目標達成を加速する営業 部門の改革 CSO INSIGHTS 社 " 営業における関係性とプロセスのマトリックス " の活用法 以下の共同制作による ホワイトペーパー : および レベルを把握する CSO Insights は、2007 年に営業における関係性とプロセスのマトリックス (Sales Relationship/Process (SRP) Matrix ™、図 1 を参照 ) を発表して以来、8 年にわたりその主要なメトリックを記録してきました。企業は、SRP Matrix を使用することで、自社の営業活動の現状や、今後も競争力を維持するには顧客との関係、プロセスの導入を どのレベルまで引き上げる必要があるかをすばやく特定できます。さまざまな項目のレベルを向上させることは、単 に " 良いアイデア " としての推奨事項ではなく、確固たるデータに裏付けられた重要な対策なのです。 営業における関係性のレベル 信頼できる パートナー " 私たちは数年にわたって調査データを記録してきま したが、データは一貫して、SRP Matrix でのレベルが 戦略的協 力者 ソリューシ ョン コンサ ルタント 推奨サプラ イヤー 上がるにつれ、営業実績も向上することを示していま す。そのため、営業部門全体 (CSO、営業マネージャー、 営業担当者、営業チーム ) で、自分たちが現在どのレ ベルに達しているのか、また、次のレベルに進むには Barry Trailer 主任研究員 何が必要かを把握するロード マップとして、マトリッ クスを活用することができます。" 認定ベン ダー 図1 ランダムな プロセス 非公式の プロセス 公式のプロ セス 営業プロセスのレベル 動的な プロセス 2 以下の 4 つの主要なメトリックに基づき、3 つのパフォーマンス レベルが定義されて います。 1. 営業担当者が売上目標を達成、または上回る成績を達成する割合 2. 全社における収益計画の達成率 3. 全社における営業担当者の離職率 4. 売上予測の精度 これらのパフォーマンス レベルは SRP Matrix に表示されます ( 図 2 を参照 )。 また、各パフォーマンス レベルに属する調査対象企業の割合も示されています。 CSO INSIGHTS 2014 年の営業における関係性とプロセスのマトリックス TM 信頼できる パートナー 営業における関係性のレベル パフォーマンス レベル 3 27% の企業 戦略的協 力者 ソリューショ ン コンサルタ ント 推奨サプラ イヤー パフォーマンス レベル 2 48% の企業 パフォーマンス レベル 1 25% の企業 認定ベン ダー 図2 ランダムな プロセス 非公式のプ ロセス 公式のプロ セス 動的な プロセス 営業プロセスのレベル 3 SRP Matrix でのレベルが上がるにつれ、営業実績に明らかな違いが見られるようにな ります。表 1 では、4 つのメトリック ( 売上予測の精度はさらに 3 つのカテゴリに分類 ) の定義をパフォーマンス レベル 1 から 3 で表しています。数値の差からはさまざまな 分析を行うことができ、企業はそうした分析の結果を基に競合他社との差別化を継続 的に進めることができます。 2015 年の営業実績最適化に関する調査でのレベルの比較 レベル 1: 2014 年の結果 レベル 2: 2014 年の結果 レベル 3: 2014 年の結果 営業担当者の売上目標の達成率 53% 58% 64% 全社的な収益計画の達成率 76% 84% 89% 売上予測の精度 - 受注 39% 44% 51% 売上予測の精度 - 失注 37% 31% 28% 売上予測の精度 - 未決定 26% 25% 21% 営業担当者の離職率 21% 16% 12% 表1 4 SRP Matrix を有効活用する 営業職が直面する課題の 1 つに、共通または標準化され る " という回答が得られました。確かにそのとおりです。 た用語が存在しないことが挙げられます。明確な定義が では、自社の営業担当者に成約率について一貫した認識 ないため、各担当者は、もっぱら自らの経験を基に用語 を持ってもらいたい場合には、" 測定の開始時期 " をどの を解釈することになります。3 つのパフォーマンス レベ ように定義するとよいのでしょうか。メトリックの計算 ルの定義に使用される 4 つのメトリックは、そのような 方法や、そもそもメトリックを計算するかどうかなどの 不確定な要素の影響を受けることなく計測可能なため、 解釈や考え方によって " 開始時期 " の定義も異なります。 営業部門による成果の記録に活用できます。一方、" 成 約率 " などのその他の一般的な用語の定義は定まってい 厳密な基準を適用し、企業の現在の状態 ( 現状 ) や目指 ません。承認された売上の割合やリード獲得から最終的 すべきゴール ( 最終目標 ) をより一貫性のある方法で特 に取引に結び付いた割合、企業によって提出された提案 定するために、このホワイトペーパーでは SRP マトリッ 書の中で最終的に受注できたものの割合、あるいは、選 クスの軸に沿って各用語の定義を提示し、関係性の各レ 考を通過した提案書で契約締結に至ったものの割合な ベルごとの特徴についてご紹介します。 