平成28年度広島大学附属三原学校園全体研究構想(概要版)(4.39MB)

文部科学省研究開発学校指定校(延長指定 H27~29)
研究課題
社会的自立の基礎となる資質・能力及び態度・価値観の体系的な育成のための,
幼小中一貫の新領域を核とした自己開発型教育の研究開発
<第5年次(延長2年次)>
平成 28 年度 広島大学附属三原学校園
全体研究構想(概要版)
<研究概要>
本学校園は,文部科学省研究開発学校として 3 年間の延長指定を受け,2 年目を迎えました。
平成 24 年度から 3 年間,新領域「希望(のぞみ)」で育んできた資質・能力を,昨年度からは,
21 世紀型能力を踏まえた「通教科的能力」ととらえなおしました。そして,新領域「希望(のぞ
み)」のみならず,
「保育・教科」においても,「通教科的能力」と関連的に育む保育・教科の本質
に根ざした資質・能力の育成を図ることに取り組みはじめています。
また幼稚園と小学校及び小学校と中学校のそれぞれの接続期を重視した新たな学年区分(入門
期・幼小接続期・中間期・小中接続期・最終期)により,上記研究課題に対応した 12 年間一貫
の全教育課程を通した新たなカリキュラムの開発を進めています。
広島大学附属三原幼稚園・小学校・中学校
〒723-0004 広島県三原市館町2丁目6番1号
TEL: 0848-62-4238(小)
FAX:0848-60-0121(共通)
URL:http://www.hiroshima-u.ac.jp/fmihara/
<平成28年度の研究の重点>
「希望(のぞみ)」学年区分部は,
1
学年区分ごとに設定した重点目標を達成するとともに,①~③の共通課題に取り組みます。
①課題対応能力の育成を意識した活動,単元を開発,修正
②評価基準の改善,実施,分析
③幼小接続カリキュラム(幼小接続期)
,小中接続カリキュラム(小中接続期)の作成
2
区分単独の取組みによる課題を克服するため,学年区分を貫いたプロジェクトチームにより,12 年間
一貫の系統を見直します。
■カリキュラムプロジェクトチーム・・・12 年間のカリキュラムの系統を整理・改善
■評価プロジェクトチーム・・・12 年間一貫ルーブリックに基づく系統的な評価方法へ修正・改善
3 道徳部・特活部と連携し,道徳・特活との関連を明確に示します。
■10 時間運用した成果を示す
期
入門期
幼小
接続期
中間期
小中
接続期
最終期
「希望(のぞみ)」学年区分別中期重点目標(平成27年度~平成29年度)
・社会的自立の芽生えを育むために,年少児・年中児の経験を年長児の経験へつなぐことを意識しながら年少児・
年中児の系統性を考慮した活動・カリキュラムを開発し実施する。
・資質・能力が育まれたかどうかを測る評価方法を確立し実施する。
・「希望(のぞみ)」を通して,幼小を円滑に接続することをねらった,三原版の幼小をつなぐカリキュラムを策定
する。
・保育で行ってきた活動が,小学校のどの学習とつながっているのかを整理するとともに,通教科能力のどの力に関
連が強いのかについても整理をする。
・評価基準を明確にし,
「小1プロブレム」解消のための指導方法や子どもへのフィードバックの方法を開発し,実
施する。
・心理学的にも自己肯定感が低くなるこの期の子どもたちの特性を踏まえ,「希望(のぞみ)」を通して,自己を客
観的に見つめたり,あるべき姿を考えたりすることをねらったカリキュラムを策定する。
・評価基準を明確にし,子どもが自己を客観視できるようにするための指導方法や子どもへのフィードバックの方
法を開発する。
・「希望(のぞみ)」を通して,小中を円滑に接続することをねらった,三原版の小中連携のカリキュラムを策定す
る。
・中1ギャップを解消する学校体制や文化を創造するための指導方法と評価基準を明確にし,子どもへのフィード
バックの方法を開発する。
