第5章 経営指標と目標値

第5章
経営指標と目標値
1.経営指標の選定
2.経営目標の基本的考え方
3.資産・業務戦略に関する指標及び目標値
4.組織・人材戦略に関する指標及び目標値
5.財務戦略に関する指標及び目標値
6.広報戦略に関する指標及び目標値
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1.経営指標の選定
経営指標の選定
経営指標は、既存資料(業務状況の公表、公共下水道事業の経営健全化のため
のガイドライン、経営評価のための業務指標)の経営指標や、総務省が実施した
「経営比較分析表」の指標及び財務分析から見えた課題を解決するための指標
から選定しています。
基本的に、ガイドラインの経営指標は継承し、4つの戦略ごとに、各項目のバ
ランスにも配慮し、重要業績評価指標*(KPI)を設定しました。
図表 59 各種既存指標との整理
2.経営目標の基本的考え方
経営目標の基本的考え方
本戦略期間内に、類似中核市 *平均に到達できるよう目標設定を行いますが、
すでに類似中核市*平均に到達している指標は、より高い目標を設定します。
また、計画期間内の到達が困難なものでも、大規模更新時代(平成43年度)
までには類似中核市*平均の水準まで改善することを目指します。
なお、経営指標には目標値を定め、毎年度、進捗状況を確認するとともに、
その数値を類似中核市 *平均と比較することで、本市の特性や問題点を把握し、
さらなる改善策を検討します。
※類似中核市の詳しい説明は、72ページに掲載しています。
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3.資産・業務戦略に関する指標及び目標値
資産・業務戦略に関する指標及び目標値
資産・業務に関する経営指標として、効率性を示す「水洗化率 * 」、生産性を示す
「損益勘定職員1人当たり使用料収入*」を選定しました。
また、総務省の経営比較分析表により、「老朽化の状況に関する指標」が選定
されたため、財務の健全性だけでなく、下水道施設の約8割を占める管渠につ
いて、計画的な改築更新*の進捗状況を説明するため「管渠の改築更新率*」を
新たに設定しました。
図表 60 資産・業務戦略に関する経営指標及び数値目標等
項 目
指 標 名
効率性
水洗化率
損益勘定職員1人
生産性
当たり使用料収入
施 設
安全性
管渠の改築更新率
H27 決算
見 込
数値目標等
(H29~H33)
数値目標等
(H34~H38)
92.0%
92.5%以上
93.0%以上
望ましい
方向
1 億 1,860 万円 1 億 2,300 万円以上 1 億 2,600 万円以上
長寿命化計画の計画終了年度の
改築更新率100%
-
4.組織・人材戦略に関する指標及び目標値
組織・人材戦略に関する指標及び目標値
組織・人材に関する経営指標は、新規配属者の技術力の維持・向上のため、
外部講習会参加率を設け、また、技術継承を確実にするため、他都市に先駆け、
「引継ぎ実施率」や「マニュアル化率」も新たに設定しました。
図表 61 組織・人材戦略に関する経営指標及び数値目標等
項 目
指 標 名
数値目標等
(H29~H33)
数値目標等
(H34~H38)
能力開発
外部講習会参加率
※新規配属者(業務単位)
を対象とする。
100%
(毎年度)
100%
(毎年度)
引継ぎ実施率
100%
100%
マニュアル化率
100%
100%
及び
技術継承
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望まし
い方向
5.財務戦略に関する指標及び目標値
財務戦略に関する指標及び目標値
財務に関する経営指標は、コスト、収益性、安全性の3項目を設定しました。
具体的にコストは、「処理区域内人口1人当たり汚水維持管理費*」、収益性
は「経常収支比率*」、安全性は「累積欠損金」「流動比率*」「借入金残高対使
用料収入倍率*」「企業債依存度*」「処理区域内人口1人当たり借入金残高*」
「自己資本構成比率*」の6指標を設けました。
なお、安全性の指標を他の指標より多く設けたのは、複数の観点から経営を
管理することで、財務の安全性を維持向上していくためです。例えば、人口減少