ど、さまざまな解釈が考えられます。 成約率という言葉について最高営業責任者 (CSO) を対象 に実施した調査からは、" 測定の開始時期によって異な 5 たとえば、成約率がさまざまな定義に依存する言葉だとすると、" 推奨サプライヤー " と いう言葉にはそれこそ何通りもの定義を考えることができます。この点を踏まえて表 2 の 定義について考えてみましょう。チームや部門、そして最終的に同業種の複数の企業を比 較するには、適用する一連の定義や特徴が " 適切 " かどうかよりも、一致した見解の基に 作成されたものであることが重要です。 推奨サプライヤー (PS) ソリューション コン サルタント (Cs) 戦略的協力者 (Ct) 製品やサービスについ て詳細な知識を持つ営 業担当者 顧客が製品やサービス をどのように利用して いるかを理解し、契約 どおりの製品やサービ スを提供した実績を持 つ営業担当者 顧客のビジネス ( 顧客 の顧客など ) について 理解し、自社の製品や サービスがどのように 役立つかを把握してい る営業担当者 顧客の所属する業界に ついて理解し、自社の 製品やサービスが顧客 の競争力向上にどのよ うに役立つかを把握し ている営業担当者 顧客の組織について理 解し、自社の製品や サービスが顧客との長 期的な関係や目標にど のような効果があるか を把握している営業担 当者 1. 製 品 の 機 能 に つ い て特に詳しい 2. 基本的な営業スキル ( プレゼンテーショ ン、提案、顧客情報 の収集 ) がある 3. 戦 略 的 な 考 え 方 が できる 4. 限 ら れ た 取 引 先 や 見込み客との間に 関係を構築できる 5. 精 度 の 高 い 入 札 価 格や提案書の作成 能力も含む技術ス キルがある 1. 専 門 的 な 技 術 知 識 がある 2. 顧客がどのように製 品を利用しているか を理解している 3. 指 定 さ れ た 期 限 内 に説明責任や製品 提供を行うことが できる 4. 取引先の上層部に所 属する多くの担当者 との間に関係を構築 できる ( 失敗の可能 性が低くなる ) 5. リ ピ ー ト 客 や 推 薦 が多い 1. 現 状 を 把 握 し て 対 策を講じる能力が ある 2. 優れたビジネス感覚 とコミュニケーショ ン能力を駆使して顧 客と親密な関係を構 築している 3. 自 社 お よ び 顧 客 企 業の組織構造を把 握している 4. 競 合 他 社 に つ い て 熟知している 5. 業界を熟知している 1. 担 当 す る 分 野 や 業 界を熟知している 2. 購 買 プ ロ セ ス を 迅 速化できる 3. 事 業 計 画 の 成 功 に 貢献している 4. プ ロ ア ク テ ィ ブ な ソリューション プ ロバイダーである 5. 購 買 組 織 内 の チ ー ムの一員と見なさ れている 1. 顧 客 や パ ー ト ナ ー とのネットワーク がある 2. 顧 客 の 戦 略 的 ビ ジョンに組み込ま れている 3. 長 期 的 な 目 標 を 立 て、 実 現 さ せ る た めのサポートを行 うことができる 4. 苦 楽 を 共 に す る 覚 悟がある 5. 顧 客 の 目 標 設 定 に 関与している 関係性レベルの定義 認定ベンダー (V) 定義 特徴 表2 信頼できるパート ナー (TP) 6 同様に表 3 では、4 つの営業プロセス レベルの大まかな定義と、各レベルの特徴を説明して います。 営業プロセス レベル の定義 定義 特徴 表3 レベル 1 ランダム (R) レベル 2 非公式 (I) レベル 3 公式 (F) レベル 4 ダイナミック (D) 営業プロセスの文書化や適 用は行われていない 文書化された営業プロセス は営業担当者に公開されて いるが、あまり活用されて いない 文書化された営業プロセス が公開されており、活用が 推奨されている 文書化された営業プロセスが 公開されており、利用が徹底 されている。また、メトリッ クが常に共有されている 1. 営業担当者は、商談の発 展や獲得に必要だと考え たことを実行する 2. マ ネ ー ジ ャ ー は 担 当 者 の活動や予定を把握して いる 3. 必 要 に 応 じ て SME に 協 力を要請しているが、そ の際課題となっているト ピックに関するブリー フィングがほとんどある いはまったく行われてい ない 4. 提 案 書 は、 各 営 業 担 当 者が主に過去の提案書か ら切り貼りして作成して いる 5. 営業担当者はそれぞれ " 一匹狼 " のように単独で 行動し、仲間と戦略を共 有していない 1. 営業担当者は、営業プロ セスの存在について知っ ており、一部の担当者が ロードマップとして使用 しているが、その他の担 当者は独自の手法で活動 している 2. マネージャーは各担当者 の 活 動、 パ イ プ ラ イ ン、 予定を把握している 3. 