コモディティ・マーケット・ トピックス

2016/
コモディティ・マーケット・
トピックス
6/3
投資情報部
シニアコモディティアナリスト
津賀田 真紀子
OPEC増産凍結見送り。今後は利益確定売り増加か
6/2、OPECの定時総会が開かれた。4月に行われたドーハ会合と同様、増産凍結をはじめとする生産調
整について合意できるかどうかが焦点となっていたが、予想どおり今回も物別れに終わる結果となった。
世界需給改善への道程がまた一歩遠のいたといえる。昨年、WTI原油価格はファンドの決算期が集中す
る6月の1バレル=60ドルをピークに、年末に向けて30ドル台に下落した。今年もこれからその決算期を迎
える。今回のOPEC総会の結果に対する失望、さらに米政策金利の引き上げにともなうドル高等が重なれ
ば、非商業筋の手じまい売りが加速する可能性が高いとみている。
OPEC 、 再 び 生 産
目標の設定と増産
凍結を見送り
6/2、石油輸出国機構(OPEC)は半年に1度の定時総会をウィーンで開いた。
今回の総会は、①前回12月の総会で決定が見送られた生産目標や、②今年4月に
ドーハで開かれた主要産油国の会合で見送られた増産凍結をはじめとする生産調
整について、改めて合意できるかどうかが焦点となっていた。
しかし、今年1月に経済制裁が解除されて以降、大幅増産を続けているイランが全体
の生産目標ではなく、各国の事情を考慮し、加盟国ごとに目標を設けることを求め、
生産調整に反対。このため、生産目標の決定は再度見送られ、生産調整も合意に
至らなかった。
現在、OPEC加盟13ヵ国の合計生産量は日量で3,244万バレルと過去最高水準にある
が、今回の総会で西アフリカのガボンの再加盟が認められたことから、今後はさらに生産
量が増える可能性がある。
OPEC原油生産量とWTI原油先物価格
世界原油需給
(四半期:2013/3~2016/12)
(百万バレル/日)
98
(1バレル=ドル)
(百万バレル/日)
3.0
過不足(右目盛)
需要(左目盛)
96
110
2.5
100
供給(左目盛)
90
2.0
94
80
1.5
70
60
1.0
92
(月次:2013/1~2016/4)
120
50
0.5
90
40
30
0.0
88
13/3
13/9
14/3
14/9
15/3
15/9
16/3
16/9
32,440
20
29,000 29,500 30,000 30,500 31,000 31,500 32,000 32,500 33,000
(千バレル/日)
▲ 0.5
(年/月)
(注)2016 年第 2 四半期以降の世界需要は OPEC の予想
出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成
出所:OPEC 月報よりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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2016/6/3
コモディティ・マーケット・トピックス
年内の大幅需給
改善は困難か
OPEC が 5 月に発表した月報よると、世界全体の原油需給は 2016 年第 1 四半期(1-3
月)で日量 240 万バレルの供給過剰であった。これは、2015 年第 2 四半期(4-6 月)以
来の高水準となる。原油価格低迷の影響により、米国のシェールオイルの生産量が減少
傾向にあることから供給が頭打ちとなっている一方、需要が市場の期待ほど伸びなかっ
たことが影響しているようだ。
今後、米国のシェールオイルの生産量がどの程度まで減少するかにもよるが、OPECが
今後も高水準の生産量を維持する可能性が高いことを考えると、年内に日量240万バレ
ルもの供給過剰が改善するとは考えにくい。
なお、OPECの原油生産量は国際指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト
(WTI)原油先物価格と逆相関関係にある。2013年1月から今年4月までの相関係数は▲
0.81だった。引き続き上値の重い展開が続くことが予想される。
ファンドの利益確
定売りに押される
可能性も
昨年を振り返ってみると、WTI 原油先物相場はファンドの決算期が集中する 6 月をピー
クに、年末に向けて 30 ドル台半ばまで下落する結果となった。今年もこれからその決算
期を迎える。
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉報告によると、非商業筋のネットポジションは
5/24 時点で+34 万 8,142 枚と 2014 年 7 月以来の高水準にある。
しかも、米連邦準備理事会(FRB)は次回 6/14~15 の連邦公開市場委員会(FOMC)も
含め、近く利上げを実施するとみられている。金利引き上げによるドル高進行は、ドル建
てで取引される原油にとっては売り材料視されやすい。
今回の OPEC 総会の結果を受けた失望と、FRB の利上げという要因が重なった場合、非
商業筋の手じまい売りが加速する可能性がある。WTI 原油先物価格は低位安定が長期
化するのではないかとみている。
CFTC非商業筋建玉とWTI原油先物価格
WTI原油先物価格
(週次:2013/1/1~2016/5/27)
(1バレル=ドル)
120
(週次:2014/4/1~2016/5/27)
(万枚)
50
110
買残-売残(左目盛)
45
100
(1バレル=ドル)
120
WTI( 右目盛)
40
90
2014年
70
2015年
60
2016年
80
35
70
30
50
60
50
25
40
40
20
30
20
30
15
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
100
90
2013年
80
110
(月)
14/4
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
14/7
14/10
15/1
15/4
15/7
15/10
16/1
20
16/4 (年/月)
(注)CFTC 非商業部門建玉は 5/24 現在
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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2016/6/3
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