退院支援加算・家族支援・院内デイケア他に関する質問

「平成 28 年度インターネット配信研修[リアルタイム]認知症高齢者の看護実践に必要な知識」
(10 月 13・14 日開催)
Q&A 受信会場での質問と回答
退院支援加算・家族支援・院内デイケア他に関する質問
Q1
退院支援加算について教えてください。
都道府県
神奈川県
質問内容
テキスト P73「診療報酬改定 退院支援加算」のスライド内に(新)と(改)の2つの表記が
ありますが、現在適応されているのはどちらですか?
ご質問にある「診療報酬改定 退院支援加算」の表記について、回答させていただきます。
(新)
は、今年度新たに新設された項目を示す表記であり、
(改)は既存の項目を改定した場合を示す
表記です。従って、テキスト P73 にあるスライドは、今年度から適用される退院支援に関する
加算になりますので、どちらも適応となる項目です。
回答欄
スライドの内容をご覧いただくとお分かりのように「退院支援加算1」
「退院支援加算 2」と
あります。昨年度まで、
「退院調整加算」と称されていたものが「退院支援加算 2」と名称が改
められ、入院日数に応じた評価を廃止しています。
「退院支援加算」は、1~3 まであり、それぞ
れ施設基準が異なっています。詳しくは、厚生労働省のホームページをご参照ください。
なお、平成 30 年度は、診療報酬と介護報酬が同時に改定される年であり、医療界では注目の
年となっています。
参考資料
厚生労働省ホームページ 診療報酬 個別改訂項目 p103-105
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000112306.pdf
Q2:認知症でショートステイをしている家族にどのように接したらよいか教えてください。
都道府県
質問内容
父 88 歳は、認知症でショートステイに入所しています。娘である私のことを忘れてきておりま
秋田県
す。初めの頃は、施設によく面会に行きましたが、最近は足が遠のいてきています。こんな認
知症の患者さんの家族は多いと思いますが、家族に対し、どのように接していったらいいのか、
私自身も悩んでいます。アドバイスをよろしくお願いします。
質問を拝見し「娘である私の事を忘れてきている」と感じることは、大変寂しくその心痛が伝
わってくるようです。看護師としてその心の痛みが通じる分、戸惑うこともあるでしょう。
認知症が進行すると、ご家族のことがわからなくなったり、言葉や表情からの反応がわかり
にくくなったりします。ご家族は、そんな変化を見るのが辛くなったり、どう接してよいかわ
回答欄
からなくなったりして面会が遠のく場合があります。そのような時は、ご家族がいない時間の
様子や変化を伝えるとともに、タッチングなどの非言語的コミュニケーションの重要性を伝え
たり、清潔ケアなどに一緒に参加していただいたりする関わりもケアの一つです。そして、ご
家族がいない時間帯の認知症の方へのアプローチとして、ご家族の話題をしたり、写真を見せ
たりしながら絆をつなぐ関わりも必要です。ただご家族が面会されなくなる要因は、ひとつで
はありません。先に示した方法でご家族と接しながら、ご家族が認知症という病気をどのよう
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「平成 28 年度インターネット配信研修[リアルタイム]認知症高齢者の看護実践に必要な知識」
(10 月 13・14 日開催)
Q&A 受信会場での質問と回答
に受け止めているのかについて、心中を探ってみてはいかがでしょうか。
また、ご家族に対する支援については、
「患者ケア、家族支援等への質問」
(10 月 21 日更新)
に参考になるアドバイスがありますので、ご参照ください。
参考資料
1.「平成 28 年度 インターネット配信研修[リアルタイム]認知症高齢者の看護実践に必要な知識」講義資料
高梨早苗講師 P.104「家族の支援」~P.105「家族支援」
2.中島紀惠子(2016)
.1 認知症者の家族の特徴 第Ⅶ部 認知症者と家族への支援, 認知症ケアガイド
ブック 編集公益社団法人日本看護協会 株式会社照林社 P.216~P.217.
3. 藤崎あかり(2016)
. 2 認知症者を支える家族アセスメントの方法 第Ⅶ部 認知症者と家族への支援
前掲書1 P.218~P.221
4. 髙見国生(2016)
.5 認知症者と家族を支える団体 第Ⅶ部 認知症者と家族への支援 前掲書 2 P.229
~P.231.