必 要 に 応 じ て SME に 協 力を要請しているが、そ の際課題となっているト ピックに関するブリー フィングがほとんどある いはまったく行われてい ない 4. 使 用 可 能 な 標 準 テ ン プ レートがほとんどまたは まったくない 5. 一部の営業担当者はアイ デ ア を 共 有 し て い る が、 グループ メトリックスや 学習の基盤がない 1. 営業担当者は営業プロセ スを日々の営業活動に取 り入れている 2. マネージャーはダッシュ ボードとレポートを使っ て主要メトリックを記録 している 3. SME は 共 同 作 業 に よ る チーム営業モデルの一員 として、特定の項目に焦 点を当てて対応にあたっ ている 4. テンプレートを使用して 提案書を作成したり、提 案書やマニュアルのガイ ドラインを活用したりし ている 5. CRM システムがソーシャ ル、マーケティング、営 業のテンプレートの基盤 となっている 1. 営 業 担 当 者 は リ ー ド や、 パフォーマンス メトリッ クを受け取り、スコアや 優先度の高い商談から順 に対応している 2. マネージャーはメトリッ クの変化に関する最新情 報や主要なメトリックに ついてのアラートを受け 取っている 3. 製品マネージャーやマー ケティング担当者はパイ プラインや営業データの 中から今後の課題や商機 について常時分析を行っ ている 4. テンプレートやマニュア ルを使用して作成した提 案書をプロセス全体を通 して追跡し、受注 / 失注の 成績を常に見直している 5. ベスト プラクティスを定 期的に特定し、営業部門 全体で共有している 7 組織の SRP 値を算出する SRP Matrix に使用される定義を理解したら、次は座標 このアプローチを推奨する理由として次の 2 つが挙げら を使って、貴社が現時点でマトリックスのどのセル内 ( 認 れます。1 つ目は、正確度ではなく精密度をベースとす 定ベンダー / 非公式など ) に位置しているかだけでなく、 ることです。正確度とは、算出された値がどの程度正確 セル内での正確な位置 (V2/I4 など ) を合理的に特定する かを示す尺度であり、精密度は値の再現性がどの程度か ことができます。ある企業が " 認定ベンダー / 非公式 " を示す尺度です。弓の射手が 1 本目の矢を的の中心に命 の "V2/I3" に位置付けられている場合、ほとんどの営業 中させ、それ以降の 5 本の矢を外した場合、精密度は低 担当者は製品の売り込みを通して基本的な営業スキルを いといえます (1 本目の矢は " まぐれ " にすぎません )。5 身に着けていますが、文書化された営業プロセスには従 本の矢をすべて直径 1 インチの円の中に命中させたが、 わず、マネージャーに各自の活動、パイプライン、予定 的の外側の輪の上だった場合、精密度は高いが正確度は を報告するにとどまり、準備ができていない状態で場あ 低いといえます。5 本の矢すべてを的の中心に命中させ たり的に SME へ協力を依頼しています。したがって、顧 ることができた場合は精密度も正確度も高いといえます。 客との関係は " 認定ベンダー = 1.2" レベル、営業プロセ スは " 非公式 = 2.3" レベルとなります。これらの任意の 値を乗算することで、この企業の SRP 値 2.8 (2.76 を四捨 五入 ) を求めることができます。 8 ここでは精密度を優先して追求し、体系的かつ反 復的なアプローチを使用して、SRP Matrix 上での 営業部門の位置を特定します。このような定義を 適用する場合、より時間がかかるため正確度は追 求しませんが、営業部門の SRP Matrix での位置 付けとそれに関連するパフォーマンス メトリッ クの両方の記録を取ることで、パフォーマンスの 数値と関係性やプロセスの調整値を関連付けるこ とができます。 2 つ目は、このアプローチにより、自社が現在 SRP Matrix 上のどこに位置付けされ、今後どこを 目指す必要があるのか (V2/I3 = 2.8 から Ct3/F3 に レベルを引き上げるなど 1) を特定することで、レ ベル向上のために必要なことは何かを明確にでき ることです。当然、レベルを引き上げるには、営 業担当者のタイプやスキル、担当者をサポートす るツール、手法、どのような行動に対して報酬を 与えるかなどを修正する必要があります。このモ デルを使用すると、さまざまな方法やアプローチ を検討して、営業部門に反映すべき修正点を把握 することができます。 営業プロセスのレベル向上に 伴う営業実績の向上 どの項目のレベルを引き上げれば、最も効率的で低コス トな方法で営業実績を向上できるかについても、検討す る必要があります。関係性レベルは顧客の視点に基づい て定義されるため、営業担当者が直接制御することはで きません。