2016年10月

ナミビア月報
(2016年10月)
在ナミビア日本国大使館
【内政】
●独立闘争の士ハムテニャ元外務大臣死去
●教師による賃上げ要求全国スト
●ガインゴブ大統領、NEEEF を堅持しつつも内容には柔軟対応を示唆
【外交】
●ボツワナとの間で国境管理体制構築の協定締結へ
●国際関係・協力大臣ベラルーシ訪問
【経済】
●中国への初の牛肉輸出当面延期
●ナミビア競争委員会、Areva 社供給の水料金を正当と認定
●水産会社大手、不漁で大量解雇
●ルアカナ水力発電所性能向上作業終了
●ナミビア中央銀行、7%の公定歩合を維持。
●9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比 6.9%
●海底リン酸採掘許可問題で漁業・海洋資源省、水産業界大反発
●シュレットヴァイン蔵相、本年度改定予算案を議会に提出。
【社会】
●アフリカ内でのガバナンス度の高さ、ナミビア総合5位
●ビジネスし易さ度(ease of doing business)でナミビア、総合108位
1.内政
●独立闘争の士ハムテニャ元外務大臣死去
5日、ナミビア独立闘争のリーダーの1人ヒデポ・ハムテニャ(Mr. Hidepo Hamutenya)
氏死去。SWAPO 幹部メンバーとして南アからの独立闘争を推進し、独立後はヌヨマ初代大統
領政権において情報・放送大臣、貿易産業大臣、外務大臣を歴任。2004 年の大統領選に出
馬するも敗北。党内の政争にも敗れ 2007 年に離党し民主前進闘争党(RDP)を結成し、以
後野党第一党党首となるも、2014 年の総選挙で野党第一党の座から陥落した責任を取って
政界を引退。2015 年 SWAPO に復党したが、結局一線に戻ることはなかった。同人を英雄の
碑(Heroes’ Acre)に埋葬するかについては SWAPO 内でも議論があったが、同人は独立闘争
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時代にガインゴブ大統領と朋友でもあり、同大統領のイニシアティブに長老(ヌヨマ、ポ
ハンバ両元大統領)が賛同する形で、英雄の碑に埋葬されることとなった。
●教師による賃上げ要求全国スト
15-16日、8%の賃上げを要求(政府提案は5%)し、ナミビア教師組合は全国の
公立学校でストを実施。2日間のストの結果、本年度は5%を受け入れる代わりに来年度
の9%増の政府確約を得て終結。
●ガインゴブ大統領、NEEEF を堅持しつつも内容には柔軟対応を示唆
31日から4日間の日程で、与党 SWAPO は2012年9月以来となる政策会議を開催。
初日の挨拶に於いてガインゴブ大統領(党総裁代行)は、NEEEF はより公平な経済の構築を
目指す SWAPO の党政策であり、そこからの逸脱はないと明言しつつも、NEEEF の掲げる企業
の所有権問題(最低25%は黒人保有の義務付け)については疑問あり、と発言し、企業
側から猛反発を受けている NEEEF の内容に変更もあり得る可能性を示唆した。
(注)New Equitable Economic Empowerment Framework。 南アの BEE に類似した黒人優遇
経済政策案。6項目(うち、所有権、経営権、技術支援の 3 項目は 10 ポイント以上が必
須)からなるポイント制で総合ポイントが50に満たない企業は政府調達への入札や政
府からの許認可取得で制限を受けることとなる。例えば会社所有権の最低25%、或い
は取締役会の構成員の最低 50%は黒人(原案では”previously disadvantaged people”)
であればそれぞれ 10 ポイント獲得、等。達成比率が高くなるほどポイントも高くなる仕
組み。2月からパブコメに付され、未だに議論が続いている。主要経済団体、有識者等
は概ね反対の立場(NEEEF は現在の富の再配分にはなり得ても国富の拡大には資さない。
政府の貧困格差解消という主題は理解するが、NEEEF ではなく経済成長戦略をとるべし、
等)
。
2.外交
●ボツワナとの間で国境管理体制構築の協定締結へ
5日、トウェヤ情報・通信技術大臣(政府スポークスマン)は、近くボツワナとの間で
国境管理体制を構築する協定を締結すると発表。ボツワナと河川や湖沼を介して接してい
るザンベジ州及び東カヴァンゴ州がその対象となる。6日付ナミビアン紙は、かかる協定
締結の背景には、ボツワナ国軍が河川地帯における密猟取り締まりと称してこれまでにナ
ミビア人30名(ジンバブエ人22名)を死に至らしめている現状があると報じた。
●国際関係・協力大臣ベラルーシ訪問
22~25日、ナンディ=ンダイトワ国際関係・協力大臣は、ベラルーシを訪問。報道