・「希望(のぞみ)」で培ってきた能力を,集団や地域社会とのかかわりの中で発揮できる,「希望(のぞみ)
」のま
とめとなる単元を開発し実施する。また,単元の実施を通して,自分の進路や,将来のなりたい自分に向き合う
ことができるようにする。
・評価基準を明確にし,生徒へのフィードバックの方法を開発する。
<研究組織>
保育・教科部は,通教科的能力と関連的に育む保育・教
科の本質に根ざした資質・能力の育成の取り組みについ
て,実施の効果を「育った子どもの姿」として提示しま
す。そのため,次の①~④について改善を図ります。
①教科の固有性を考慮し資質・能力を見直す
②次期学習指導要領の評価の観点との関連を整理する
③系統表を見直し活用する
④自己評価を充実させる
道徳部は,
「希望(のぞみ)」で扱う内容を「向上心・個性
の伸長」に焦点化するとともに,道徳の時間に「希望(の
ぞみ)」単元と関連させ,
「考える・議論する道徳」を位置
づけて取組みます。
特活部は,
「希望(のぞみ)」で扱う内容を「希望・目標」
に焦点化するとともに,学級活動の時間に希望単元と関
連させ,
「集団と自分を見つめる特活」を位置づけて取組
みます。
文部科学省研究開発学校指定校(延長指定 H27~29)
研究課題
社会的自立の基礎となる資質・能力及び態度・価値観の体系的な育成のための,
幼小中一貫の新領域を核とした自己開発型教育の研究開発
<第5年次(延長2年次)>
平成 28 年度
教育基本法
教育理念
学校教育法
本学校園の
使命
社会的背景
・グローバル化
・知識基盤社会
・少子高齢化社会等
自ら伸びよ
教育目標 人格の調和的・総合的発達をめざす
・教育研究
・教育実習
・地域教育へ
の貢献
一 私たちは 私たちの力で伸びていこう
自伸会三信条 一 私たちは 人のために尽くして感謝しよう
一 私たちは 私たちの決まりを尊重しよう
共
態度・価値観
資質・能力
(通教科的能
力)
生
自
律
地域・保護者の願い
・社会の中で真に生
きてはたらく力の
育成
参 画
12 年間で育成する 「 社会の中で 『真に生きてはたらく力』 」
国語
(のぞみ)
特別活動
新領域
「希望」
道徳
国語
算数
社会
理科
音楽
図画工作
各教科
数学
社会
理科
音楽
美術
体育
生活科
【中間期】
4年
3年
【幼小接続期】
2年
1年
年長
【入門期】
年中
年少
保健体育
外国語
活動
領
(域 )
【小中接続期】
7年
6年
5年
技 術 家 庭 科 家庭科
【最終期】
9年
8年
英語
年間一貫の発達と接続を意識した学年区分
12
教育課程構造図
「希望(のぞみ)視点の保育」
幼稚園5領域
<教育課程の特徴>
12年間一貫カリキュラム(ステップアップカリキュラム)
教育理念「自伸会信条」で貫かれた全教育課程における 12 年間一貫カリキュラムにおいて,
自己開発に必要な資質・能力及び態度・価値観を育成
総合的な学習の時間すべてと道徳と特別活動の時間の一部をあてた新領域 「希望(のぞみ)
」
・総合的な学習の時間の目標に加え,資質・能力及び,態度・価値観の体系的な育成のための単元を設定
・道徳の時間の「自らの生き方,あり方について考えること」の一部を包摂し,価値の実践化の場としての学びを創造
・児童会・生徒会活動及び学校行事の一部や体験的な活動と関連付け,児童生徒が自己指導力を発揮できる学びを創出
「希望(のぞみ)視点の保育」
幼稚園5領域をふまえ,「希望(のぞみ)
」の
視点にかかわる活動を設定
「希望(のぞみ)
」と連関した「教科」
「希望(のぞみ)」で培う能力を通教科的能力とし,
全教科で,通教科的能力と関連的に育む教科の本質に
根ざした資質・能力を育成
<一貫カリキュラムの基本的な考え方>
12 年間の「希望(のぞみ)」を貫くものは,本学校園の教育理念であり,それは大正 13
年から続く自伸会三信条(教育課程構造図参照)といえます。具体的には,次の3つの視
