第4章 第 4 章 水道事業の理想像と目標 41 第4章 自然の良港を持つ本市は古くから港町・商都として繁栄してきました。今後も「瀬戸内の 十字路」としての発展が大いに期待されるなか、水道事業は快適な市民生活や市勢の発展 に資するため、将来にわたって、災害時にも安全な水道を供給する使命があります。 この使命を果たす上でのいくつかの課題が現状分析と将来見通しにより明らかとなりま した。これらの課題を着実に解決し得る、平成 25 年 3 月に公表された国の新水道ビジョ ンで示された3つの目指すべき方向性「安全」、 「強靱」、 「持続」に沿った、本市水道事業 の理想像と目標を定めるため、水道事業に対する市民の皆様のニーズや認知度を把握する 必要があると考え、平成28年8月に約1,500世帯を対象とした「水道利用者アンケ ート調査」を実施いたしました。 このアンケート結果などにより、基本理念に「市民の皆様と共に歩む水道」を掲げ、こ れを実現するための4つの柱として「安全」の視点から「安全・安心な水道」、「持続」の 視点から「市民サービスと満足度の向上」「未来へつなげる水道」 、 「強靭」の視点から「災 害に強い水道」を目標と位置づけました。 今後の人口減少や少子高齢化が進展する社会変化に対応しながら、この理念と目標を市 民の皆さま及び職員をはじめ関係者で共有し、安全な水道水を災害時にも安定しておくる ことで、市民の皆さまの信頼を高め、これを未来まで引き継いでいくことを目指して、各 種取組を推進していきます。 目指すべき尾道市水道事業 施設の適正管理 (アセットマネジメントなどの実施) 持続 市民サービスと満足度の向上 未来へつなげる水道 経営基盤・技術基盤強化 人材の育成 広域連携・公民連携 市民への情報提供 (水道事業の見える化) 強靱 安全・安心な水道 など 安全 など 水安全計画の運用 水道施設の計画的 更新・耐震化 安全な水の安定供給 水源の環境保全 非常時の体制強化 など など 安全で安心、安定した事業運営 42 災害に強い水道 第5章 第 5 章 目標の実現に向けた具体的取組 5.1. 「安全・安心な水道」 5.2. 「市民サービスと満足度の向上」 5.3. 「未来へつなげる水道」 5.4. 「災害に強い水道」 5.5. 施策体系図 43 第5章 前章で掲げた目標の実現に向けて、今後 10 年間に推進する各種取組を示します。 5.1. 「安全・安心な水道」 1)水安全計画の運用 現状・課題 普段の飲み水は 70%以上の市民が「水道水」と回答され、安全な水道を守ること の重要性が確認されました。 従来、給水栓において水質基準に適合する水道水を供給するため、施設の監視や 運転管理、水質検査などを行ってきました。 水源から蛇口に至る全ての過程で想定されるリスクを管理し、常に信頼性の高い 水道水の供給を確実に行うため、「水安全計画」を立案しました。 具 体 的 取 組 水安全計画に基づく水質管理: 「水安全計画」の運用により、継続的な点検、検査、 監視に基づくリスク分析を行い、リスクの内容を評価し、対策や計画の全体につ いて適宜見直しを図ることにより、安全な水を将来にわたって供給します。 水安全計画のレビュー:水安全計画は、水質検査計画策定にあわせて原則毎年 3 月にレビューを行います。レビューは推進チームリーダーが主催し、技術継承の 仕組みの1つとしても活用します。 水源管理 水源 水安全計画 浄水管理 水源から蛇口までの一体管理 給配水管理 HACCP的管理手法 蛇口 (需用者) 水質管理 図 5.1 水安全計画との関係(厚生労働省「水安全計画策定ガイドライン解説編」より) 44 第5章 2)安全な水の安定供給 現状・課題 安全な水を安定的に供給するためには、浄水施設や設備の状態を的確に把握し、 適切に運用することが重要です。 本市水道局では、水道法に基づいて、水質検査の合理性及び透明性を確保するた め、毎年「水質検査計画」を策定・公表しています。 水質基準項目の説明と水質検査結果を本市ホームページに公表しています。 水質に関する問い合わせに対して、迅速かつ適切な対応が必要と考えています。 本市は、沼田川水道用水供給事業より大部分を受水しており、この事業は広島県 (指定管理者:㈱水みらい広島)が管理運営を行っています。 