経済総務委員会資料 平成28年12月 行 財 政 局 債権管理の取組状況

経済総務委員会資料
平成28年12月
行 財 政 局
債権管理の取組状況及び債権管理条例(仮称)の制定について
本市の貴重な財産である債権の管理については,市民負担の公平性や自主財源の確保を図る
ため,適正化をより一層推進していく必要があり,債権管理に関する統一した手続や基準を定
める「債権管理条例」
(仮称)の制定に向けて,
「はばたけ未来へ! 京プラン」実施計画第2ス
テージに掲げて,検討を進めてきたところです。
この度,「債権管理条例」(仮称)の骨子案を作成しましたので,これまでの債権管理の取組
状況と併せて御報告いたします。
1 債権管理の現状
(1)効果的かつ効率的な債権回収を全市的に推進するため,債権回収ノウハウの向上に向けた研修の
拡充,弁護士等による相談や債権回収業務の委託,高額困難債権の集中処理等により,債権管理回
収の取組及び債権回収体制の強化を図り,収入未済額の縮減に取り組んでいる。
(2)市税や国民健康保険料等については,債権回収に係る対策本部を設置し,目標徴収率を設定する
など,計画的に債権回収を推進している。
【個別の債権本部を設置している債権の徴収率の推移】
徴収率
債権名
①H22 年度決算
②H27 年度決算
②-①
市税
97.0%
過去最高 98.3%
1.3 ポイント増
介護保険料
98.2%
過去最高 98.5%
0.3 ポイント増
国民健康保険料
91.0%
93.3%
2.3 ポイント増
(3)平成27年度には,市税や国民健康保険料等以外の債権についても,副市長を本部長とする債権
管理対策本部を設置し,適正かつ組織的・計画的な債権管理を全市一体的に推進する体制を整備す
るなど,更なる取組強化を図っている。
(4)こうした取組の結果,全市の収入未済額は,市税等の取組効果もあり,平成21年度以降減傾向
にあり,成果は着実に表れているものの,平成27年度決算において約171億円となっている。
今後は,市税等の強制徴収債権以外の債権の取組も一層強化していく必要がある。
【収入未済額の推移】
(一般会計・特別会計)
200
201
60
194
【単位:億円】
185
171
54
48
150
40
市税
54
51
47
42
国民健康保険料
100
【主なもの】
介護保険料
25
50
31
22
22
22
その他強制徴収
公債権
40
38
37
非強制徴収
公債権
私債権
31
27
30
8 億円
【主なもの】
生活保護費返還金
25 億円
29
【主なもの】
0
24年度
25年度
26年度
27年度
1
母子父子寡婦福祉資金貸付金
16 億円
夏季歳末特別生活資金貸付金
6 億円
【参考】債権の分類
本市が自ら滞納処分
(差押等)できる債権
【主な債権:市税,国民健康保険料 等】
強制徴収債権
公債権
行政庁の処分
(公法上の原因)
により発生
本市の債権
(金銭債権)
私債権
非強制徴収公債権
【主な債権:生活保護費返還金,児童扶養手当返還金 等】
非強制徴収債権
差押等を行うには
裁判所の手続を
要する債権
主に相手方との契約(私法上の原因)により発生
【主な債権:母子父子寡婦福祉資金貸付金,水道料金 等】
2
債権管理における課題
(1)債権管理に関する事務処理基準の未整備
本市自ら差押等の滞納処分ができる市税等の強制徴収債権については,法令や市税条例等に滞納
処分や執行停止等の基準が設けられている。
一方で,差押等を行うには裁判所の手続きを要する非強制徴収債権については,債権管理に関す
る事務処理基準が法令等で整備されていないことから,債権ごとに督促,強制執行等の実施にばら
つきがある。
(2)債権管理サイクルの未確立
強制徴収債権については,事務処理基準により,日常管理,債権回収,時効等による債権管理の
完結を経て新たな滞納の発生抑制に注力するといった債権管理の一連のサイクルが確立されてい
るが,非強制徴収債権については,このような債権を管理する一連のサイクルが確立されていない。
(3)債権の長期保有による管理コスト
私債権においては,時効期間が経過しても債務者の時効の援用がなければ債権管理が完結しない
ため,時効期間が経過した場合であっても居所不明等により,回収困難な債権を長期間保有し管理
を継続するなどのコストが発生している。
3 債権管理条例(仮称)の制定による効果的かつ効率的な債権回収の推進
(1)債権管理に関する事務処理基準の体系化
