都立・公社病院診療データバンク構想の基

平成28年12月27日
病 院 経 営 本 部
「都立・公社病院診療データバンク構想の基本的方向性と課題について
(中間のまとめ)」について
病院経営本部では、都立・公社病院の電子カルテシステムに蓄積された診療データの
利活用を検討するため、外部有識者による「都立・公社病院診療データバンク構想検討
委員会」を設置しています。この度、本委員会の中間のまとめを作成しましたので、お
知らせします。
1
中間のまとめのポイント(概要は別紙1のとおり)
(1) 中間のまとめの位置付け
診療データバンクを構築・運用するに当たっての、基本的方向性と課題をまとめ
たもの
(2)
ア
診療データバンクの基本的方向性
診療データバンクの機能
「診療支援機能」「治験・臨床研究支援機能」「経営マネジメント支援機能」、
更に「医療ビッグデータ機能」の4つの機能がある。
イ 整備の進め方
運用体制等は、試行とその評価を行う「第1フェーズ」、他病院へ展開する「第
2フェーズ」、データの外部提供やビッグデータとしての活用を目指す「第3フ
ェーズ」に分かれ、フェーズ毎の課題を解決しながら段階的に整備する。
(3)
〇
課題
技術的な面では、文章データが多く、かつ用語の不統一など想定以上に抽出が
難しいなど様々な課題が存在する。
〇 法制度の面では、改正個人情報保護法や国の動向等を踏まえ、患者同意の取り
方や、個人情報の第三者提供の方法などを検討する必要がある。
2
3
今後のスケジュール
病院現場での試行の結果や国の動向等を踏まえ、検討委員会で更に議論を重ね、平
成 30 年度を目途に最終報告書を作成する。
その他
委員会の概要等については、別紙2のとおり
【問合せ先】
病院経営本部サービス推進部事業支援課
電話 03(5320)5843(直通)
「都立・公社病院診療データバンク構想の基本的方向性と課題について(中間のまとめ)」概要
平成28年12月27日
病 院 経 営 本 部
別紙1
はじめに
○ 診療データバンクは、全都立・公社病院の電子カルテシステムに蓄積された約7,000床の診療データを有効活用し、臨床現場での医療水準の向上を図るとともに、
安全で質の高い先進医療の提供とあわせて、臨床研究や治験の推進に取り組むもの。
○ 本まとめは、都立・公社病院診療データバンクを構築・運用するに当たっての基本的方向性と課題を取りまとめたもの。
○ 今後、病院現場での試行の結果や国の動向等を踏まえ、最終報告書を取りまとめる予定。
序章
第3章
診療データ利活用の重要性(p.1~p.3)
○ 近年、診療情報の電子化が進む中で、電子的に診療データが蓄積されているとともに、ICTの
進歩により大量のデータを高速に処理することが可能となってきたことから、カルテ情報を有効活
用するニーズが増大してきた。
第1章 都立・公社病院における情報システムの概要とデータ利活用の現状と課題(p.4
~p.6)
○ 電子カルテシステムは、都立病院8病院、公社病院6病院の全病院に導入済みである。
○ データ利活用においては、ベンダーが異なる病院間でのデータの直接相互利用が困難、個人情報
保護の観点から、データの取扱い方法の確立が必要、などの課題がある。
第2章
○ 診療データバンクの整備は、以下のとおり進める。
第1フェーズ
《基本的な方向性》
・試行病院にて試行システム
を構築し、各種機能開発と検
証を実施。
《課題》
・データクレンジングの手法、
データ精度向上のための検証
体制の構築。
診療データバンクの機能と活用方法(p.7~p.28)
など
○ 診療データバンクが備えるべき機能は「診療支援機能」「治験・臨床研究支援機能」「経営マネジ
メント支援機能」「医療ビッグデータ機能」の4機能である。
〔診療データバンクが備えるべき機能と活用方法〕
機能
整備の進め方と運用体制(p.29~p.33)
概要
活用案の例
診療支援機能
診療業務を直接支援するこ
とを主な目的とした機能
日々の診療をモニタリングし、医療従事者にリ
アルタイムで必要な検査等の実施を促すことで、
医療安全の確保に繋げることができる。
治験・臨床研究
支援機能
治験・臨床研究業務支援を
目的とし、横断的データ分
析に活用する機能
治験対象者の抽出を、都立・公社病院を横断し
て、より多くの対象者を自動的に抽出し、治
験・臨床研究の活性化に繋げることができる。
経営マネジメント