年少
点で資質・能力の育成を図る活動(幼稚園)
・単元(小中学校)を各学年の発達の段階に応
年中
年長1
じて系統的に構成・配列(右頁参照)し,指導します。
5
★「人間関係形成・社会形成能力」の育成をめざし,同学年・異学年・地域・異文化交流による協働的な
体験活動を創造します。
★「キャリアプランニング能力」の育成をめざし,役割や責任をもって取り組み,自己を振り返ったり,
自分の将来や生き方を描いたりすることができるような活動・単元を創造します。
★「課題対応能力」の育成をめざし,身近な集団や地域社会との主体的なかかわりの中で,問題解決的な
学習を創造します。
<「希望(のぞみ)」で育つ子どもたち>
2
4
3
6
8
7
9
Motivation
Up de
I nnovation
H27年度実践より
学年区分
最
終
期
9年「ピースプロジェクト in Hiroshima 2015
~平和って何だろう~」
外国の先生方に平和公園を案内し,異文化や考えに触れ,
平和や共生への考えを深めることができました。
小中接続期
5年「創ろう!『自分物語』キャンプへの道」
事前インタビューや施設の下見による企画に取組み,責任
感や主体性,感謝の気持ちをもって臨む姿が見られるよう
になりました。
中
間
期
4 年 「年長さんとの交流」
なりたい自分への目標を立ててふり返りを行うことで,同学
年や年長児との関わりを通して,自分のあり方を見つめるこ
とができていました。
幼小接続期
2 年 「みんなでいっしょに(年長・2年交流)」
年長児といっしょに遊び,今ある遊びを楽しく変化させる
にはどうしたらよいかを考えたことで,自分が成長したこ
とに気付き,語ることができていました。
入
門
期
年中 「色水・石けん遊び」
環境の設定や,教師同士の連携により,年中児が年少児の
状況に気付き,やさしく関わる姿が見られました。
平成 28 年度「希望(のぞみ)」単元・「希望(のぞみ)視点の保育」活動一覧
同学年内の活動・単元
区
分
月
4
週
1
5
2
3
4
6
5
6
7
8
9
7
10
学
校
園
行
事
11
12
13
14
15
16
8
9
17
18
10
19
20
21
22
運
動
会
年
少
関連行事
交流活動・単元
11
23
24
25
26
12
27
28
29
秋
休
み
30
1
31
32
33
2
34
35
36
3
37
38
研
究
会
39
40
九
送
会
六
送
会
41
42
43
中
/
卒
業
式
小
卒
/
園
卒
式
業
・
式
砂場遊び
色あわ水遊び
色水遊び
入
門
期
色水遊び
色あわ水遊び
年
中
色あわ
ジュース屋
さん
ふれあい
遊び
お店屋さ
んごっこ③
砂場遊び
8年生との交流
運動会
4年生との交流
4年生との交流
運動会
年
長
製作遊び
(ビー玉転がしのコースづくり・車づくり)
みんなでいっしょに
幼
小 1
接 年
続 生
期
ぼくたち,わたしたちおしごとチャレンジたいパートⅡ
ぼくたち,わたしたちおしごとチャレンジたいパートⅠ
だいすきなペアさん
(1・5交流)①
だいすきなペアさん
( 1・5交流)③
だいすきなペアさん(1・5交流)②
みんなでいっしょに
2
年
生
大すきなペアさん(2・6交流)
大すきなペアさん(2・6交流)
めざせ!かっこ
いい2年生
3
年
生
めざせ!かっ
こいい2年生
めざせ!かっこいい2年生
作ろう!自分物語
思いをとどけよう笑顔プロジェクト~part1~
中
間
期
思いをとどけよう笑顔プロジェクト
つなごう「平和の祈り」
思いをとどけよう笑顔プロジェクト
3・4交流
運動会
4
年
生
作ろう!自分物語 ペアさんとの交流
ペアさんとの交流
作ろう!自分物語
めざせ!かっこいい4年生
創ろう!『自分物語』
校外宿泊学習①
5
年
生
奏でよう!
