市 の 財政 は 健全 で す か ?

決算から見る柏崎市の財政状況
市の財政は
健全ですか?
該当なし
早期健全化
基準(※1) 財政再生基準
12.06%
20.0%
該当なし
17.06%
30.0%
全会計の実質的な赤字が、標準財政規模に対してどのくらいの割
合であるかを示す指標です。
実質公債費比率
地方公共団体は、統一的な指標で
柏崎市
一般会計などの実質的な赤字が、標準財政規模(※2)に対して
どのくらいの割合であるかを示す指標です。
連結実質赤字比率
財政状況を把握するため、四つの財
政指標である健全化判断比率を算定
し、公表しなければなりません。こ
の比率が健全化判断基準で定められ
ている「早期健全化基準」や「財政
再生基準」を超えた場合は、財政状
況を改善するための計画を策定しな
ければなりません。
●早期健全化基準
財政収支が不均衡で財政状況が悪
化し、自主的・計画的に財政の健全
すべての指標で基準以下(該当なし)でした
項目
実質赤字比率
化を図る必要があるとする基準
●財政再生基準
財政収支が著しく不均衡で財政状
況が著しく悪化し、自主的な財政の
健全化を図ることが困難であるとす
る基準
■健全化判断比率
14.7%
25.0%
35.0%
一般会計など市会計全体の実質的な借入金の返済額が、標準財政規
模に対してどのくらいの割合であるかを示す指標です。返済額は、一
般会計の返済額の他に公営企業会計などの借金返済を助けるために支
※1 「早期健全化基
準」は、財政状況の悪
化に対する警告ともい
えます。サッカーで例
えると「イエローカー
ド」です。
※2 標準財政規模は、市の標
準的な収入のことで、標準的
な税収に普通交付税と臨時財
政対策債発行可能額を加えた
ものです。
県内ワースト 2位 (昨年 3位)
全国ワースト 88位 (昨年74位)
比率抑制のための財政運営を
行っています。また、公営企業会
計への繰出金の見直しにも取り組
んでいます。
出した費用(繰出金)などを含めて計算します。
市は、下水道事業などの社会資本整備を積極的に進めてきたため、
比率が高くなっています。市町村合併に伴い解散した広域事務組合の
債務を継承したことや、中越沖地震の災害復旧のための借り入れも比
率が高い原因となっています。
将来負担比率
50.7%
350.0%
-
公営企業会計などを含めた市全体の会計が抱える実質的な負債の残
高が、標準財政規模に対してどのくらいの割合であるかを示す指標で
す。負債残高には、市債残高や債務負担行為に基づく支出予定額など
が含まれる他、第三セクターの負債も含まれます。
市は、実質公債費比率と同じ理由で全国でも高い比率になっていま
す。
県内ワースト 21位(昨年 19位)
全国ワースト 574位(昨年504位)
基金(貯金)がある場合、負債
残高から基金残高が差し引かれる
ことになっています。
この比率が100%の場合、市の
1年分の収入額全額が将来にわた
り負債すべき額として存在してい
ることになります。
※県内30市町村、全国1,741
市町村の順位。
広報かしわざき 決算特集号 2017.1 12
財政分析編
■財政の弾力性は?
経常収支比率は89.7%
義務的経費(人件費・扶助費・公債費)
や物件費・維持補修費を経常経費といいま
す。経常収支比率は、市税・地方交付税な
どの経常的な収入が経常経費にどの程度使
われているかを示しています。
105
100
95
この比率が高いと景気の変動や地域社会
の変化などに対応する力が低いといわれて
います。
経常収支比率
%
96.1
97.4
93.8
90
91.9
89.7
0
平成23
市の経常収支比率は、平成19年度に中越
24
25
26
27
年度
沖地震の影響で104.1%と大きく悪化しまし
たが、平成27年度は89.7%と改善しています。市の経常収支比率は、県内20市の中ではワースト8位です
が、県内平均(90.0%)より良好といえます。引き続き財政の硬直化抑制に努めます。
■財政の余裕は?
財政力指数は0.696
財政力指数は、地方交付税(普通交付税)
を配分するための指標で、指数が小さいほど
0.9
財政力指数
%
財政力が弱く、1を下回った場合は地方交付
税が交付されます。
0.8
市は、普通交付税をもらわずに行政運営を
していた時期もありましたが、平成12年度
0.7
0.694
以降は、普通交付税をもらっています。しか
し、市の財政力指数は、県内20市の中で2番
目に良い数値となっています。
■借金返済の負担は?