を踏まえ、実質的な世代間の公平性を確認する観点から「処理区域内人口1人
当たり借入金残高*」を採用し、また、事業規模に対する借入金残高の適正化を
図る観点から「借入金残高対使用料収入倍率*」を採用しています。
図表 62 財務戦略に関する経営指標及び数値目標等
項 目
コスト
収益性
H27 決算
見 込
数値目標等
(H29~H33)
数値目標等
(H34~H38)
処理区域内人口
1人当たり
汚水維持管理費
5,911 円
6,090 円以下
(毎年度)
6,090 円以下
(毎年度)
経常収支比率
106.3%
107.0%以上
115.0%以上
70 億 5,794 万円
-
累積欠損金の解消
流動比率
39.2%
89.0%以上
100.0%以上
借入金残高対
使用料収入倍率
23.1 倍
20.0 倍未満
16.5 倍未満
企業債依存度
57.8%
60.0%未満
(毎年度)
60.0%未満
(毎年度)
424 千円
362 千円以下
292 千円以下
49.8%
53.6%以上
58.8%以上
指 標 名
累積欠損金
安全性
処理区域内人口
1人当たり
借入金残高
自己資本構成比率
70
望ましい
方向
6.広報戦略に関する指標及び目標値
広報戦略に関する指標及び目標値
広報に関する指標は、情報の量と質の項目を設定しました。
まず、情報の量は、各種媒体を活用した「延べ情報発信回数」とし、情報の質
は、今後3年程度の取組を踏まえたうえで、アンケート調査を実施し「広報満足
度」「下水道事業理解度」を設定することにしました。
なお、広報に係る指標は、量又は質の一方の指標だけでは、広報活動の効果を
十分に測定できないため、両指標の目標値を同時に達成する必要があります。
図表 63 広報戦略に関する経営指標及び数値目標等
項 目
情報の量
指
標
名
延べ情報発信回数
(HP を除く)
広報満足度
情報の質
下水道事業理解度
数値目標等
(H29~H33)
数値目標等
(H34~H38)
5回/年
5回/年
H29~H31 の取組を
踏まえてアンケート等
を実施し、その結果に
基づき方針を決定
左記の検討を踏ま
えて設定する。
71
望まし
い方向
【類似中核市の補足説明】
総務省は処理区域内人口などにより類似団体を区分し、本市は「Ac1」(42団体)です。
平成 26 年度「経営比較分析表」類似団体区分
[公共下水道区分一覧表]
処理区域内人口区分
処理区域内人口密度区分
供用開始後年数別区分
政令市等
100人/ha以上
50人/ha以上
21
Aa
36
Ab
31
Ac1
42
30年未満
Ac2
7
Ad
50
100人/ha以上
Ba
7
30年以上
Bb1
15
30年未満
Bb2
11
30年以上
Bc1
42
30年未満
Bc2
35
30年以上
Bd1
111
30年未満
Bd2
65
Ca
4
30年以上
Cb1
11
15年以上
Cb2
38
15年未満
Cb3
19
30年以上
Cc1
54
15年以上
Cc2
210
15年未満
Cc3
113
30年以上
Cd1
21
15年以上
Cd2
160
Cd3
68
50人/ha以上
50人/ha未満
75人/ha以上
50人/ha以上
3万未満
政令市等
50人/ha未満
75人/ha以上
3万以上
団体数
30年以上
75人/ha以上
10万以上
類型区分
25人/ha以上
25人/ha未満
15年未満
【出典:総務省】
また、今回の経営目標を設定する際には、上記の「Ac1」のうち、規模や経営環境が近い「類似
中核市*」(42団体のうち、平成26年度末時点で地方公営企業法を適用している中核市をいう。)
18団体を選定し、経営指標の平均値を算出し、数値目標の参考にしています。
類似中核市(18団体)の平均
項 目
指 標 名
効率性
水洗化率
生産性
損益勘定職員1人当たり使用料収入
コスト
収益性
93.9%
9,166万円
処理区域内人口1人当たり汚水維持管理費
7,335円
経常収支比率
104.8%
累積欠損金
安全性
類似中核市平均
8市
流動比率
50.7%
借入金残高対使用料収入倍率
14.9倍
処理区域内人口1人当たり借入金残高
239千円
自己資本構成比率
53.1%
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