Q3:高齢者集団ケアを行う際、スタッフを説得できる根拠を教えてください。
都道府県
質問内容
高齢者集団ケアを行う事で、行う前と比べどの位抑制する患者様が減ったのか、割合でもいい
青森県
ので具体的に知りたい。 (転倒を恐れて「抑制をしない」ということに対する不安・抵抗の
あるスタッフもいると思う。具体的な数での成功例のようなものがあると説得力があると思っ
たので。
)
高齢者集団ケアは、それぞれの医療機関で様々な形で実施されることや、まだ取組み始めた段
階であるため、ご質問にある「割合」で表現できるかわかりませんが、本講義のスライドの引
用文献として挙げられている研究(参考資料1)でその効果が示されています。
急性期病院で高齢者集団ケアを行うと、他者とのかかわりが促進され、生活リズムの調整、身
体抑制からの一時的な開放につながり、認知症患者さんに変化が出るようです。結果として、
回答欄
認知症患者さんの入院生活の QOL の向上に影響していました。その他、別施設における取り
組み事例でも、高齢者集団ケアを行うと、同時に一時期でも身体拘束を解除する時間が取れる
事から、せん妄の改善や BPSD の軽減を図ることにつながったという報告(参考資料2)があ
ります。
このケアを通じて、一人でも多くの認知症高齢者が穏やかに過ごすことができる環境につな
がればと思います。
参考資料
1.吉村浩美・鈴木みずえ・高木智美他(2013)急性期病院における Person-centered Care をめざした高齢者
集団ケアの取組み 看護研究 46(7) p713-722.
2.加藤滋代(2014)認知症高齢者の QOL 向上を目指した“院内デイケア”の取組み 看護
79.
2
66(11)p75-
「平成 28 年度インターネット配信研修[リアルタイム]認知症高齢者の看護実践に必要な知識」
(10 月 13・14 日開催)
Q&A 受信会場での質問と回答
Q4
下記の質問にお答えしました。
都道府県
質問内容
長寿花子さんの事例検討のアセスメントのスライドだけでなく、①2.家族にどのようなケアが
三重県
必要だと思いますか?のスライド②意思決定支援の概念図のスライド③結果のスライドについ
てももう一度見せていただきたいです。
福岡県
講義資料p61-62 のスライド 65・72 の追加情報と回答を教えてもらいたい。
認知症高齢者の在宅移行に向けた情報共有と実際
三重県
スクリーニングアセスメント記入用紙が
スライドに明記されていましたが、もう一度詳しく見せて頂きたいです。日々の認知症アセス
メントの参考にさせて頂きたいです。日々、どの様にアセスメントしているのか教えてくださ
い。
埼玉県
公開カンファレンスで警察へのアプローチの仕方を教えて下さい。
ご質問ありがとうございます。いただきました要望内容のスライドは、研修終了後に、各受信
会場で掲示させていただきました。
(既に終了しています)なお、認知症患者さんのアセスメン
トの視点について、良い資料がありますので、以下にお示し致します。
認知症高齢者の情報は、様々な方法で入手する事ができます。認知症患者さんとのコミュニケ
ーションや医療者間・家族等との話、カルテや入院時のオリエンテーションの際など、様々な
場面で入手が可能です。電子カルテは、情報を得るため、そして情報を看護師や他職種へ伝達
するための手段として捉え、日々変わる認知症患者さんのアセスメントは、看護師個人で行う
回答欄
ことはもちろんチームで行ない、広い視野とより良いケアにつなげていたければと思っており
ます。
最近、インターネットを見ていると、公開カンファレンスを見ることがあります。申込参加者
間による意見交換がネットを通じて行われ、その様子を誰もが見ることができる、という今の
時代を映し出す方法論だと思います。公開、非公開を問わずカンファレンスを開催するには、
その目的があります。ご質問にある「警察」へのアプローチがなぜ必要なのか、この質問から
は読み取ることができません。公開カンファレンスを開催するその目的や開催メンバー間で、
カンファレンスの進行方法などを含め検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
生活機能からみた 老年看護過程+病態・生活機能関連図 第 2 版 山田律子編 2012.
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