「自分物語」
①京都旅情編
プレゼンテー
ション
(6年→5年)
奏でよう!「自分物語」
①京都旅情編
修学
旅行
絆プロジェクト
『1・5交流』③
絆プロジェクト
『留学生交流』①
絆プロジェクト
『留学生交流』②
(5年生)創ろう!『自分物語』
(6年生)奏でよう!「自分物語」 ②つくして感謝
・ワーキング
・委員会活動
など,各種引き継ぎ
絆プロジェクト・
ラスト『2・6交流』
②第2回
絆プロジェクト・ラスト『2・6交流』
①第1回
絆プロジェクト・
ラスト
『6・7交流』
Rainbowプロ
ジェ クトⅠ
絆プロジェクト・
ラスト
『6・7交流』
「大人への
入門」
オリエン
テーショ ン
8
年
生
「夢を志
に」最終
章Piece&
Peace
山の
生活
「山の生活
2016」
「平和公園へ行こう~Peace Projectに
向けての平和へのアクション~」
「夢を志に」Piece & Peace自分探しの旅~ヒロシマからオキナワそして世界へ~
「夢を志に」Piece & Peace
園児・小学生との交流活動を通して
最
終
期
絆プロジェクト・
ラスト
『6・7交流』
「小中 虹の架け橋」
「山の生活2016」
9
年
生
校外宿泊学習③
絆プロジェクト
『1・5交流』②
奏でよう!「自分物語」
①京都旅情編
5年生に向けて
創ろう!『自分物語』
校外宿泊学習②
絆プロジェクト
『1・5交流』①
小
中 6
接 年
続 生
期
7
年
生
宿泊
学習
6年生を送る会に向けて
平和
公園
訪問
「夢を志に」 Peace Projec n Hiroshima
「地域との交流会 2016」
修学
旅行
「夢を志に」~Piece & Peace~わくわくWORK職場体験プロジェクト
運動会
PeaceP
roject
本番
2016~平和への希望~
職場
体験
福祉
体験
「夢を志に」Piece&Peace 福祉体験~共に生きる~
「夢を志に」Piece&Peace 旅立ちProject
~人のために尽くして感謝するとは~
1年間を 振り
返り,9年生の
自分を 描く
通教科的能力と保育・教科の資質・能力等との関連表
各教科等
「希望
(のぞ
み)」
健
康
めざす子ども像
様々な人々とともに,積極
的に,粘り強く課題解決に
取り組む中で,社会におい
て有為な人となるべく自己
の向上をはかる子ども
様々なものや人にかかわ
り,自分なりに気づいたり
考えたりしながら,自信を
もって粘り強くやってみる
子ども
環
境
保
育
人
間
関
係
保育・教科の本質
表
現
社会生活で生きてはたら
き,自ら課題を探求・解決
できるような国語の能力を
備えた子ども
○幼稚園のみんなが一緒に過ごすために
必要な生活の仕方を知り,自分たちで
整えることができる。
(自分たちで生活の場を整える力)
○自ら健康で安全な生活
をつくり出す
○身近なものや自然に興
味をもってかかわり,
それらを生活に取り入
れていこうとする
○身近な人と親しみ,か
かわりを深める
○自分なりの言葉で表現
したり,相手の話す言葉
を聞こうとしたりする
言
葉
通教科的能力と関連的に育む保育・教科の本質に根ざした資質・能力
人間関係形成・社会形成能力
キャリアプランニング能力
課題対応能力
(関係を構築する力)
(なりたい自分になる力)
(達成へ向かう力)
〇相手の情況を見て,今すべきことを判
〇役割や仕事に責任をもって取り組んだ
〇新たに挑戦してみたいことを見つけて
断し,相手の立場や気もちを尊重しな
り,意欲をもって学んだりしながら,
計画立案し,目標をもちながら最後ま
がら考えや思いを伝え合い,よりよい
自分の将来や生き方について考えるこ
で行動できる。
関係を築くことができる。
とができる。
○豊かな感性をもち,様々
な方法で表現しようと
する
○思考・認識・伝達・創
造の基盤を成す国語力
国
語
○自分の思ったことを相手に伝えたり,
相手の思っていることに気づき,受け
入れたりすることができる。
(自分の思いを伝えたり,相手の思いに
気づいたりする力)
○相手の様子を見ながら,相手のことを
考えて行動することができる。
(情況を判断する力)
○自分が感じたことや考えたことを相手
に分かるように表したり,相手の様々
な表現に親しみをもって受け入れたり