逆に、営業プロセス レベルは企業内でのみ適 用されるしくみのため、導入を行う営業部門のリーダー が完全に制御することができます。そこで、最終的には 営業プロセスのレベルが向上すると、本当に営業実績 のレベルが向上するのか疑問に思われるお客様もいらっ しゃるかと思います。 1 V2/I3 SRP 値 = 2.8、Ct3/F3 SRP 値 = 4.3 x 3.3 = 14.2 9 まとめ 営業プロセス レベルの向上が実際に営業実績の向上に結 し、この比率が 2012 年には逆転しています ( 図 3 を参 び付くかどうかをお客様自身で判断される前に、これが 照 )。レベルが低いまま変化のなかった企業と、その競 8 年間にわたって収集された一貫性のある調査データに基 合他社の差は短期間で大きく広がりました。 づく結論であることを、もう一度お伝えいたします。両 者の間に絶対的な関連性があることに、疑いの余地はあ 多くの企業が高度なプロセス追跡と測定へ移行した主な りません。また、これに関連して注目していただきたい 要因の 1 つとして、世界金融危機を挙げることができま のが、短い間に全調査対象企業 (9 年間で 14,000 社 ) のマ す。経済が停滞したため経営が苦しくなった企業の CSO トリックス上の位置付けが変化している点です。2007 年 や営業マネージャーが、あらゆるチャンスを十分に活用 には、パフォーマンス レベル 3 の企業は全体の 17%、パ できているかを見直すために、さまざまなメトリックの フォーマンス レベル 1 の企業は全体の 34% でした。しか 測定を行うようになったのです。 SRP Matrix の過去の推移 2007-2014 年 100% 17% 80% 60% 49% 24% 23% 47% 46% 40% 29% 33% 46% 43% 37% 35% 42% 41% 27% 48% 20% 34% 29% 31% 25% 24% 21% 24% 25% 図3 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 10 ビジネスの世界では " 収益の拡大はすべての罪を隠す " 次に、各レベルの特徴を参照して、短期的、長期的にレ とよく言われます。収益が高かったために、ここ 2 年間、 ベルを向上させるためのロード マップを描きます。そう 営業プロセスの導入を行わず、昨年の収益を大幅に減ら することで、投資を行う対象や妥協するポイント、相対 した企業もあるようです。 的なコストや利益などを検討し、組織の発展についてよ り戦略的に考えられるようになります。 営業プロセスの導入を行わなかった理由には、さまざま なものが考えられますが、最も一般的と思われるのが現 今日の市場が激しく変動していることに疑いの余地はあり 状に満足しているために生じた " 油断 " です。" 十分な利 ません。顧客のニーズと行動、競合他社の活動、製品の複 益を上げているのだから、心配する必要はないだろう " 雑さ、新しい市場への参入などは、こうした変化の一部に そう考える企業は少なくありません。しかし、それでは すぎず、それらを見て見ぬふりをし続けることはできない 競合他社の思うつぼです。 でしょう。こうした変化が重なり、営業担当者がまとめて 対応する必要が生じた場合、営業担当者は何をすべきかを この機会を利用して、競合他社の業績に追いつき、追い 把握して実行に移すことができるでしょうか。 越しましょう。まず、本ホワイト ペーパーでご紹介した 定義を使用して、SRP 上での現在の位置と値の相対的な 準備を整えておかなければ、今後の変化に対応すること ベンチマークを設定し、パフォーマンス メトリック ( 売 はできません。SRP Matrix を活用して、いつ何をどのよう 上目標を達成している営業担当者の割合、収益達成率、 にして実行すべきか判断できるようにしておきましょう。 全社における営業担当者の離職率、売上予測の精度など ) を記録します。 MICROSOFT DYNAMICS 365 を使用して営業チームのパ フォーマンスを加速させる方法をお確かめください。 今すぐ、無料試用版をお試しださい。 CSO Insights について CSO Insights は、複合的な B2B 営業部門のパフォーマンスと生産性の向上に役立つ調査を専門に行う企業です。コン サルティング サービスとして、ソート リーダーシップの概念を取り入れた調査、批判的分析、世界レベルの営業組 織とのベンチマーク比較、戦略課題のカスタム分析などを提供し、お客様の営業戦略の策定と強化を支援します。また、 世界レベルの営業組織が実施するベスト プラクティス、戦略、意思決定の枠組みを広範囲にわたって調査し、お客 様がこれらの分析データを社内で活用できるよう、調査結果の公開や、基調講演、プレゼンテーション、コンサルティ ング サービスの提供を行っています。 11
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