多様化する世界経済

現代社会
ラジオ
学習メモ
第 35 回
国際社会と人類の課題 [国際社会の現状と課題]
多様化する世界経済
学習のねらい
社会主義経済の崩壊による移行経済国の動向を知り、これが南北
問題をさらに複雑化し、途上国間、その国内への格差拡大によって、
世界経済が多様化している実態を学習する。
講師
佐藤安信
社会主義経済の市場経済化
第二次世界大戦後、ソ連が東欧を従えた社会主義圏と、米国が日本や西欧を従えた資本主義
たい じ
圏とが対峙してきた。しかし 1980 年代には、非効率的な経済運営や技術発展の遅れなどから、
経済の行き詰まりが顕著になり、社会主義体制が崩壊していく。社会主義経済から市場経済への
▼
移行経済国を目指すこれらの旧社会主義諸国を西側諸国が支援することになる。この結果、これ
らの多くはほぼ順調に市場経済国として経済復興を果たし、発展している。
中国の動向
戦後社会主義路線をとってきた中国は、1978 年には改革開放路線をとる。1989 年には民主
化を弾圧する天安門事件も発生するが、共産党による一党独裁体制を維持しながら社会主義市場
経済として、1990 年代以降再び日本をはじめ西側諸国からの投資を受けて、高い経済成長を続
ける。香港は中国に返還されても、一国二制度として従来の資本主義制度を保障されている。台
湾に対しては中国は独立を認めない立場から政治的な火種を抱えるものの、台湾の経済発展に
よって経済関係は親密さを増している。
多様化の時代
世界経済は多極化している。韓国、台湾、香港、シンガポールは急成長し、インドネシア、べ
トナムを含む ASEAN 諸国もそれを追う。ブラジル、ロシア、インド、中国も大きな経済力をもち、
BRICs と呼ばれる。これによって「南北問題」といわれた、旧植民地とその宗主国との経済格
差も複雑化している。南の途上国間にも格差が広がり、「南南問題」ともいわれる。
2000 年には、国連でミレニアム開発目標 (MDGs) として 2015 年までに貧困者を半減する
などの具体的な目標が設定された。2015 年にはこれに替わる持続可能な開発目標 (SDGs) が、
世界のすべての国の目標として採択された。
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