することができる。
(相手にわかるように表したり,相手の
表現を受け入れたりする力)
○身近な友だちのためになることを見つ
けてどうしたらいいかを考え,自分(た
ち)で進んで行動することができる。
(身近な友だちのために行動する力)
〇
〇日常・社会生活に必要な国語の特質に
ついて理解 し適切 に使うこ とができ
る。人との関わりの中で,国語で正確
に理解したり適切に表現したりするこ
とができる。言葉や文字によって,考
えを形にし たり深 化したり するため
に,意志や感情などを伝え合い,コミ
ュニケーションを成立させることがで
きる。
(コミュニケーション能力の基盤
を成す国語の運用能力)
〇言葉を通じて伝え合う価値を認識する
とともに,言語文化に関わり,国語を
尊重しようとする。言葉を生活の中で
使いこなし,言語生活の向上を志すこ
とで,自分の人生を豊かにしようとす
る。
(国語を尊重し,言語生活の向上を
志す態度)
○運動遊びに積極的に挑戦し,思いの実
現に向け,粘り強く取り組むことがで
きる。
(粘り強く取り組む力)
○身近なものや自然に興味をもってかか
わり,思いの実現に向けていろいろな
方法を試しながら工夫して遊ぶことが
できる。(工夫する力)
○共通の目的に向かって,友だちと協力
をしながら考えたり試したりすること
ができる。
(力を合わせて取り組む力)
○イメージしたものになるように様々な
表現方法(言葉・音・動き・かく・つ
くる等)で工夫しながら表すことがで
きる。(様々な表現方法で表す力)
〇日常・社会生活に必要な国語の特質に
ついて理解 し適切 に使うこ とができ
る。創造的・論理的思考や感性・情緒
を働かせて思考力や想像力を養うとと
もに,新たな考えを創造することがで
きる。将来に希望をもつために言葉で
課題を多角的に精査したり,構造化し
たりするための思考力を身に付け,適
切に表現することができる。
(論理的思
考力・想像力の基盤を成す国語の運用
能力)
〇事実を事実として正しく捉えることが
できる。(観察力)
〇目の前にある社会的事象を科学的・論
理的に検討し,評価・判定をすること
ができる。(批判力)
〇既知の事実を基にして,未知の事柄を
推し量ることができる。(推理力)
〇既習の数学的な学びをもとに,問題解
決に必要な数学的要素を取捨選択し,
それらを関係づけて見出した法則を活
用して,事象について考えることがで
きる。
(事象を具体的に検証したり,算
数・数学的に発展をさせたりする力)
○自らテーマを持って問題を設定し,解
決することができる。
(問題解決能力)
思考力や適切な判断力を持
ち,他者・多国との価値観
の違いを認め,お互いの関
係を平和的に形成する資質
を有する子ども
○国際的な資質
〇国際社会の有り様を正しく捉え,自主
的,論理的に判断し行動することがで
きる。(社会的判断力)
〇既習事項を活用し,自ら思考の再構成
をはかりながら,より良い社会を形成
していくことができる。
(社会参画力)
事象の関係性を算数・数学
的に考察,表現,説明する
子ども
○数学的リテラシー
○ものごとの本質を捉
え,それらを活用し,
ものごとを合理的に考
察していく力
〇事象を数学的表現で,筋道立てて伝え
合うことができる。
(算数・数学的な表現を用いて,論理的
に解釈・説明する力)
〇日常問題や社会の出来事に関する問題
について,数学的視点で考えることが
できる。
(算数・数学的な視点で物事を考察しよ
うとする態度)
自然の事物・現象に進んで
関わり,それらの中に課題
を見出し,観察,実験など
を計画し,その結果から導
き出した考えを仲間ととも
に科学的な見方や考え方に
高めていく子ども
思いや願いを抱き,問題の
解決や目的の実現に向けて
粘り強く取り組む子ども
○科学的リテラシー
○事実や科学的な知識,概念を用いて,
自分とは異なった見方や考え方を検討
したり,自分の考えを合理的に説明し
たりすることができる。
(科学的コミュニケーション力)
○科学に興味・関心を持ち,日常生活の
中で学んだことを活用することができ
る。
(科学への興味・関心)
○自分にとって興味・関
心があり,価値がある
と感じられる学習活動
を自ら進んで行う。
(学
習上の自立)
○身近な人々,社会及び自
然と適切にかかわり,自