飲料水における鉛の水質基準は近年になって強化されました。 鉛製給水管は鉛溶出に加え、漏水事故の原因となる、耐震性が低い、漏水により 有効率の低下につながるといった課題を抱えています。 本市の鉛製給水管率は 7.8%、約 5,000 箇所となっています。 具 体 的 取 組 施設の健全度を把握する点検も含めて維持管理を行っていきます。 長江浄水場等の施設の適切な運転監視に務めます。 資産の長寿命化を図るために、定期的な機器修繕を実施していきます。 これまでと同様に「水質検査計画」に基づき水質検査を実施し、より安全で、快 適な水道水の供給に努めます。また、「水質検査計画」は、水質基準の改正や毎 年の水質検査結果などの状況に応じて、検査項目や検査頻度ならびに採水地点の 追加や見直しを行います。 我が国では安全な水道水を提供するために塩素消毒が義務づけられて、その塩素 がカルキ臭等に変化し不快を与えることが知られています。おいしい水を届ける ために、塩素濃度の適切な管理に努めます。 広島県及び㈱水みらい広島と情報の共有を図り、連携して水道水の安定供給に努 めます。 国の水質基準の引下げにより、鉛製給水管の解消に向けて老朽化、事故等歴から 優先度を決定し、給水管(鉛管)の取替を行います。計画期間内での解消を目指 し、年間約 500 箇所を目標に取り組みます。 45 第5章 3)水源の環境保全 現状・課題 本市の自己水源は、久山田貯水池のみであり、平成 27 年度における水源別の給 水割合は、沼田川水道用水供給事業からの受水が約 94%、自己水源が約 6%と、 沼田川水道用水供給事業からの受水が大半を占めています。 久山田貯水池は、貴重な自己水源であることから、今後も維持する必要がありま す。 久山田貯水池は、近年の環境変化、異常気象により、貯水池内が富栄養化傾向に あり、今後とも注視が必要です。 平成27 年度の配水量は、長江浄水場が約 79 万/万m3/年、沼田川水道用水供 給事業からの受水が約 1,384 万m3/年で合計約 1,463 万m3/年です。 具 体 的 取 組 久山田貯水池及び周辺の環境保全に取り組んでいきます。 良質な水源の確保を継続するために水質検査、動植物検査及び調査研究を行いま す。 46 第5章 5.2. 「市民サービスと満足度の向上」 1)施設の適正管理(アセットマネジメントなどの実施) 現状・課題 施設と管路の老朽化は進んでおり、更新しない場合は健全度が低下の一途をたど り、また、水道資産を健全な状態で維持するためには、投資の平準化も考慮した 更新事業の継続が必要となります。 本市水道局では、今後の更新事業を行うための費用と財源についてアセットマネ ジメントの考え方に基づき、施設については「配水系統整備基本計画」、管路につ いては「管路更新計画」を策定しました。 高度経済成長期に整備した多くの施設が法定耐用年数を迎えます。 ⇒法定耐用年数での更新費用は膨大で実施困難 〇各施設をできるだけ長く使用しつつ、更新費用を圧縮 〇一度に多くの更新需要が発生しないように事業量を調整、平準化 特に、更新需要の約 75%が管路であるので、計画的な更新が必要 「管路更新計画」により、適正事業量の検討と更新優先管路の選定をします。 〇更新基準年数を管種等に応じて細分化し、また、管路の長寿命化を可能とする新た な技術により製造された管種の採用により、法定耐用年数の 1~2.5 倍(40 年~ 100 年)に設定 ⇒管路の法定耐用年数(40 年) 〇管路更新目標延長 約 14km/年 更新費用約 6.95 億円/年に設定 「配水系統整備基本計画」により配水池等の統廃合の検討と更新施設の選定をします。 〇更新基準年数を重要度に応じて、法定耐用年数の 1~1.5 倍に設定 ⇒配水池・設備等の法定耐用年数(8年~60 年) 〇更新費用約 5.35 億円/年に設定 具 体 的 取 組 立案した計画に基づき、管路更新事業、施設更新事業を着実に実施します。 管路の老朽度調査により更新基準年数の妥当性などを確認します。 定期的に更新事業の進捗を確認し、計画の時点修正を行います。 