本市の債権管理の現状と課題を踏まえ,債権管理に関する本市全体の事務処理の基準を条例・規
則に定めて体系化し,債権管理台帳の整備とともに,督促,強制執行等の早期実施の徹底,回収不
能な債権の適切な処理基準による整理等,債権回収の統一的な取組を推進する。
(2)債権を管理する一連のサイクルの確立
事務処理基準の体系化により,本市の全ての債権について,債権の発生から完結までの標準的な
債権管理の一連のサイクルを確立し,債権を早期かつ円滑に処理して,新たに発生する債権の管理
及び回収に取組をシフトする。
(3)効果的かつ効率的な債権回収の推進
事務処理基準の体系化や債権管理サイクルの確立により,債権の長期保有による管理コストの削
減を図るとともに,効果的かつ効率的な債権回収を推進し,もって,市民負担の公平性の確保と歳
入増の実現を図り,公正かつ円滑な行財政運営を確立する。
2
【条例制定の効果等】
①
債権管理に関する事務処理基準の体系化
【債権の発生から完結までの債権管理を標準化】
・ 債権管理台帳の記載事項の整理
・ 督促や強制執行等の早期実施
・ 適切な処理基準による債権の整理
②
債権を管理する一連のサイクルの確立
【債権を早期かつ円滑に処理し,新たに発生する債権に取組をシフト】
③
効果的かつ効率的な債権回収の推進
・ 納付資力があるにもかかわらず納付しない滞納者に対する法的措置の実施
・ 生活困窮者に対する債権等の回収の見込みのない債権の整理
● 市民負担の公平性の確保
● 歳入増の実現
● 公正かつ円滑な行財政運営の確立
【条例施行後の債権管理のサイクル】
債権の早期かつ円滑な処理
債権の発生
日常管理
‣賦課処分
‣契約
‣法律の規定
‣納入通知
‣台帳整備
債権回収
債権管理の完結
‣督促
‣催告
‣各種調査
‣強制執行等
‣徴収猶予等
‣納付
‣時効(公債権)
‣債権の整理
新たに発生する債権の管理及び回収に取組をシフト
3
不納欠損
4
条例骨子案の概要
規定項目案
概
要
条例の目的
本市の債権の管理に関する事務の処理について必要な事項を定めることによ
り,債権管理の一層の適正化を図り,市民負担の公平性を確保する。同時に,公
正かつ円滑な行財政運営の確立に貢献する。
定義
金銭の給付を目的とする本市の権利を「本市の債権」と定義するなど,条例中
の用語を定義する。
他の法令等と
法令(地方税法等)又は他の条例(市税条例等)に,債権管理条例の規定と異
の関係
なる特別の定めがある場合は,当該法令等の規定を優先する。
市長等の責務
市長等は,本市の債権を管理するにあたり,法令等の定めに従い,債権を適正
に管理するために,事務処理の手続を整え,体制の整備を推進する。
徴収方針
市長等は,本市の債権の債務者の資力等の状況の把握に努め,その状況等に応
じた適切かつ効率的な徴収に努めなければならない。
債権管理台帳
市長等は,本市の債権を適正に管理するため,管理台帳を整備しなければなら
の整備
ない。
督促,滞納処
市長等は,本市の債権について,履行期限までに履行しない者があるときは,
分,強制執行等 法令の規定により,督促,滞納処分,強制執行等を行う。
市長等は,非強制徴収債権について,次のいずれかに該当するときは,当該債
権及びその履行の遅滞に係る遅延利息,違約金その他の損害金を放棄できる。
また,債権を放棄したときは,議会に報告する。
(1)債務者が破産法等によりその責任を免れたとき
(2)相続の限定承認又は放棄の場合で,回収が見込めないとき
(3)強制執行等の手続後においても,回収が見込めないとき
徴収不能債権
(4)債務者が生活困窮状態にあり,将来にわたり資力の回復が困難で,履行の
の整理
見込みがないとき
(5)行方不明等により徴収停止の措置を執って,相当の期間を経過しても,同
様の事由が継続しているとき
(6)債権(消滅時効について時効の援用を要するものに限る。)について,消滅
時効に係る時効期間が満了したとき(債務者が時効の援用をしない特別の理
由があるときを除く。)
5
今後のスケジュール(案)
平成29年2月
条例案の市会への提案
3月
条例の制定及び施行
9月
平成28年度に整理した債権の市会報告
【参考】他都市の条例制定状況(平成28年12月現在)
制定済
16市
札幌,仙台,さいたま,千葉,横浜,川崎,相模原,新潟,
静岡,浜松,名古屋,堺,神戸,岡山,福岡,熊本
検討中
2市 広島,北九州
予定なし
1市 大阪
4