安全を守り、品質・サービスを総点検し、結集力で「世界の

ANA HOLDINGS NEWS
2017年ANAグループ年始式 グループ CEO 年頭挨拶(骨子)
第 16-026 号
2017 年 1 月 4 日
『安全を守り、品質・サービスを総点検し、
結集力で「世界のリーディングエアライングループ」を目指そう』
ANAホールディングスCEO 片野坂真哉
年頭にあたりひと言ご挨拶申し上げます。
昨年を振り返りますと、年明けから秋口にかけて予想外の円高が進行しました。株価も伸びず、私も含
め多くの企業経営者の市場予想が外れました。6 月の英国の EU 離脱の国民投票と 11 月の米国次期大
統領選も世界中の人々の大方の予想と逆の結果となりました。
我が国経済は、デフレからの脱却に向けた日銀のマイナス金利政策や思い切った金融政策が打ち出
されながらも、物価上昇の目標達成への手応えが感じられませんが、米国トランプ次期大統領の積極財
政と「強いアメリカ」の宣言以降、世界的にもドル高が進み、これらもまた大方の専門家の予想に反する
動きとなりました。それに伴い、株価も回復しています。
ANAグループにとって、昨年は国際線定期便就航 30 周年でした。
ANAは、数多くの困難を乗り越え、国際線ネットワークは、武漢・プノンペンへの就航により 19 カ国・地
域、41 都市に拡大しました。フルサービスキャリアとしてお客様から高い評価をいただき、「SKYTRAX
5 スター」を 4 年連続で獲得できました。
LCC では、バニラエア、Peachが知名度を上げ、国内外の新しい航空需要を生み出しています。
グループ全体でも、空港会社、航空機整備会社、旅行会社、商社、貨物物流会社をはじめ、全ての事
業会社が厳しい経営環境の中でそれぞれに健闘、貢献し、減収の中でも最高益を更新する上期決算に
も結実しています。
しかし、全てが順風満帆という訳ではありません。3 月にはブリュッセルでテロが発生し、就航から好調
だった成田=ブリュッセル線も一時運休を余儀なくされました。4 月には熊本で大地震が発生し、九州全体
に大きな被害が及びました。
自らの事業においても課題の多い年でした。3 月の国内線旅客システム障害、ロールスロイス社製エ
ンジンブレードの破損、8 月の羽田空港のシステム不具合による手荷物未搭載、保安検査場や搭乗ゲー
トにおける不安全事象の発生など、オペレーションにおいて、お客様にご迷惑とご心配をおかけする事態
が連続しました。
全社を挙げての再発防止策の実行、フロントラインと経営層の対話をはじめ、お客様の信頼回復に取
り組みながらの越年となりました。
ANAホールディングス グル-プ広報部 03-6735-1111
さて、いよいよ 2017 年がスタートしました。
世界の政治・経済の動向から一時も目が離せません。トランプ大統領就任後の米国経済の変化、外
交政策、英国の EU 離脱交渉、欧州主要国の選挙、そして世界的な反グローバリズムの台頭、日本・アジ
アのトップリーダーと中国のトップリーダーとの政治的、経済的駆け引きなどの動きが、我が国、日本企業
そして我々エアライングループの事業に直接的、間接的にインパクトを与えます。観光立国政策や地方
創生などを含め、我が国の政治、経済の動向も同様に目が離せません。
そこで 2017 年。どう進むべきか。
①次なる成長ステージに向け、初心に返り、新たな一歩を踏み出す。
②今年と来年は、事業規模拡大のペースはこれまでの 3 年間よりはやや緩やかになる。この 1 年、安
全を守り抜くことに加え、ANAグループの品質とサービスの総点検をおこなう。
③品質やサービスを単にチェックするだけではなく、競合他社の新しいサービスに負けないよう、磨きあ
げる。お客様の嗜好の変化に対応できるよう、発想の転換が必要。
④国際線で成長するという中期の基本戦略に変更はない。ここぞという海外の都市には、必ず翼を伸
ばしていく。バニラエアの奄美大島就航による成功に倣えば、国内線においても新規路線の可能性
は必ずある。
⑤訪日外国人需要の取り込み、越境 e コマースの強化、フレーター物流事業の黒字化、ANA顧客資
産ビジネスの拡大、AI、IoT、オープンイノベーションを活用した新規事業など、スピードを上げる。
2017 年の経営の目標を漢字一文字で表すとすれば、「結」です。
国際線 30 周年の記念の年は終わり、競合他社が国内、海外で攻勢を強めます。ひとりでは対抗でき
ません。仲間、上司、後輩など社員同士のみならず、協力会社やお取引先企業の方々も含めたコミュニ
ケーション、チームワーク、結束力で乗り切っていきましょう。
どのように新しい年を迎えようとも、我々の事業の根幹は、安全の堅持に尽きます。今年も安全を守り、
全グループ役職員の力を結集して、世界のリーディングエアライングループを目指しましょう。
以 上