によれば、教育担当省間協力、鉱山開発協力等に合意。
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3.経済
●中国への初の牛肉輸出当面延期
4日付、サン紙は、6月にナミビア一部地域で発生した牛の塊皮病(lumpy skin disease)
により、中国への初の牛肉輸出は少なくとも今後12ヶ月はできなくなったと報道。牛肉
輸出に関する中国との二国間取決めの中で狂牛病等に並んで塊皮病も12ヶ月間の輸出差
し止め対象となっているため。
●ナミビア競争委員会、Areva 社供給の水料金を正当と認定
4日、ナミビア競争委員会は、Areva 社の海水淡水化プラントが供給する水料金は高額す
ぎるとする水公社(NamWater)の訴えを退けた。同プラントは外貨(米ドル)ローンで建設
され近年のナミビアドル安分を料金に上乗せするのは正当との判断。
●水産会社大手、不漁で大量解雇
Lucky Star のブランドで鰯缶等を製造する水産会社大手 Etosha Fishing Corporation は、
近年の不漁により漁獲枠を下回る漁獲しか得られず、冷凍鰯の輸入による対応策も持続性
がないとしてウォルヴィスベイの工場従業員65名のうち21名を解雇すると発表(5日)
。
●ルアカナ水力発電所性能向上作業終了
7日、ナミビア電力公社(NamPower)は、アンゴラとの国境河川であるクネネ川にある
ルアカナ(Ruacana)水力発電所の3つのタービン改良作業が終了し、各タービンで5MW、
計15MW増え、総発電力が347MWになったと発表。
●ナミビア中央銀行、7%の公定歩合を維持。
19日、ナミビア中央銀行は、公定歩合(Repo Rate)を現行の7%を継続すると発表。
●9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比 6.9%
19日に国家統計局(NSA)が公表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比 6.9%
で、前月より 0.1%ポイント上昇。
●海底リン酸採掘許可問題で漁業・海洋資源省、水産業界大反発
19日、各紙は、オマーンの企業が許可申請していたウォルヴィスベイ沖120キロの
海底でのリン酸(phosphate)採掘事業に関し、環境・観光省環境コミッショナー(局長)が
9月5日付けで許可を出していたと一斉に報道。これに対し、漁業・海洋資源省及び水産
関連団体は水産資源に与える影響への懸念から大反発。外遊中であったエサウ漁業・海洋
資源大臣は「ショックである」とコメント。シフェタ環境・観光大臣は、手続きは正当に
踏まれたものであり、漁業・海洋資源省もコメントする機会があったにもかかわらず何ら
反論はなかったと説明。
27日、エサウ大臣は、国会の場でシフェタ大臣の対応を強く非難する異例の発言をし、
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審議が紛糾。クーゴンゲルワ=アマディーラ首相も収拾できず、結局ガインゴブ大統領は
本件協議のための特別閣議を来月7日に開催することを決定。
●シュレットヴァイン蔵相、本年度改定予算案を議会に提出。
27日、
「シュ」蔵相は、予算の年央見直しを行った結果として、大幅な歳出削減を伴う
本年度改定予算案を議会に提出した。一般予算では人件費、旅費等を削減、また、開発予
算からは政府関連施設建設費、国防関連費を削減する。右は、9月に国際格付機関 FITCH
がナミビアの経済見通しを「安定(stable)」から「引き下げ見通し(negative)」へ変更し
た理由を政府財政赤字、累積債務の対 GDP 比が拡大してためと指摘していたことを踏まえ
たもの。
4. 社会
●アフリカ内でのガバナンス度の高さ、ナミビア総合5位
4日、Mo Ibrahim 財団が公表したアフリカ各国のガバナンス度の高さ指標でナミビアは
総合第5位。
(第1位はモーリシャス。続いてボツワナ、カーボヴェルデ、セーシェル。)
●ビジネスし易さ度(ease of doing business)でナミビア、総合108位
世銀グループが公表した Doing Business 2017 報告書で、ナミビアはビジネスし易度で
総合第108位(昨年101位)
。サブサハラの中で10位(昨年7位)。
(サブサハラ上位9ヶ国:モーリシャス(49)、ルワンダ(56)、ボツワナ(71)、南ア(74)、
ケニア(92)、セーシェル(93)、ザンビア(98)、レソト(100)) 日本は総合34位。
(了)
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