らよりよい生活を創り
だす。
(生活上の自立)
○自分のよさや可能性に
気付き,現在及び将来
における自分自身のあ
り方に夢や希望をも
ち,前向きに生活する。
(精神的な自立)
○音楽の基礎的能力を伸
ばし,それらを活用し
ながら発展していくこ
とのできる創造性
〇問題解決や目的実現に向けてのアイデ
アを出し合うことができる。
〇問題・目的や状況に照らし合わせて,
アイデア選択や優先順位を考え合うこ
とができる。
○困っていることを伝えたり,困ってい
る人の手助けを行ったりできる。
(問題解決・目的実現に向けての協働)
〇集団生活になじみ,集団における自分
の存在に気付くことができる。
〇自分のよさや得意としていること,ま
た,興味・関心をもっていることなど
に気付くことができる。
〇自分自身の成長に気付くことができ
る。
(自分自身への気付き)
〇様々な感覚器官を働かせたり比較した
りすることで疑問を見出すことができ
る。(問題発見力)
〇観点をもって事象を見つめたり,比較
や仲間分けや関連付けて考えたりする
ことができる。(観察力)
○疑問点を調べるための方法を考え,試
すことができる。
(解決方法の設定)
〇働きかけとそれに対する結果に着目す
ることができる。
(働きかけと結果への着目)
〇繰り返し試行錯誤し粘り強く取り組む
ことができる。(粘り強さ)
○音楽についての気づきや感じたことを
交流したり,仲間とともに音楽を創り
上げたりする中で,共感したり一体感
を味わったりすることができる。(共
有)
○新たな音楽に出合った際に,比較・参
照して認識を新たにしたり,音楽的能
力(知覚・感受等)
・音楽的技能・音楽
的知識を活用しながら,豊かな表現を
追求したりすることができる。
(習得と追求)
表現や鑑賞の活動を通し
て,自分や友だちの感じた
ことや考えたことを大切に
しながら,粘り強く自ら創
造することを楽しむことが
できる子ども
○美意識(造形的な活動
の中で働く「美しさや
よさに関する価値の意
識や感情」)
様々な運動場面における課
題を見出し,その課題に対
する自らの意見をもち,運
動を通して積極的に意見交
流を行い,仲間と主体的に
かかわり合いながら粘り強
く継続的に課題を解決して
いく子ども
生活の中の課題に気づき,
さまざまな他者とのかかわ
りの中で新たな生活を創る
ことのできる子ども
〇知識や技能の習得によ
って,運動のおもしろ
さやよさ,健康や安全
の大切さを心と身体で
感じることができる力
○作品などの主題設定・追求を通して自
分の価値意識をもたせ,異なった見方
や考え方を尊重しながら,批評し合う
ことを通して,自分の中に新しい価値
(豊かな情操)を創り出したり,他者
との結びつきを深めたりすることがで
きる。
(造形活動において,自分の価値
意識をもって批評し合い,新しい価値
を創り出したり他者との関係を深めた
りする力)
〇動きの良さや不十分さを伝え合う中
で,相手の動きに応じた,働きかけを
したり求め たりす ることが できる。
(動きに対応する力)
○音楽的感覚を身につけた上で,音楽的
能力(知覚・感受等)を関連付けたり
組み合せたりして理解したり使ったり
しながら他者とともに豊かな表現を追
求する中で,音楽から喜びを得たり感
動したりする体験を繰り返し,自分な
りに音楽を価値づけていくことができ
る。(感動,価値づけ)
〇造形活動を通して,自分の生き方や社
会とのかかわり方に関する考え方を創
り出すことができる。
(造形活動を通し
て,新しい可能性をイメージする力)
〇運動のおもしろさや健康的な生活を継
続して営む方法を考え,自己に適した
かかわり方を見つけることができる。
(運動を継続して楽しむ力)
〇自分の動きを分析し,課題を明らかに
することができる。(動きの課題を発見
する力)
〇よりよい動きを目指して,練習方法を
工夫して粘り強く取り組むことができ
る。(新たな動きを創造する力)
〇自分の将来の生活を,家庭生活,職業
生活,地域生活の側面から捉え、様々
な情報を収集・検討しながら,自己実
現に向けて生活の自立をめざすことが
できる。(生活を自立的に営む力)
〇生活の中の課題を見つけ,その課題を
解決するための計画を立てて工夫しな
がら実践し,生活をよりよくしようと
することができる。
