第2章 2.1 第一種事業の目的及び内容 第一種事業の目的 これまでわが国では、エネルギー自給率の向上と地球温暖化問題を解決するための手段の 一つとして、エネルギー政策基本法等により新エネルギー導入を促進してきた。また、近年 では、東日本大震災を契機に再生可能エネルギー導入の機運が高まり、2014 年 4 月に閣議 決定された「エネルギー基本計画」において、再生可能エネルギーは、温室効果ガスの低減 が図れることと国内資源で生産が可能なことから、積極的に推進していく方針が確認されて いる。 本事業は、青森県下北郡東通村にある既設風力発電所の岩屋ウィンドパークと岩屋風力発 電所の建替及び新設を実施し、再生可能エネルギーである風力エネルギーで発電をした電力 を売電する事業である。 2-1 (3) 2.2 第一種事業の内容 2.2.1 第一種事業の名称 (仮称)新岩屋ウィンドパーク事業 2.2.2 第一種事業により設置される発電所の原動力の種類 風力(陸上) 2.2.3 第一種事業により設置される発電所の出力 (1) 新設 27,800kW~最大 69,000kW (定格出力 2,000kW~3,450kW 級風力発電機を最大 27 基程設置) ※系統状況が改善された場合は、既設容量(27,800kW)を超えて、最大で 69,000kW の出 力を予定している。 (2) 既設 岩屋風力発電所 発電所の名称:岩屋風力発電所 運転開始日:1998 年 4 月 設備能力:800kW(400kW×2 基) 岩屋ウィンドパーク 発電所の名称:岩屋ウィンドパーク 運転開始日:2003 年 2 月 設備能力:27,000kW(1,500kW×18 基) 2.2.4 第一種事業の実施が想定される区域及びその面積 (1) 事業実施想定区域の概要 事業の実施が想定される区域:青森県下北郡東通村岩屋(図 2.2-2 参照) 事業の実施が想定される面積:約 275ha 事業実施想定区域の位置及びその周囲の状況は、図 2.2-1 及び図 2.2-2 に示すとおりで ある。 2-2 (4) 図 2.2-1 事業実施想定区域の位置 2-3 (5) 図 2.2-2(1) 事業実施想定区域の周囲の状況 2-4 (6) 図 2.2-2(2) 事業実施想定区域の周囲の状況 2-5 (7) (2) 事業実施想定区域の検討手法 事業実施想定区域の検討フローは、図 2.2-3 に示すとおりである。事業実施想定区域の 検討では、現在の風力発電施設のリプレースであることから、現在の施設のエリアを基本と しているが、風況条件による抽出、送電線・道路整備状況の確認、法令等の制約を受ける場 所の確認、生活環境の保全上、特に配慮が必要な施設等の確認を行い、その結果を基に事業 実施想定区域を設定した。 なお、青森県は、東通村を含むむつ小川原地域(12 市町村)及び八戸市の計 13 市町村を 「環境・エネルギー産業創造特区」に指定しており、これらの地域では風力発電等自然エネ ルギーの導入促進が期待されている。 1)風況条件による候補地の抽出(図 2.2-4) 局所風況マップ等から、風況条件が良いエリアを抽出 2)既存風力発電施設及び道路整備の状況の確認(図 2.2-5) 既存資料等から、周辺の風力発電施設及び道路等の状況を確認 3)送電線及び法令等の制約を受ける場所の確認(図 2.2-6) 既存資料等から、送電線、周辺の地形の状況(尾根の位置など)及び法令 等の制約(自然公園、保安林、鳥獣保護区)や自然環境の保全上配慮が必 要な場所(特定植物群落等)の位置を確認 4)生活環境の保全上、特に配慮が必要な施設等の確認(図 2.2-7) 学校、病院、住宅等の生活環境の保全上、特に配慮が必要な施設等の位置 を確認 図 2.2-3 事業実施想定区域の検討フロー 2-6 (8) (3) 事業実施想定区域の設定根拠 風況条件による候補地の抽出 事業実施想定区域及びその周辺は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発 機構(以下、 「NEDO」という。)の局所風況マップによると、年平均風速で 8m/s 以上(地上 高 70m)の風速が得られる地域となっている。 加えて、現地において風況調査を実施したところ、風力発電に適した風況であることを確 認している。 既存、建設予定の風力発電施設及び道路整備の状況の確認 事業実施想定区域の北側には、多くの既存風力発電施設があり、最も近い風力発電所はユ ーラス岩屋ウィンドファームであり、事業実施想定区域に隣接している。また、事業実施想 定区域には自社の風力発電所が 2 施設あり、岩屋風力発電所(400kW×2 基)は 2016 年 4 月 で 18 年を経過、岩屋ウィンドパーク(1,500kW×18 基)は 2016 年 2 月で 13 年を経過して おり、当該発電所は本事業の実施に伴い建て替える予定である。 道路整備状況については、事業実施想定区域の西側には県道 6 号、南側には県道 172 号が ある。 送電線及び法令等の制約を受ける場所の確認 系統連系地点等は未定であるが、事業実施想定区域の周辺に既存の変電所及び送電線が設置 されている。 事業実施想定区域西側には保安林の一部がかかる。 事業実施想定区域は国立公園、国定公園、県立自然公園等、自然環境法令等の規制区域と はなっていない。 生活環境の保全上、特に配慮が必要な施設等の確認 事業実施想定区域近傍には住宅が存在しているが、現状の最寄りの住宅から風力発電施設 を設置する場所までの距離を既設の風力発電機との距離以上確保するように配慮する。