第13回 日本乳癌学会関東地方会 教育セミナー 診断部門 はじめに • 乳腺外科医は、単に乳癌かどうかを診断する だけでなく、その腫瘍の広がりや、多発の有 無を正確に診断し治療計画をたてる必要が あります。 • すなわち、総合力が求められます。 • 症例を4例提示します。 • いずれも、判断が難しかった症例です。 • 一緒に考えましょう。 症例 1 • • • • • • 59歳女性 左乳房腫瘤を自覚し近位受診 左C領域に3㎝大の弾性硬の腫瘤触知 腋窩にも示指頭大のリンパ節触知 CNBで浸潤性乳管癌、ER/PR/HER2 -/-/+ 腋窩リンパ節細胞診 classⅤ MG 所見は? MRI US 術前化学療法 • T2N1M0 Stage ⅡB、HER2陽性、リンパ節転移 陽性乳がんに対し • ハーセプチン+タキサンの術前化学療法施行 化療後MG 所見は? 化療後MRI 2か所の腫瘤? • 触知する左C領域の腫瘤は術前化学療法で ほぼ消失 • 腋窩リンパ節も縮小 • A領域の腫瘤はほとんど変化なし • A領域腫瘤の組織学的診断は行っていない • 患者さんは乳房温存術希望 • 手術前の診断と治療をどのような方針で行う か考えてみてください 行った治療 • 2か所の乳癌は異なるprofileであるので同時 同側発生と考えた • したがって両方の腫瘍間には連続性はない • 2か所の部分切除による乳房温存術施行 C領域腫瘤 C領域管内に遺残 A領域腫瘤 A領域 管状癌 まとめ • 同時同側多発乳癌 • Profile – C領域:IDC ER/PR/HER2 -/-/+ – A領域:管状癌 ER/PR/HER2 +/+/術後 FEC4回⇒ハーセプチン1年 乳房と鎖骨上領域に照射 照射終了後AI投与予定 症例2 • • • • 56歳女性 任意型検診のMGで要精検 乳がん疑いで紹介 右乳房に1.5㎝の腫瘤触知 MG 所見は? US 経過 • • • • 腋窩に腫大リンパ節なし CNB:IDC ER/PR/HER2 +/+/術前化学療法の適応ではない MRI施行 MRI B領域US B領域の腫瘤 • 穿刺吸引細胞診施行 • ClassⅢ:Atypical cells • 細胞は小型ですが、細胞密度が高く、重積性 のある異型細胞集塊が見られます。悪性が 疑われます。生検にて確認お願いします。 症例2 • 比較的近い位置に腫瘤が2個存在 • 多発なのか、広範囲の乳癌なのか? • 患者さんと家族への説明は? 実際の治療 • 多発が疑われることを説明 • 胸筋温存右乳房切除術・センチネルリンパ節 生検施行 • DE領域の腫瘤はIDC • BE領域の腫瘤はductal adenoma 症例3 • • • • • 77歳女性 乳房痛で近位受診 右乳房腫瘤精査目的に紹介 視触診:右乳房CD領域に1㎝程度の硬結あり MG検診受診歴なし MG 所見は? US 所見は? 今後の方針は? 前医で撮影したMRI 経過 • • • • • • 細胞診施行:classⅤ CNB施行:粘液癌 ER/PR/HER2 +/+/乳房温存術施行 占拠径 5㎝以上 断端陽性 再手術(乳房切除術施行)
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