支援機能
病院経営を支援することを
目的とした機能
施設基準の届出上、必要となる診療実績等の統
計データを自動的に抽出し、診療実態に見合っ
た診療報酬を確保することができる。
医療ビッグデータ
機能
データを外部提供し、ビッ
グデータとして活用する機
能
より詳細な治療実績のデータを自動的に抽出し、
都民一般に公表することで、患者が医療機関を
選択する際の参考にすることができる。
第4章
第2フェーズ
《基本的な方向性》
・試行病院で蓄積した技術や
のノウハウを他都立・公社病
院へ展開。
《課題》
・改正個人情報保護法等に配
慮したシステム構成。
・開設者が異なる都立・公社
病院間のデータ統合方法。
など
第3フェーズ
《基本的な方向性》
・蓄積されたデータをビッグ
データとして活用。
・データの外部提供を実施。
《課題》
・企業や団体等が求めるデータ
の調査。
・国の動向等への配慮。
など
個人情報保護とセキュリティ(p.34~p.41)
○ 個人情報に係る患者の同意取得や匿名化等に関する取扱いについて、都条例に則った対策を講
じるとともに、改正個人情報保護法の動向も踏まえ、検討する。
○ 「診療データバンク情報セキュリティ実施手順」を策定するなど、都のセキュリティポリシー
に則ったセキュリティ対策を講じる。
終章
ビッグデータ活用に向けた課題整理等(p.42~p.44)
○ データの精度を確保していくために、複数病院で受診している患者を、同一患者として識別で
きる方法を検討する必要がある。
○ 都立・公社病院がデータを外部提供することへの合意形成のため、個人情報及びプライバシー
保護の観点から、検討する必要がある。
○ 臨床現場だけでなく、都立・公社病院の役割を踏まえたデータを整備し、広く都民に還元して
いくために、外部のニーズを把握する仕組みを検討する必要がある。
○ 医療等分野におけるIDや代理機関(仮称)の設置等、国の動向について注視する必要がある。
別紙2
都立・公社病院診療データバンク構想検討委員会の概要
1.設置目的
都立・公社病院の電子カルテシステムに蓄積された膨大な診療データを、診療支援、治験・臨
床研究支援に活用する診療データバンクの検討
2.設置日
平成 27 年 4 月 16 日
3.委員名簿
区分
(敬称略)
氏
名
石川 ベンジャミン 光一
(副委員長)
役職等
国立がん研究センター 社会と健康研究センター
臨床経済研究室長
児玉
安司
新星総合法律事務所 弁護士
小松
恒彦
帝京大学医学部第三内科学講座教授
田渕
健
橋本
廸生
東京都立駒込病院小児科医長
東京都福祉保健局保健政策部地域がん登録担当課長
外部有識者
日本医療機能評価機構執行理事
(委員長)
横浜市立大学名誉教授
目々澤 肇
東京都医師会理事
山口
NPO 法人ささえあい医療人権センター
育子
COML 理事長
東京大学大学院医学系研究科特任准教授(平成 28 年 3 月まで)
山本
隆一
自治医科大学客員教授(平成 28 年 4 月から)
医療情報システム開発センター理事長
黒井
克昌
和智
明彦
東京都立駒込病院副院長
都関係者
公益財団法人 東京都保健医療公社
多摩南部地域病院院長
※区分毎に 50 音順で記載
別紙2
4.検討経過
区分
開催年月日
第1回
平成 27 年 5 月 12 日
主な議題
都立・公社病院診療データバンク構想検討委員会の設置
都立・公社病院診療データバンク構想の概要
第 1 回委員会 論点整理の確認
第2回
平成 27 年 7 月 29 日
診療データバンクの機能と活用方法
個人情報保護・データセキュリティへの対応
第 1 回・第 2 回委員会 論点整理の確認
全都立病院・公社病院への展開
第3回
平成 27 年 10 月 28 日
運用体制
作業部会設置報告
国の動向を踏まえたビッグデータ活用への対応
第 4 回・第 5 回検討委員会の審議内容等
第4回
平成 28 年 3 月 3 日
駒込パイロット事業
都立・公社病院診療データバンク基本構想の概要(案)
今後検討すべき診療データの活用方法
駒込パイロット事業の効果検証
第5回
平成 28 年 7 月 28 日
今後の診療データの利活用プラン(案)
報告書(中間のまとめ)の検討
報告書(中間のまとめ)の位置付けについて検討
第6回
平成 28 年 12 月 1 日
報告書(中間のまとめ)の修正案の承認
今後の進め方について