マーケット・フォーカス

2016/
マーケット・フォーカス
12/28
投資情報部
ストラテジスト兼
テクニカルアナリスト
西村 三養子
商品:原油
上値が重くなりやすい3つの要因
 減産順守となれば2017年に60ドル台も視野に入るものの、減産順守は懐疑的
 米大統領選後、ドル高が進行、原油価格の割高感が意識され上値を抑えられやすい
 シェールオイルのリグ稼働数は約1年ぶりの水準まで増加、さらなる拡大余地も
需給均衡への期待が
11/30 の石油輸出国機構(OPEC)総会で 8 年ぶりに協調減産が合意された。また、
高まる一方、各国の減 12/10 には非 OPEC 加盟国とも 15 年ぶりに協調減産で合意した。2017 年の需給はタ
産順守と除外国の動き イトになるとの思惑から、国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)
原油先物は 12/27 に 1 バレル=53.90 ドルと年初来高値を更新した。仮に合意した産
に注目
油国が減産を順守し、減産の適応外とされたナイジェリアやリビア、OPEC を一時離
脱したインドネシア等が増産しなければ、17 年前半で 60 ドルも視野に入ろう。また、
先高期待の高まりから 60 ドルのコールオプション建玉が最も積み上がっている。しかし
ながら、足元の上昇から過熱感もうかがえる。2000 年以降 WTI 原油は 52 週線かい離
+25%~30%で上値追いが一服する傾向がみられ、52 週線かい離率は+22.48%と過熱
感が台頭。さらには下記の 3 つの要因から上値が重くなる可能性もありそうだ。
1 点目に各国の減産順守の実効性だ。OPEC 加盟国は 17 年 1 月から日量で 120
万バレル程度、非加盟国も全体で日量 60 万バレル弱を減産する計画となってい
る。ただ、これまでも OPEC 諸国の減産目標は順守されなかった経緯があり、市場
の見方は懐疑的だ。ただし、今回は OPEC が順守状況を監視する委員会を設け、
世界原油需給
(百万バレル/日)
WTI原油先物価格とドルインデックス
(四半期:2013/3~2017/12)
(1バレル=ドル)
(百万バレル/日)
98
3
(週次:2014/7/4~2016/12/23)
110
78
100
96
2
WTI原油先物(左目盛)
80
ドルインデックス(右逆目盛)
82
90
94
86
80
1
92
84
88
0
70
90
60
92
94
50
90
過不足(右目盛)
需要(左目盛)
供給(左目盛)
88
13/3
14/3
15/3
16/3
17/3
▲1
96
98
40
100
30
▲2
(年/月)
102
20
14/7
(注)2016
年第 4 四半期以降の需要は OPEC 予想
は
出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成
15/1
15/7
16/1
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
は
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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(年/月)
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かつてない真剣さを見せている。また、23 日にイラク国内で操業する大半の外国企
業が減産を順守する方向、とも報じられている。今回の減産合意の背景にはトラン
プ次期米大統領のエネルギー政策をにらんだ中東諸国やロシアの目論みもうかが
え、減産の効力発揮となるかが焦点となる。
2 点目は、ドル高の影響だ。トランプ次期米大統領の政策により、米国経済の成長
ドル高・シェールオイ
ル増産の可能性により ペースが高まるとの期待や、米連邦準備理事会(FRB)による利上げを受けてドル高が
進行している。通常ドル建てで取引される原油は、ドルインデックスとの逆相関にある。
上値の重い展開も
米大統領選後この関係は薄れてきているものの、仮にドルとの関係が修正に向かうと、
原油の割高感が意識されて価格は調整されることになろう。
3 点目は原油価格が上昇すると米国のシェール企業が増産する可能性があること
だ。米国のシェールオイル生産の先行指標とされるベーカー・ヒューズ社発表の石油
掘削リグ稼働数は、12/23 時点で 523 基と、約 1 年ぶりの水準まで増加。カンザスシ
ティ連銀の調査では 16 年 7~9 月の生産者の損益分岐点は1バレル 53 ドル、わずか
2 年で 3 割強の低下となっている、との報告もあり、原油価格の上昇を受けて未稼働の
油井を操業させる動きもうかがえる。また、トランプ次期大統領は石油ガス開発を促進
すべく、フラッキング(水圧破砕)等、採掘技術の開発の妨げになるような政策や規制
の撤廃を主張している。同氏のエネルギー政策に対する積極的な姿勢は、就任後米
国内のみならず世界需給を一段と緩和させる可能性も否めない。
以上の 3 点から原油価格の上値は抑えられやすいとみる。原油のオプション市場 (1
~3 限月合計) の動向からは、コールの建玉が 60 ドルに出来高が集中している一方
で、プットの建玉は 40 ドルに最も積みあがっている。15 年ぶりの減産合意をうけて買い
安心感が広がっているものの、前述の懸念が現実味を帯びてくると先高期待ははく落
していくこととなろう。突発的な地政学リスクが発生しない限り、当面のレンジは 1 バレ
ル=45~60 ドルでの推移になるのではないかと考える。
W T I原油先物オプション権利行使価格分布
WTI原油先物相場と米国リグ稼働数
(1バレル=ドル)
120
(週次:2014/7/4~2016/12/23)
110
100
リグ稼働数(右目盛)
WTI原油先物(左目盛)
(基)
1,800
(千枚)
180
1,600
160
(2016年12月23日時点)
プット(1・2・3月限合計)
コール(1・2・3月限合計)
140
1,400
90
120
1,200
80
70
60
100
1,000
80
800
60
600
40
50
40
20
400
30
0
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出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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10
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(年/月)
15
20
25
30
35
40
45
50
55
60
65
70 75 80
(1バレル=ドル)
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
は
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性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