47 第5章 2)市民への情報提供(水道事業の見える化) 現状・課題 広報誌「広報おのみち」に水道の記事を掲載しています。 本市ホームページでは、 「生活」分野の「水道」の項目の中で、水道に関する最新 情報、手続き・申請・業務、Q&A を設けています。 一方、今回の市民アンケート調査により、水道事業の運営に関する情報提供につ いて、市民の皆さまの理解を得るには不十分なことが分かりました。 水道料金により行われている水道事業の運営は、市民の皆さまの理解を得て進め ることが重要です。 具 体 的 取 組 「あって当たり前な水道」に対して、より市民の皆さまに関心を持っていただけ るよう、現在の広報手段の中心となっている「広報おのみち」や本市ホームペー ジの利活用について、改善に向けた検討を行います。 今回実施した市民アンケート調査の結果を十分に分析し、公開することによって、 市民の皆さまに本市の水道事業の実態をご理解いただくとともに、 「求められてい る水道事業」の実現を目指します。 水道週間等を活用し、市民の皆様に水道管等の施設更新が必要な現状を知ってい ただく取り組みを行います。 水道事業について独自にモニタリングすることは勿論、市民の皆様に参加いただ けるモニタリング実施の検討を行います。 料金業務等窓口サービスの充実に向けて、委託業者と協力して研修を行います。 広報誌や本市ホームページ、イベント活動等を利用して、水道水のおいしさの PR を積極的に行っていきます。また水質に関する問い合わせに対して、迅速に対応 できるような方策を検討します。 48 第5章 5.3. 「未来へつなげる水道」 1)経営基盤・技術基盤強化 現状・課題 水道事業は、企業会計の原則に基づき、独立採算方式で行われており、事業運営 には適正な水道料金の収入確保が不可欠です。 水需要において、人口減少と節水意識の高揚により、家事用を中心に給水収益が 減少傾向にある中で、建設工事においては老朽化した施設の更新及び管路の布設 替えなどに多額の投資資金が必要となっています。 管路更新等の事業を進めるためアセットマネジメントの管路更新計画にもとづい て着実に事業を進めるとともに、必要な財源については、給水収益が減少してい く試算のもとで、料金水準の見直しによる財源の確保が求められます。 現行の料金水準を維持した場合、財政収支見通しにより、有収水量の減少に伴う 収益的収入の減少が続き、更に、減価償却費や維持管理費等の上昇による収益的 支出が増加することで、平成42年には損益がマイナスに転じる結果となってい ます。また、平成38年以降は給水原価が供給単価を上回る逆ざやになることも 想定されています。 本市水道事業の収納率は、電話、訪問催告等きめの細かい対応を継続することに より、高い水準を確保しています。 沼田川水道用水供給事業からの受水が水源の 94%を占めることから、受水費の動 向は本市の経営に大きな影響を与えます。沼田川水道用水供給事業は平成 31 年 度まで現在の受水費単価を継続するとされています。 具 体 的 取 組 規模の適正化や統廃合などによる施設合理化と、新技術の採用等による工事費の 圧縮を図ります。 日常点検・修繕故障履歴を踏まえ、個別機器の更新等長寿命化措置によるコスト 縮減を図ります。 平成38年以降の給水原価が供給単価を上回る逆ざやに対応していくため、計画 期間における年度ごとの決算数値を踏まえた中長期的な財政収支見通しの把握に 努めます。また、必要に応じて適正な料金体系や水道料金水準の検討を行い、財 政基盤の強化を図ります。水道料金水準の検討では、沼田川水道用水供給事業の 受水費単価や有収水量の動向、適正な資産維持費の確保、消費税の引き上げ等に ついて考慮します。 49 第5章 事業所などの大口需要者への使用促進や滞納者対策についてきめ細かい対応を継 続し、適正な収入の確保に努めます。 効率的な歳入確保のために水道料金の徴収について、原則口座振替方式へ移行集 約することで、収納率の向上を図ります。 施設の撤去等により将来にわたって利用する見込みのない土地を売却や賃貸する など、料金収入以外での財源の確保についても取り組みます。また、自然エネル ギー活用による電力費削減など、支出抑制方策の検討を行います。 自己水源の有効活用により、受水費の抑制に努めます。 