(生活を工夫し創造する能力)
外
国
語
活
動
・
英
語
外国語や外国の文化に関心
を抱き,理解しようとする
とともに,様々な人と積極
的にコミュニケーションを
取ろうとする子ども
○言語や文化に対する理
解を深めるとともに,
外国語を用いて積極的
にコミュニケーション
をとるための手段を育
むこと
〇他者とのかかわりが自分にとって重要
であることを理解し,社会的な人間関
係の基礎を構築すると共に,家族や地
域社会の一員としての役割を果たしつ
つ他者と共生することができる。
(様々
な人とかかわり共に生きる力)
〇英語を用いたコミュニケーション活動
を通して,さまざまな人とよりよい人
間関係を築く。(コミュニケーション
力)
〇英語を用いたコミュニケーション活動
を通して,自分や友だちの好きなこと
を知ったり将来の夢について考えたり
する。(自己存在感・自己有用感)
〇自分たちで設定した課題の達成に向け
て,簡単な語句や表現を用いて友だち
と協力しながら活動する。
(協働的問題
解決力)
〇様々な考えや文化を持つ人と英語を介
した交流をし,自分の考えや気もち,
事実を伝え合うことを通してよりよい
人間関係を築く。
(コミュニケーション
力)
〇外国語科の学習を通して,異文化を理
解したり自文化を見つめ直し,比較し
た り し て 自 分の 生 き 方 につ い て 考 え
る。(自己存在感・自己有用感)
〇外国語科の学習を通して他者と協力し
ながら課題を達成する。
(協働的問題解
決力)
健
康
保
健
自分の願う健康観を持ち,
その実現に向けてよりよく
生きて行ける子ども
〇健康に関わる互いの考えや生活スタイ
ルの良さを認め合うことができる。
(共
感的人間関係)
〇自分の願う健康の実現に向け,具体的
な生活スタイルを身につけ,将来の自
分の姿を思い描きながら生活できる。
(生活の自立)
〇自分の願う健康の実現に向け,具体的
な生活スタイルを自ら考えて生活でき
る。
(課題解決能力,自己決定)
社
会
算
数
・
数
学
理
科
生
活
科
教
科
等
音
楽
図
画
工
作
・
美
術
体
育
・
保
健
体
育
家
庭
科
他者とともに豊かな表現を
追求する中で,音楽から喜
びを得たり感動したりする
体験を繰り返しながら,自
分なりの音楽を価値づけて
いくことができる子ども
○生活者としての生活実
践力
〇主題を生み出すことができる。
〇自分の表現意図に合う新たな表現方法
を工夫するなどして構想を練ることが
できる。
〇粘り強く技法・技術を習得しながら創
造的に表現することができる。
(表した
いことをもとに思考・判断・表現する,
創造的な問題解決力)
年少
保育部会
「シャボン玉遊び」
図画工作・美術部会
2 年「大きな
ねん土の
かたまりが…」
保育・教科部
実践事例
子どもたちがやりたいと思ったシ
ャボン玉遊びを自信をもって思い
切りやってみる姿が見られました。
(平成 27 年度抜粋)
国語部会
2 年「どくしょをたのしもう」
理科部会
9年「生命の誕生」
「物語ごとの主題を自分の生活や将
来につながる考えまで引き上げるこ
と」等を通して,教科の本質に根ざ
した資質・能力を育成しました。
教師が,生徒の主体的な学びのあり
かたを検討し,ポートフォリオや面
接での発言を分析し,教科の本質に
根ざした資質・能力をとらえ直して,
授業改善しました。
社会科部会
6 年「世界の中の日本」
消費者である私たちが生産者のことまで
考えて(想像して)商品を選ぶことが,消
費者と生産者との関係に価値をおく「関係
価値」から地球環境問題を考えていくこと
ができるようにしました。
算数・数学部会
6 年「資料の調べ方」
実際の統計場面と学習をつなぐ場を
意図的に設定したことは,キャリアプ
ランニング能力の育成に有効である
ことが明らかになりました。
生活科部会
2 年「コロくんを作ってあそぼう」
「質問づくり」の手法を用いること
により,おもちゃが動く様子から多
くの質問をつくることができまし
た。
大きな土粘土のかたまりから手やか
きベラを使ってグループで一つの作
品を作ることができました。
体育・保健体育部会
1 年「ダンス☆ダンス♪ダンス!」
「よい動き」とは,どのような動き
かを合意形成しながら,その動きを