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■ エネルギー関連統計
日付
12 月 30 日
12 月 30 日
12 月 30 日
12 月 30 日
12 月 30 日
12 月 30 日
12 月 30 日
12 月 30 日
12 月 31 日
12 月 31 日
12 月 31 日
■
国・地域
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
イベント
米国原油在庫(前週比・千バレル)
オクラホマ州クッシング原油在庫(前週比・千バレル)
米国ガソリン在庫(前週比・千バレル)
米国中間留分在庫(前週比・千バレル)
米国製油所稼働率(前週比)
米国原油推定需要(千バレル/日)
米国ガソリン推定需要(千バレル/日)
米国留出燃料推定需要(千バレル/日)
ベーカー・ヒューズ掘削リグ稼働数
ベーカー・ヒューズ米国ガス・ロータリーリグ
ベーカー・ヒューズ米国石油ロータリーリグ
期間
12 月 23 日
12 月 23 日
12 月 23 日
12 月 23 日
12 月 23 日
12 月 23 日
12 月 23 日
12 月 23 日
12 月 30 日
12 月 30 日
12 月 30 日
前回
2,256
▲ 245
▲ 1,309
▲ 2,420
1.0%
16,935
10,064
5,679
653
129
523
今週の経済指標
日付
12 月 27 日
12 月 27 日
12 月 27 日
12 月 27 日
12 月 27 日
12 月 27 日
12 月 28 日
12 月 29 日
12 月 29 日
12 月 29 日
12 月 29 日
12 月 29 日
12 月 29 日
12 月 29 日
12 月 29 日
12 月 30 日
1月3日
1月3日
国・地域
イベント
期間
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
米国
S&P コアロジック CS 米住宅価格指数(前月比/季調済)
S&P コアロジック CS20 都市指数(季調前)
S&P コアロジック CS20 都市(前月比、季調済)
S&P コアロジック CS20 都市(前年比/季調前)
S&P コアロジック CS 米住宅価格指数(季調前)
S&P コアロジック CS 米住宅価格指数(前年比/季調前)
消費者信頼感指数
リッチモンド連銀製造業指数
中古住宅販売仮契約(前月比)
中古住宅販売仮契約(季調前、前年比)
ダラス連銀製造業活動
卸売在庫(前月比)
小売在庫前月比
新規失業保険申請件数
失業保険継続受給者数
シカゴ購買部協会景気指数
マークイット米国製造業 PMI
ISM ニューヨーク
10 月
10 月
10 月
10 月
10 月
10 月
12 月
12 月
11 月
11 月
12 月
11 月 速報
11 月
12 月 24 日
12 月 17 日
12 月
12 月 確報
12 月
前回
0.83%
191.78
0.37%
5.08%
184.8
5.46%
107.1
4
0.1%
0.2%
10.2
▲0.4%
▲0.4%
275,000
2,036,000
57.6
54.2
52.5
(注)記載事項はすべて「予定」ないし「見込み」であり、予告なく変更されることがあります。海外イベントおよび経済指標は現地日程で掲載しています
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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金融商品取引法に係る重要事項
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をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税
込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。
○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
○保護預かり口座管理料は無料です。
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む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込
むことがあり、損失を被ることがあります。
○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与
えることがあります。
○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が
当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。
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却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市
場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し
ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。
○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商
品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。
■外国株式の手数料等諸費用について
○外国委託取引
国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および
諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。
詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金
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約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。
○国内店頭(仕切り)取引
お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別
途手数料および諸費用はかかりません。
○国内委託取引
当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託
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定した為替レートによるものとします。
商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または
お客さま向け資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-161228-23
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