旧尾道銀行本店(おのみち歴史博物館) 50 第5章 2)人材の育成 現状・課題 組織改革等の進捗により職員数は大幅に減少しましたが、更新事業の増加や近年 頻発している豪雨や地震などの災害対応により職員の業務量は増加しています。 特に若年職員の減少が顕著となっています。 土木建築から機械電気設備、水質など幅広い技術によって成り立つ水道事業を担 う職員には、高い技術力が求められています。 具 体 的 取 組 職場研修を基本としながら関係団体主催の研修会、外部講師や再任用者による技 術研修、設計の標準化や維持管理の実施研修など、研修参加と技術継承による技 術力強化を図ります。 引き続き事務や業務の見直しを行いながら、増加する更新事業を遂行するととも に、災害等非常時の即時対応を行う上では職員の確保と技術継承も重要となって います。市長部局との調整も図りつつ、業務量に対応できる職員数の確保に努め 経営基盤の強化を図り、より効率的な組織体制の構築に取り組みます。 51 第5章 3)広域連携・公民連携 現状・課題 厚生労働省及び総務省は、水道事業の健全かつ安定的な運営を持続するための一 環として、広域連携及び公民連携により、水道事業者の経営基盤の強化を促す取 組みを推進しています。 水道法改正により水道事業においては、第三者委託制度の導入、地方自治法改正 による公の施設に係る指定管理者制度の導入などの制度面の整備がされてきてい ます。今後は水道事業体の組織体制等、内部の実情に合わせ、適切な公民連携手 法の導入を検討し、運営基盤の維持・強化策として広域連携や公民連携を進めて いく必要があります。 広島県では、県と県内水道事業者で構成する「広島県水道事業推進会議」で、平 成 29 年度内を目途に、県内水道事業の広域連携について検討を行っています。 広島県企業局では、県営水道の業務の効率化、人材や技術の受け皿の確保、行政 区域の枠を超えた広域的維持管理による規模の経済性の発揮等を目的に、平成 24 年9月、民間企業と共同して国内水道事業で初めて民間主導により公民共同企業 体「㈱水みらい広島」を設立しました。㈱水みらい広島は、平成 27 年度から、 沼田川水道用水供給事業の指定管理者として坊士浄水場等の維持管理を行ってい ます。 本市では、いくつかの民間事業者の中から、沼田川水道用水供給事業の指定管理 者として坊士浄水場等の維持管理を受託している㈱水みらい広島に平成 27 年4 月から、夜間、休日については長江浄水場の運転監視業務を委託する等、業務の 広域化の視点からも公民連携を進めています。 その他、料金業務、メーター検針、管路の緊急修繕等について、公民連携の視点 から民間事業者に業務委託をしています。 具 体 的 取 組 将来的に不足することが懸念される人材や技術力を補い、将来にわたり、安心、 安全な水を安定供給するという水道事業者としての責務を果たせるよう、広域連 携や公民連携(PPP)の研究を行います。 広域連携については、広島県水道事業推進会議や備後圏域6市2町での協議・研 究を踏まえた広域連携の具体化、委託業務の共同発注、資機材の共同保有、相互 融通、災害時応援協定締結事業体との共同訓練の実施などについて検討します。 52 第5章 水道施設の運転・維持管理業務の委託や、人材育成・研修業務などを継続すると ともに、今後、増加が見込まれる更新工事に対し、公民連携によるコスト縮減等 について、事前調査や導入可能性調査の実施を検討します。 職員の技術力の向上や委託業者への指導・監理技術能力の確保のために広島県内 や近隣市の水道技術研修センターなどで開催される研修へ参加し、他の事業体と の連携交流を深めます。 災害時の応援協定等を締結している事業体や民間業者と災害時以外の業務等で連 携できる取り組みについて研究します。 長江浄水場 (平成 16 年度 登録有形文化財登録) 53 第5章 5.4. 「災害に強い水道」 1)水道施設の計画的更新・耐震化 現状・課題 【施設】 近年、大規模な地震ならびに水道施設の老朽化により、日本各地での施設被害は 増加傾向にあります。 今後は高度成長期に建設された施設や管路の大規模更新が必要とみられます。 