目指して練習方法を工夫することが
できました。
家庭科部会
8 年「私たちの成長と家族」
家庭科での学びを実際の幼児とのふ
れあいと結びつけ,よりよいかかわり
方を仲間と交流しながら学びました。
音楽部会
5 年「箏の響き(5・9年交流)」
外国語活動・英語部会
7 年「人を紹介しよう」
9年生と一緒に箏の二重奏を創り上
げていくことにより,教え合いや学び
合いの中で自己を振り返りながら学
習したり,技能を高め合ったりするこ
とができました。
自分が尊敬している人をテーマに
したスピーチ文を書き,それをスピ
ーチすることにより,尊敬している
相手に対する自分の思いや考えを
表現することができました。
<「希望(のぞみ)」実施の効果>
1 子どもの変容
「希望(のぞみ)
」で育成する資質・能力及び態度・価値観の変容については,小中学校では,児童生徒質問紙調査に
よる量的変化と,児童生徒の記述や教師の見とりによる質的な変化の両面からとらえます。平成 27 年度の調査結果から
は,
「課題対応能力」
・「参画」の育成が課題となりました。そこで,本年度は,単元指導計画を見直すなどし,課題の改
善に取り組んでいます。また,OPPAの活用等による,自己評価・他者評価を効果的に実施しながら,発達段階に応じ
て意識すべき「集団の中の自己のあり方」を考えることができる単元の内容や指導と評価の改善に取り組みます。
幼稚園では,普段の子どもたちの姿から4段階のルーブリック評価を行うとともに,エピソードからの保育カンファレ
ンスにより子どもの変容をみとり,「主体的に自己を変容させる」素地を養うための環境構成や教師のかかわりを模索し
ます。
平成 27 年度
児童生徒質問紙調査における肯定的回答の変容(4件法による)
2 教師への効果
私たちは,教職員への意識調査を実施し,研究開発の取組みの教師への効果を検証しています。毎年,肯定的回答が増
加し,全教職員が共通のビジョンと充実感をもって研究を進めることができていることを確認しています。しかし,
「子ど
もの変容を実証的なデータ(事実)で確認できる。」(肯定的回答 42%)等,実施の効果の検証については,課題が残り
ました。また,
「平成 27 年度から開始した新学年区分により,12 年間一貫教育のカリキュラム開発が進んでいる」(肯
定的回答 58%)等の結果から,本年度は,学年区分を貫いた取組みを充実させる必要があると考え,新たに,カリキュ
ラムと評価のプロジェクトチームを立ち上げ取り組んでいるところです。なお,
「通教科的能力と関連して育む保育・教科
の本質に根ざした資質・能力の育成」に取り組んだ結果,次のような感想も挙がっています。
☆三つの通教科的能力を意識した実践を行うことで,これからの子どもたちに必要と
される能力を通して,子どもの姿を見取ることができるようになってきた。
☆教科の本質に根ざした資質・能力とは何か,教科の存在意義とは何かを考えること
で,授業において,何を子どもたちと考えていく必要があるのか,はっきりした。
☆幼小中 12 年間の子どもを対象とした見とりについて協議し,校種の発達段階を
知ることで,自分の所属の子どもの見取りも鋭くなってきたように思う。
全体研究部会
実践発表
3 保護者への効果
三原学校園では,年間 1・2 回の「希望(のぞみ)」参観日を実施し,保護者の方々に「希望(のぞみ)
」で育つ子ど
もたちの姿を見ていただくとともに,参加者にアンケートに答えていただいています。
平成 27 年度のアンケートに寄せられた保護者の声を紹介します。
☆「園児さんと一緒に成功させたい」という気持ちが子どもたち一人一
人の沢山の発言から感じられました。
☆4年生さんが3年生の反応を確認しながら,自分たちの発表をすすめ
ていく姿がすばらしかったです。3年生も来年は自分たちもあんなふ
うにできるか不安かもしれませんが,目標にして頑張ってくれると思
います。
☆プレゼンテーションをする力は,将来とても大切な力だと考えていま
す。小学生からこのような学びができることは,自信につながると思
いました。
☆課題を見つけ人と関わる中で解決策を見出す力は,社会の中で最も重
要であり,「希望(のぞみ)」の学習を継続する事で確実に身について
いると感じました。
平成 27 年度 8 年「希望(の
ぞみ)」参観の様子