26 働く女性医師による座談会2(PDF:670KB)

後大学院で研究をしながら子供を出産したのですが、この状態
で臨床で働くのは不安がありました。そこで、色々調べて、都で
開催した説明会(※6)にも参加しました。そこで実際に子育て
をしながら第一線で働く先輩医師の話を聞けたのが決め手でし
たね。それと、もともと他学部にいたころから公衆衛生分野に
興味はありました。
(吉田)臨床を 12 年間やって、その間に子供を出産しました。
やはり育児時間等の制度はあって、日中外来や手術を担当して
も、当直や夜間の呼び出しは他の先生にお願いすることになり
ます。でも、執刀した患者さんのその後が、家に帰っても気に
なって仕方がなかったです。
(桑波田)私もそうです。外来、入院、手術を一通り行う病院勤
務でした。家で子供と過ごす時間も電話が離せず、一方で担当
患者さんの急変時であっても、子供を預けて駆けつけられる訳
ではないので、責任を持った診療をすることが難しいなと感じ
ました。でも、常勤で働き続けたいという気持ちも強くて。その
時に、都の公衆衛生医師募集の広告をたまたま見かけたので
す。
(吉田)そうそう、私も働き方に悩んで。そして、長年の友人の
桑波田先生にお話しを聞いて、興味を持ったのがきっかけです。
●色々工夫をされたりご苦労されたりしながら、仕事を続けて
いらっしゃいますが、仕事を続けていて・又は公衆衛生医師
を志して良かったと感じる時はありますか?
(桑波田)常勤で働き続けるということは意義があるな、と思っ
ているので、そういう意味では、子供が小さい、本当に大変な
時期に私自身も家族も体を壊すことなく乗り越えられたのは良
かったと思います。実は入職当初は子供の手が離れたら臨床に
戻ることも考えていたのですが、やってみると意外と面白いと思
うようになり、今に至っています。
(佐藤)日々、
(良かったと)思っています。アルバイトでつなご
うと一時期考えたこともありましたが、でも、それだけでは得
られない、自分が世の中の役に立っている実感が得られます。
多くの人達の生活を感染症から守る、というやりがいを感じて
います。
(吉田)今年の4月に入ったばかりですが、子育てをしながら、
無理なく仕事が出来るというのは良かったですね。
(安岡)そうですね。私の今までの勤め先も女性医師が長く働け
るように心を配ってくれる環境でしたが、それでも、都に入職し
て、改めて東京都の福利厚生といいますか、育児に関する制度
やそれを利用する上での同僚や上司の理解というのはとても大
きいと思います。
profile
桑波田 悠子
2012.04
杉並保健所保健予防課医務担当係長
2015.04
福祉保健局多摩立川保健所保健対策課 課長代理(感染症対策担当)
趣味:インテリア雑貨収集
長男が5歳で、年長さんです。
長女は2歳で、2人とも保育園です。
Yuko Kuwahata
profile
佐藤 正子
2014.04
福祉保健局少子社会対策部
家庭支援課課務担当係長
2016.04
新宿区健康部保健予防課
医療指導主査
趣味:釣り、旅行、エスニック料理
(子育て中はおあずけです。)
9歳と6歳と3歳になります。
M asako Sato
●これから公衆衛生医師を志す方へメッセージをお願いします。
(吉田)公私の切り分けがしやすい仕事だと思います。子育てを
している先生も、時間の使い方を工夫すれば無理なく両立でき
るので、一緒にがんばりましょう。
(安岡)臨床をずっとされてきた先生方から見ると、戸惑われた
りすることもあるかと思いますが、健康に寄与する根本のところ
は同じです。
もう一つ言いたいのは、公衆衛生は扱う範囲がとても幅広い。
吉田先生が担当している難病をはじめ医療安全、保健所の感染
症対策、母子保健、精神保健と多岐に渡ります。どんな道を通ら
れてきた先生も必ずその経験が無駄にならないと思います。
(佐藤)そうですよね。どんなバックグラウンドの方でも入ってい
ける仕事だと思います。初期研修が終わってすぐの方も、何年も
臨床経験を積まれた方も、幅広く受け入れることのできる職種
だと思います。興味を持たれたら是非。門戸は開かれています。
(桑波田)最初から、公衆衛生をこれから何十年もやるぞ、とい
うことではなくて、ちょっと違う視点で見てみよう、ということで
もいいかな、と思います。公衆衛生は医師一人で動くのではな
く、様々な職種の方や医療機関、自治体と動くので、幅広い視野
が得られます。医師中心の世界とは異なる視点で医療や社会全
体を見るのは、自分自身の成長につながり、勉強になります。そ
こに面白味が見つかれば、続けていくという選択肢もあります。
必ず何かしらキャリアのプラスになると思いますよ。
注
※1 妊娠出産休暇:産前産後の休養として与えられる休暇。16
週間。
※2 育児休業:3歳に満たない子を養育するため、休業するこ
とができる制度
※3 育児時間:生後1年3ヶ月に達しない子を育てる職員に対
して、勤務時間中に与えられる時間。1日2回以内。1日 90
分の範囲内。有給。
※4 部分休業:小学校就学の始期に達するまでの子を養育する
ため、1日の勤務時間の一部を勤務しないことができる。1
日2時間以内(育児時間と併用する場合は、育児時間と合わ
せて2時間以内)
※5 勤務時間:1日7時間 45 分(週 38 時間 45 分)
※東京都の例 ( 自治体により異なります。)
( 1 ) SⅠ班:7時 30 分から 16 時 15 分まで
( 2 ) SⅡ班:8時から 16 時 45 分まで
( 3 ) A班:8時 30 分から 17 時 15 分まで
( 4 ) B班:9時から 17 時 45 分まで
( 5 ) C班:9時 30 分から 18 時 15 分まで
( 6 ) D班:10 時から 18 時 45 分まで
※6 東京都では年2∼3回、臨床医・研修医・医学生を対象と
した保健所業務説明会・見学会を開催しています。その他
にもご希望があれば、個別に対応しています。
業務紹介 26