0
0.705
0.707
24
25
26
おける借金返済の割合が高く、財政の弾力
21
性・自由度が乏しいといえます。市の実質
20
公債費比率は、依然として高く、県内20市
の中ではワースト2位ですが、数値は年々改
27
年度
19
14.7
27
年度
実質公債費比率
%
20.0
19.0
18
17.7
17
15.6
16
15
0
13 広報かしわざき 決算特集号 2017.1
0.696
実質公債費比率は14.7%
実質公債費比率が高いほど、市の収入に
善しています。
平成23
0.699
平成23
24
25
26
決算から見る柏崎市の財政状況
市債
(借金)
の残高は減少しています
市民1人当たりの借金は約 万2千円
■支払いを約束した金額は
億3121万円
債
―務負担行為
■公有財産の状況は?
市が持っている財産は、土地・建
物・有価証券・出資金です。
束することです。翌年度以降の支払
などの「公用財産」と、一般的に市
行政が事務のために使用する庁舎
●行政財産
いを約束したものは、最終的にいず
民が共同で利用する道路や学校など
債務負担行為は、将来の支出を約
れかの年度の歳出予算に計上される
の「公共用財産」の総称です。
貯金は約 万4千円
支出に備える「財政調整基金」、市
ため、後年度の財政運営を拘束する
9,031平方メートル
有価証券
5,529万円
出資金
7,406万円
■借金は財源確保と世代間負担の公
債の返済に備える「減債基金」、施
普通財産
平化のために
ことになります。平成
42万 38平方メートル
行政財産以外の、市が持っている
●普通財産
策の安定的な運営や特定の目的を達
育施設などの指定管理委託に係る債
行政財産
全ての財産です。
847万7,513平方メートル
務負担行為を設定したため、支出予
普通財産
年度は、体
成するための「特定目的基金」など
27 年度
年度末現在の市債(借金)
15 61
300
平成
があります。
1,096万2,589平方メートル
の残高は、531億957万円です
行政財産
定額が増加しました。
20
(前年度比、約 億円減)。
400
27
40
道路や学校・保育園など、長期間
公有財産の状況
使用する公共施設の建設には、多額
の経費が必要です。そのため、建設
費用の一部を市債(借金)で賄うこ
27 年度
26
25
とがあります。返済を後世代の方に
55
60
も負担していただくことで、世代間
42万9,069平方メートル
建物
や建設後に転入した市民の負担が公
1,944万 102平方メートル
土地
平になるからです。
年度末現在の基金
■基金は将来の備えのために
一方、平成
億円
(貯金)の残高は、134億123
9万円です(前年度比、約
74
73
内容
種別
80
87
80
24
平成23
0
増)。
基金の種類として、大幅に税収が
減少した場合や災害などの予定外の
80
債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額
億円
100
134
131
100
531
542
11
27
139
147
131
200
24
25
26
市債現在高 基金現在高
平成23
0
3
560
574
589
500
市債・基金の年度末残高
億円
600
27
広報かしわざき 決算特集号 2017.1 14
企業会計の考え方を取り入れた
平成 年度から財務4表を
作成し、公表しています
の財政状況をより分かりやすく把握
します。
を用いて、市の財政状況をお知らせ
もご覧ください
「もう一つの決算書」
することができます。
■財務4表を作成・公表します
年度決
市は、総務省が示した「新地方公
会計制度」に基づき、平 成
■なぜ、企業会計の考え方を
(市債)などの負債の状況、行政サ
公共施設などの資産の状況、借金
この財務4表を作成・公表するこ
います。
資金収支計算書)を作成・公表して
会計の考え方を取り入れて財政分
「もう一つの決算書」は、企業
市は も
「 う一つの決算書 を
」 作成
しています。
取り入れるのですか?