本市の施設の一部は、既に法定耐用年数を過ぎていたり、耐震診断により耐震性 がないことや、以前に整備された施設が必ずしも効率的な配水区域や規模になっ ていないなど、課題が残されています。 そこで、本市水道局では「配水系統整備基本計画」を策定し、今後の施設統廃合 と施設規模適正化について検討を行い、今後の整備計画を立案しました。 【管路】 施設と同様に管路の老朽化も進んでおり、更新しない場合は健全度が低下の一途 をたどります。水道資産を健全な状態で維持するためには、投資の平準化も考慮 した更新事業の継続が必要となります。 本市水道局では平成 27 年に更新事業を行うための費用と財源についてアセット マネジメントの考え方に基づいて「管路更新計画」を策定しました。 この「管路更新計画」では、管路の定量的評価に基づく更新対象管路の抽出と優 先順位の選定を行い、事業量と事業費の適正規模と平準化を検討しています。 具 体 的 取 組 「管路更新計画」に基づいて、管路の計画的な更新および耐震化を行います。 配水池などの施設については、 「配水系統整備基本計画」に基づいて、計画的な更 新および耐震化を行います。また、更新時期に合わせて配水系統の統廃合が可能 な場合は同時に行います。 定期的な事業の進捗確認を行い、必要に応じて計画の見直しを行います。 点検結果及び修繕履歴等に基づく長寿命化を考慮した個別機器等の合理的な更新 による故障リスクの縮減を図ります。 54 水質検査機器の耐震化を推進します。 図 5.2 に示す数値を目標として設定します。 第5章 事業名 現在 → 5年後 H33 年 → 10 年後 摘 H38 年 要 耐震化事業(基幹水道施設) (配水池) 81.7% → 83.0% → 93.6% (管路) 38.0% → 44.5% → 50.0% 阿草調整池・中庄高区・山波・門田 アセットマネジメントに基づく老朽管更新事業 更新延長 140km(14km/年) (管路) 更新率 1.2%/年 耐震化事業も含む ※全更新予定延長に対する年間更新率 鉛管取替事業 (鉛管) 5000 件 → 2500 件 → 図 5.2 0件 500 件/年 更新耐震化事業の目標値 55 第5章 2)非常時の体制強化 現状・課題 本市は、平成 26 年 6 月に南海トラフ地震を想定した「尾道市地域防災計画」を 改訂しました。水道局危機管理体制も「尾道市水道局危機管理計画」の見直しを 毎年行い、災害時にも水道機能の継続・早期回復を対応するために、平成 28 年 3 月に「尾道市水道事業 業務継続計画」を、平成 28 年 9 月に「新型インフルエン ザ等業務継続計画」をそれぞれ策定しました。 本市では災害時に備え、2m3 の給水車1台、1.5m3 以上の応急給水タンクを 2 基、 1m3 未満の応急給水タンクを 11 基、1m3 の仮設水槽を 27 基、移動式小型浄水 装置ユニット(ろ過機)1 台を保有しています。また、応急給水用ポリ容器を 65 個、応急給水用ポリ袋を 5,592 枚備蓄しています。 震災や豪雨などの大規模災害時には、本市職員のみで応急活動に対応することが 困難となる場面も予測されます。的確な応急活動を行う上では、避難所、給水所、 病院などの重要施設と水道施設及び管路の位置関係を示した位置図等の整備が必 要です。 大規模な地震により破損した配水管からの水の流出を防ぐために、重要な配水池 の出口に緊急遮断弁を設置しています。大きな揺れを感知して緊急遮断弁が作動 することで配水池からの水の流失を防いで、市民生活に必要最小限の水量を確保 しています。 【災害時応援協定】 ○災害時における相互応援に関する協定書(松江市・福山市) ○災害時における応急対策活動に関する協定書(尾道管工事協同組合) ○災害時における応援協力に関する協定書(フジ地中情報㈱広島支店) ○災害時の緊急対応に係る応援に関する協定書(㈱水みらい広島) 具 体 的 取 組 本市で想定される災害・事故を再検討し、危機管理マニュアルの充実を図るとと もに、危機管理計画や業務継続計画に基づいた防災訓練や防災研修を定期的に実 施することで職員の防災意識を高め、より実践的なマニュアルに改善します。 応急給水・復旧資機材について、必要とする品目とその数量を精査し、その備蓄 と適切な管理に努めます。