なお、 図 2.2-7 に示した範囲内には特に配慮が必要な施設等は存在しない。 2-7 (9) 資料:「局地風況マップ」(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構) 図 2.2-4 風況条件から抽出した候補地 2-8 (10) 注:岩屋風力発電所及び岩屋ウィンドパークは、 本事業の実施に伴い建て替える予定 資料:「数値地図(国土基本情報)道路中心線」(国土地理院) 図 2.2-5 既存、建設予定の風力発電施設及び道路整備の状況 2-9 (11) 資料:1.「国土数値情報 森林地域」(国土交通省、平成 23 年度) 2.「保安林指定調査地図」(下北森林管理署、平成 13 年 1 月 5 日付青森県告示第 9 号) 図 2.2-6 送電線、地形の状況及び法令等の制約を受ける場所の状況 2-10 (12) 資料:「ゼンリン電子住宅地図 下北郡東通村 201509」 (株式会社ゼンリン) 図 2.2-7 生活環境の保全上、特に配慮が必要な施設等の状況 2-11 (13) 2.2.5 第一種事業に係る電気工作物その他の設備に係る事項 (1) 発電機 計画段階における風力発電機の概要は、表 2.2-1 及び図 2.2-8 に示すとおりである。 表 2.2-1 風力発電機の概要 項目 諸元 定格出力 2,000~3,450kW ブレード枚数 3枚 ローター直径 約 80~112m ハブ高さ 約 75~84m 高さ 約 115~140m 約 75~84m 約 115~140m 約 80~112m ▽G.L. 図 2.2-8 風力発電機の概要 (2) 変電施設 変電施設を設置する計画であるが、位置等の詳細については未定である。 2-12 (14) (3) 送電線 送電線は、地中埋設又は架空により、変電施設を経由のうえ系統に連系する予定である。 なお、送電線ルート、系統連系地点等の詳細については未定である。 2.2.6 第一種事業により設置される発電所の設備の配置計画の概要 事業実施想定区域内の現在の風力発電機の配置を踏まえる予定であるが、具体的な配置計 画は未定である。 風力発電機の出力及び基数は、表 2.2-2 に示すとおりである。 表 2.2-2 風力発電機の出力及び基数(想定) 項 目 諸 元 単機出力 2,000~3,450kW 基数 最大 27 基 総発電出力 最大 69,000kW 2.2.7 第一種事業に係る工事の実施に係る期間及び工程計画の概要 (1) 工事計画の概要 本事業に係る主な工事内容は、次のとおりである。 ・造成・基礎工事等:風力発電機基礎工事、ヤード工事、アクセス道路工事等 ・据付工事:風力発電機据付工事等 ・電気・計装工事:送電線工事、変電所工事、配線工事、建屋工事等 ・資材輸送:大型機器、その他工事資材 (2) 工事期間の概要 工事期間は、約 2 年間を予定している。 工事開始時期:平成 36 年度 (想定) 運転開始時期:平成 37 年度内(想定) (3) 工事工程の概要 工程計画については未定である。 2-13 (15) (4) 輸送計画 ナセル、ブレード、タワー等の大型資材については、尻屋崎港まで海上輸送し、尻屋崎港 にて陸揚げ後、トレーラー等により図 2.2-9 に示す既存道路を使用して、事業実施想定区 域まで輸送する計画である。また、その他の工事用資材の搬出入及び工事中の関係車両は、 図 2.2-9 に示す既存道路を使用する計画である。 2-14 (16) 注:本搬入路は、現時点での想定であり、今後の具体的な工事計画により変更の可能性がある。 図 2.2-9 大型資材の輸送経路および工事関係車両の主要な走行経路 2-15 (17) 2.2.8 その他の事項 (1) 複数案の設定について 事業実施想定区域の設定にあたっては、現在の風力発電施設のリプレースであることから、 現在の施設のエリアを基本とし、地形条件、既存風力発電機・系統連系・道路の整備状況、 法令等の制約を受ける場所、住宅等の分布状況を確認し、事業実施想定区域の検討を行った。 本検討は、比較的広い候補地から事業実施想定区域を絞り込む過程を経ている。現時点の事 業実施想定区域は、風力発電機等を配置する可能性のある範囲を包含するように広めに設定 しており、今後の調査等を踏まえ、環境影響の回避・低減も考慮して事業区域を絞り込んで いく計画である。このような検討の進め方は、 「計画段階配慮手続に係る技術ガイド」 (環境 省計画段階配慮技術手法に関する検討会、平成 25 年)において、位置・規模の複数案から の絞り込みの過程であって複数案の一種とみなすことができるとされている。 本事業は、地権者等との交渉を進めている段階であり、風力発電機の具体的な配置・構造 は今後の環境影響評価手続きの中で、現地調査結果等を踏まえながら位置・規模の絞り込み を進めていく予定であり、このため、複数案は設定しなかった。 今後、現地調査結果や環境影響評価の結果を踏まえながら、風力発電機の位置・規模、配 置・構造を検討することで、重大な環境影響の回避・低減を効果的に行う考えである。 なお、本事業は風力発電事業の実施を目的としており、ゼロ・オプションの検討は現実的 でないことから、計画段階環境配慮書の作成に当たり、ゼロ・オプションを設定していない。 2-16 (18)
© Copyright 2024 ExpyDoc