ービスに伴う費用(コスト)や収益
コスト計算書・純資産変動計算書・
算から財務4表(貸借対照表・行政
20
一つです。 析をまとめたものです。今号でお
会計状況を表しているのが特徴の
とは、市民の皆さんに財務状況を開
ます。このストックとフローから
(手数料・使用料)が分かりにくく
フローと呼ばれる書類に分けられ
市の財務会計の経理は「何にいく
と「年度中」の増減や収支を示す
知らせできなかった 純
「 資産変動計
高を示すストックと呼ばれる書類
示し、今後の市のより健全な財政運
財務4表は「年度末」時点の残
なっています。
ます。
ら使うか(使ったか)」といった
年度中の現金の収支状況を表し
営を行うための分析資料にするため
④資金収支計算書
企業会計の考え方(資産・負債・
す。
「現金の動き」を中心にした会計制
い資産)の変動状況を表しま
算書 」「
資金収支計算書 を
」 含む財務
4表を詳しく掲載しています。
年度中の純資産(返済が必要な
に、とても重要です。
③純資産変動計算書
純資産・費用・収益)を取り入れる
料・手数料)を表します。
度になっています。
スの対価として得た収益(使用
市ホームページに掲載していま
費用(コスト)と、行政サービ
決算特集号では、財務 4表のう
年度中の行政サービスに要する
ことで「何にいくら使い、現在の財
②行政コスト計算書
この制度は、現金の動きが分かり
かを表します。
すので、ぜひご覧ください。
のような財源で備蓄してきたの
ち、貸借対照表と行政コスト計算書
年度末の資産状況と、資産をど
産はどのくらいあるのか」など、市
①貸借対照表
やすい反面、これまで整備してきた
15 広報かしわざき 決算特集号 2017.1
20
市の財政状況
財政分析編
●財務4表の種類と役割
決算から見る柏崎市の財政状況
長期延滞債権
6億円 退職手当引当金
5億円 その他
3億円 その他
4億円 19億円 財政調整基金・減債基金
55億円 負債・純資産合計 2,232億円
資産合計 2,232億円
70
64億円 73億円
ービスのための財産
固定負債(1年以上先に支払う債務)525億円
公共資産(土地・建物など) 1,909億円
地方債
投資など(出資金・基金など) 248億円
退職手当引当金
投資・出資金
流動負債(翌年度に支払う債務)
で形成された財産
年度末の資産合計は2232億円
貸借対照表で見る市の財政状況
平成
減少し、
した。
億円の積み立てになりま
一方、市の借金(負債)は、平 成
ています。市が所有する財産(土
ため「バランスシート」とも呼ばれ
に、約
どで約
デジタル無線整備、過疎対策事業な
億円の元金償還を行いまし
億円
年度
に返済する予定の借金(流動負債)
年度以降に返済す
多くは地方債で、毎年約
億円以上
しなければならない借金です。その
負債額は、市が将来にわたり負担
を目指します
■負債額を抑制し、将来負担の軽減
なっています。
る借金(固定負債)が461億円に
億円、平成
負債の差額は「純資産」といい、今
地方債残高の内訳は、平 成
11
28
461億円 市の借金など、これから負担する債務
市民1人当たりの財産は257万円
貸借対照表は、市が年度末時点で
所有する財産と債務の状況を表した
ものです。「資金の使い道」と「資
年度に保育園施設整備、消防救急
地・施設・現金)を「資産」として
た。そのため前年度に比べ 、
億円を借り入れるととも
左側に表し、この資産のうち、今後
54 43
が
として右側に表しています。資産と
減少しました。
金の調達先」の合計が必ず一致する
79
負担すべき債務(借金)を「負債」
27
までに形成された財産に使われた財
年度末の資産合計は、 22
源を表しています。
平成
32億円、市民1人当たりの財産は
257万円になっています。
■平成 年度と比べると …
市の貯金である基金(財政調整基
29
今までの負担(市税や国・県の補助金など)
1億円 その他
1,634億円
現金
純資産
75億円
流動資産(現金など)
64
資産の約 %は過去・現世代の負担
資 産 2,232億円
64億円 地方債
79億円 基金など
598億円
負 債
資金の使い道
27
金・減債基金を除く)は、約 2億円
50
27
26
30
市が整備した施設や現金など、行政サ
160億円 資金の調達先
資産の約 %は将来世代の負担
貸借対照表(バランスシート)
広報かしわざき 決算特集号 2017.1 16
財政分析編
は、施設を整備する年度の資金不足
連の地方債残高は減少しています。
が、償還も順調に進み、災害復旧関
の返済を行っています。地方債制度
の解消や施設を利用する将来世代と
の負担の公平性を図るものです。
流動資産
3.4%
75億円
(8万6,000円)
市は、 2度の震災の災害復旧事業
投資など
11.1%
248億円
(28万6,000円)
や復興関連経費に、地方債の借入れ
資産の性質別内訳
資 産
消防(防災・災害対策)
2.0%
38億円(4万4,000円)
総務(行政運営)
10.0%
191億円(22万円)
※図表の( )の数値は市民1人当たりの金額です。
17 広報かしわざき 決算特集号 2017.1
多く整備してきたことが分かりま
教育(学校・生涯教育)
28.9%
552億円(63万6,000円)
す。
産業振興(商工業・農林水産業)
11.4%
217億円(25万円)
生活インフラ・
国土保全
(道路・公園の整備)
公共資産
42.0%
1,909億円
