『「平和へ一歩」』(PDF:65KB)

「平和へ一歩」
取手市立取手第二中学校
一年
お
小
が
た
形
里
り
お
緒
現 在 世 界 で は 、 様 々 な 悲 し い 事 件 が お き て い ま す 。 例 え ば 、「 内 戦 」 や 「 無
差別テロ」です。これらのニュースは、毎日のように耳にしています。しか
し、私は毎日耳にしているこのニュースをどこか遠くの国の出来事のように
漠然と聞いていたように思います。なぜなら、このような出来事が自分の身
近な出来事ではなかったからです。
し か し 、祖 母 の 死 を き っ か け に 、
「 人 間 の 死 」に 対 し て 深 く 考 え る よ う に な
りました。祖母の死は、ある日突然でした。このように、身近な大切な人が
ある日突然いなくなってしまうという経験をしました。この経験は、ただ悲
し い と い う 感 情 だ け で な く 、「 信 じ ら れ な い 」、「 ど う し て だ ろ う 」 と い う 、 大
きな喪失感を私に与えました。病気で祖母を失ってもこんなに悲しいのに、
世界には、何の罪もない人々が毎日のようにたくさん犠牲になっている現実
があります。
私は、
「 な ぜ 、同 じ 人 間 が 罪 の な い 人 間 を 無 差 別 に 傷 つ け る こ と が で き る の
か?」ということについて考えてみました。世界で起きていることには様々
な原因があると思います。例えば、貧困、飢餓、人種差別、宗教の違いなど
です。この原因は一部ではありますが、原因は一つではなく、複数が複雑に
絡み合って起こる出来事のように思います。しかし、誰も喜んで、人を傷つ
けているのではないと私は考えます。それは、傷つけている側の人間も幸せ
そうな顔に見えないからです。
彼らは、生まれた時から貧困、飢餓、人種差別、宗教の違いなどの問題が
あり十分な食事や教育が受けられないという現状があります。教育を受けら
れないことで、命の大切さや、人を傷つけてはならないことなどを学ぶこと
ができなかったのだと思います。また、十分な食事をとれないことで、相手
を思いやるといった心の健康という余裕も持つことができないのだと思いま
す。
私たちは、当たり前のように学校で教育をうけています。これは日本が平
和で豊かな証拠であるといえます。しかし、私は生まれてからずっと平和で
豊かな暮らしが当たり前のようになり、世界で起きている悲惨な現状を遠い
世界のことのようにただぼんやりとみていたのかもしれません。
し か し 、豊 か で 教 育 を 受 け ら れ る 環 境 の 日 本 で も 、
「 い じ め 」と い う 大 き な
問題があります。世界では生きたくても生きていくのが大変な状況があるの
に、日本では「いじめ」によって自らの命を失ってしまうという現状があり
ま す 。 学 校 と い う 集 団 社 会 の な か で 、「 人 と 違 う 」、「 空 気 を 読 め な い 」 な ど の
理 由 で い じ め を 受 け る こ と が あ り ま す 。私 も 今 ま で の 学 校 生 活 で 、
「空気が読
めない」という理由からクラスのみんなによく思われていない子がいたのを
思い出します。その子は、クラスの大半の子の意見と違う意見を発表するこ
とが多いというだけで、嫌われていました。人に意見を言うことは悪いこと
ではないのに、今ではそれが分かるのに、その時はその子をうけいれるのが
難しかったことをよく覚えています。これは、他者を自分と比較して、違う
と思うと受け入れないという心の余裕のなさです。これは世界で起きている
「人種差別」や「宗教の違い」に似ていると私は思います。それは、他者を
認めない、他人を受け入れないという点です。人間一人一人は違って当たり
前で、それを受け入れる心を持ちたいと思います。日本にいても、世界の中
の一人であり、同じ人間であるという尊厳を誰もがもっているからです。
私はこの夏休みに「ぼくは君たちを憎まないことにした」という本を読み
ました。この本はパリのテロ事件で奥さんを失った方の本です。ある日、当
たり前にある日常がなくなってしまうという現実に、とても悲しくなりまし
た。この事件で奥さんを失ったことを受け入れたうえで、犯人に対して憎し
みを持たないという強い決意をもっていることに私は驚きました。憎しみか
らは憎しみしか生まれないという連鎖を断ち切る強い気持ちを感じました。
悲しみや憎しみの連鎖を断ち切るために私にもできることがあります。そ
れは他者を認める気持ちをもつことです。それを常に意識することです。当
た り 前 の こ と か も し れ ま せ ん が 、難 し い こ と で も あ り ま す 。小 さ な 一 歩 で も 、
それを続けていくことで、世の中から戦争やテロがなくなっていくことを願
っ て い ま す 。そ し て 、世 界 で 起 き て い る こ と の 現 状 を い つ も 心 の 中 に お い て 、
考えていきたいと思います。