また、近隣の水道事業者や業者との連携による資機材 の調達ルートの確保について検討します。 応急給水用水源として、引き続き長江浄水場の適切な運用に務めます。 耐震化事業の必要性や応急給水拠点・給水方法など応急給水活動に関する広報を 行い、災害対策に関する市民の皆様の理解度の向上に努めます。 56 第5章 震災によるリソース(資源:人、物、資金、情報)の制限を想定し、地震発生時 における水道機能の回復と災害対応を速やかに実施することを目的とした業務継 続計画(BCP)の継続的な見直しに努め、災害や事故に強い技術基盤の強化を図り ます。 震災等の大規模災害時には、日本水道協会等を通じた他事業体の応援を受け入れ る状況も予想されます。そこで、被災事業体としての応援部隊の受入体制の整備 を行います。 応援者も含めた避難所、給水所、病院等の重要施設の優先的な応急給水、応急復 旧作業を的確に進めるため、以下の防災マップを作成します。 〇応急給水拠点から重要施設への緊急点検経路マップ 〇応援給水車のための応急給水拠点から給水所への交通マップ 災害時等における水質検査の相互応援に関する協定書に基づいて連携を行います。 (広島市、福山市、呉市、尾道市、三原市、府中市、広島県6市1県) H28.3 に創設した「尾道市災害時支援協力員」(水道局の退職者)の支援協力体 制により、大規模な災害、漏水事故等の迅速かつ効果的な応急活動を行います。 長江浄水場(配水池) 57 第5章 5.5. 施策体系図 水安全計画の運用 水安全計画に基づく水質管理 安全な水の安定供給 施設の健全度を把握する点検を含む維持管理 水安全計画のレビュー 長江浄水場等施設の適切な運転監視 資産の長寿命化を図るための定期的な機器修繕の実施 安全・安心な水道 「水質検査計画」に基づいた水質検査 塩素濃度の適切な管理 鉛管の取替 水源の環境保全 久山田貯水池周辺の環境保全 良質な水源の確保を継続するための検査及び調査研究 施設の適正管理 (アセットマネジメントなどの実施) 管路更新事業と施設更新事業の実施 管路の老朽度調査 市民サービスと満足度の向上 進捗確認と計画の時点修正 ~安全で安心、安定した事業運営~ 市民の皆様と共に歩む水道 市民への情報提供 (水道事業の見える化) 水道事業に関する広報の充実 水道週間等を活用した現状の周知 独自モニタリングの実施と市民参加型モニタリングの検討 料金業務等窓口サービスの充実 水道水質に関する情報の発信 経営基盤・技術基盤強化 規模の適正化などによる工事費の縮減 日常点検・修繕故障履歴を踏まえ個別機器の更新等長寿命化 措置によるコスト縮減 財政計画に基づいた適正な料金体系や水道料金水準の見直し 利用者へのきめ細かい対応と口座振替の推進 料金収入以外での財源確保と支出抑制方策の検討 自己水源有効活用による受水費の抑制 未来へつなげる水道 人材の育成 研修と技術継承による技術力強化 効率的な組織体制の構築と職員数の確保 広域連携・公民連携 広域連携や公民連携(PPP)の研究推進 広島県水道事業推進会議や備後圏域6市2町での協議・研究 を踏まえた広域連携の具体化の検討 委託業者の継続的なモニタリングと連携の推進 公民連携によるコスト縮減等についての事前調査等の実施の 検討 県内や近隣市の水道技術研修センターなどで開催される研修 への参加 水道施設の計画的更新・耐震化 管路の計画的な更新・耐震化 施設の計画的な更新・耐震化ならびに統廃合 定期的な事業の進捗確認と計画の見直し 災害に強い水道 修繕履歴等に基づく長寿命化を考慮した個別機器等の合理的 な更新による故障リスクの縮減 水質検査機器の耐震化 非常時の体制強化 危機管理計画や業務継続計画(BCP)に基づいた防災訓練 応急給水・復旧資機材の備蓄と適切な管理 応急給水用水源として長江浄水場の適切な運用の継続 災害対策に関する市民の理解向上に向けた広報活動 BCPの継続的な見直し 応援部隊の受入体制の整備 防災マップの作成 水質検査の相互応援に関する協定書に基づいた連携 尾道市災害時支援協力員による効果的な応急活動 58
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