803億円
(219万8,000円) (92万4,000円)
85
・5%は、土地・建物な
売却可能資産
0.1%
1億円
(1,000円)
環境衛生(保健・医療)
3.0%
58億円(6万6,000円)
■資産の
目的別で見ると、道路・公園など
福祉(介護・子育て)
2.6%
49億円(5万7,000円)
を余儀なくされた経緯があります
また、新規事業などの地方債の発
の生活インフラや、小学校・図書
公共資産の目的別内訳
どの公共資産です
行に、一定の制限を設けることで、
公共資産
85.5%
1,909億円
(219万8,000円)
館・コミセンなどの教育関係施設を
(257万円)
負債額の抑制に努めています。
2,232億円
決算から見る柏崎市の財政状況
億円増加
行政サービスに使われた費用
(コスト)
は363億円
経常行政コストは前年度より約
備 費 以 外 の 行 政 サ ー ビ スに ど れ だ
行政コスト計算書は、施設の整
組みが大切です
改革の推進、コスト削減の取り
■施設の計画的 な維持修繕と行政
行政サービスの費用を誰が負担し
持管理経費の増加が予想されま
今後は、施設の老朽化などで維
た。この費用は、サービスの利用
かった費用は、 363億円でし
維持修繕を図ることが大切です。
画 」に 基 づ い た 、 適 切 で 計 画 的 な
「柏崎市公共施設等総合管理計
の347億円は、市税や国・県か
スに 充 て ら れ る 経 費 で す 。 市 は 、
体 が 住 民に 対 し て 行 う 行 政 サ ー ビ
給付にかかるコストが一番多く
151億円
(平成26年度は、137億円)
68億円
137億円
給付にかかるコスト
151億円
【性質別の内訳】
経常行政コスト 363億円
25
給付・物にかかるコストは高い傾向
け費用(コスト)がかかったのか
ているかを見ることもできます。
す。健全な財政運営を行うため
を 性 質 ・ 目 的 別に 示 し て い ま す 。
年 度 の 行 政 サ ー ビ スに か
者が直接負担する使用料や手数料
行政コストは、全国の地方自治
平成
億円、不足
らの補助金などで賄われました。
限られた財源の中で市民の皆さん
など(経常収益) で
年 度に 引 き 続 き 、 公 営 企 業
に 行政サービスを提供し、健全な
平成
会計など他会計への繰出金や補助
の 推 進 と コ ス ト 削 減に 取 り 組 ん で
財政運営を行うため、行財政改革
も多くなりました。
いきます。
金 な ど の 給 付に か か る コ ス ト が 最
依然として、給付と物にかかる
コストは高い傾向にあります。
平成27年度は
7億円
その他のコスト
+ 市税・地方交付税・補助金などで賄うコスト
サービスの利用者が直接負担
する使用料・手数料など
物にかかるコスト
(性質・目的別に分類)
純経常行政コスト 347億円
経常収益 16億円
コストの負担者
16
人にかかるコスト 施設整備以外にかかる行政サービスのコスト
コストの内訳
27
26
行政コスト計算書
広報かしわざき 決算特集号 2017.1 18
性質別では給付にかかる
経常行政コストの性質別内訳
福祉が最も多く ・7%
目的別では
経常行政コストの目的別内訳
32
・ 7 %( 1 1 9
19 広報かしわざき 決算特集号 2017.1
経常行政コストを目的別に見ると、福祉
※図表の( )の数値は市民1人当たりの金額です。
億円)、教育
生活インフラ・国土保全
(道路・公園の整備)
教育
17.8% 65億円
(学校・生涯教育)
(7万4,000円)
12.5% 45億円
(5万2,000円)
65
給付にかかるコストは、社会福祉費、子育て(保育所サービ
363億円
(41万8,000円)
17
・ 8 %(
総務
(行政運営)
11.7% 42億円
(4万9,000円)
経常行政
コスト
45
億円)、生活インフラ・国土保全
産業振興
(商工業・農林水産業)
9.4% 34億円
(3万9,000円)
福祉
(介護・子育て)
32.7% 119億円
(13万7,000円)
ス)、生活保護費などです。
環境衛生
(保健・医療)
8.5% 31億円
(3万6,000円)
億円)の順に多くの費用が使われています。福
その他
1.9% 7億円
(8,000円)
12
・ 5 %(
議会
0.9% 3億円
(4,000円)
われたためです。
消防
(防災・災害対策)
4.6% 17億円
(1万9,000円)
25
億円増加しまし
維持管理費
委託費
需用費
臨時職員賃金
減価償却費など
26
年度に比べ、約
物にかかるコスト
37.8%
137億円
(15万8,000円)
保育園
生活保護
補助金
他会計繰出金
など
経常行政コストは、平成
363億円
(41万8,000円)
祉の割合が高くなっているのは、子育て(保育所サービ
経常行政
コスト
た 。 構 成 比 は 、 給 付 に か か る コ ス ト が 1・ 2%、 人 に か か る コ
人件費など
給付にかかるコスト
41.6%
151億円
(17万4,000円)
ス)・介護・生活保護などのソフト事業にも多くの費用が使
人にかかるコスト
18.7%
68億円
(7万8,000円)
ス ト が 0・ 9 %増 加 し 、 物 に か か る コ ス ト は 1・ 8 %減 少 し ま
した。
借金の
利息など
コストが最も多く ・6%
財政分析編
その他のコスト
1.9% 7億円
(8,000円)
41
32