU機運がさらに高まる可能性なども否定できません。 今年は、ポピュリズムの台頭など政治を取り巻く環境が新たな局面を迎えるなか、まずはトランプ次期政権の政策が具 体的にどのような内容でいつ実施されるのかが最大の焦点です。いずれにせよ期待と不安が交錯するなか、「政治」「政 策」の動向がパフォーマンスの鍵を握る1年になりそうです。 【各資産のインデックスについて】 国内株式:TOPIX(東証株価指数)(配当込み)、先進国株式:MSCI コクサイ・インデックス(配当込み)*、新興国株式:MSCI エマージング・マーケット・インデックス (配当込み)*、国内債券:NOMURA-BPI総合、先進国債券:シティ世界国債インデックス(除く日本)、新興国債券:JPモルガン・ガバメント・ボンド・インデックス-エ マージング・マーケッツ・グローバル・ディバーシファイド*、国内REIT:東証REIT指数(配当込み)、海外REIT:S&P先進国REIT指数(除く日本、配当込み)*当該日 の為替データを基に三井住友トラスト・アセットマネジメントが円換算しています。その他は円ベースです。 【各国の株価指数について】 インドネシア:ジャカルタ総合指数、ドイツ:DAX指数、インド:ムンバイSENSEX指数、日本:日経平均株価、ロシア:RTS指数、ブラジル:ボベスパ指数、米国:NYダ ウ、英国:FTSE100指数、中国:上海総合指数 ※上記は過去のデータであり、将来の運用成果を示唆あるいは保証するものではありません。 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。本資料のお取扱いについては最終ページをご覧ください。 2/3 【 ご留意事項 】 ●当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが投資判断の参考となる情報提供を目的として作成したもので あり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。 ●ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断 ください。 ●投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価 額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益は 全て投資者の皆様に帰属します。 ●投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではあり ません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。 ●当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するもので はありません。また、今後予告なく変更される場合があります。 ●当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示 唆あるいは保証するものではありません。 ●当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発 元もしくは公表元に帰属します。 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではなく、 証券取引の勧誘を目的としたものでもありません。 3/3
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