中学入学にあたって 校長 梅原郁雄 文部科学省の『全国学力・学習状況調査』(2015 年)によると、全国の中学 3 年生の携 帯電話・スマートフォンの平均所有率は約8割となっています。またある研究所が 2016 年 に行った『中学生のスマートフォン利用実態調査』では、中学 1〜3 年全体のスマホの所有 率は 40.9%となっています。スマホを持たせ始めた時期は“中学 1 年生”が最多で、親が子 どもに携帯電話をもたせようと思った理由は「子どもが塾や習い事を始めたから」(33%) 「自分が働きに出ているから」(22.6%)となっています。子供と直接連絡が取れるなど便 利な半面、スマホには大きなデメリットが潜んでいることもしっかりと親として把握する必 要があります。それは人間関係のトラブル、学力低下、犯罪に巻き込まれる、ゲーム依存に なるなどです。もし中学入学にあたり、スマホを買い与えようとお考えのご家庭は、わが子 が正しい判断できる人間に成長するためにどのような約束が必要なのか、親子でしっかりと 話し合い、次の三つがしっかりと守れるようにしてほしいものです まず一つが生活習慣(自主性)です。朝は自分で決まった時間に起きる。朝食をしっかり 食べる。TVやゲームの時間を守り、家庭勉強の習慣をつける。夜更かしをせずに寝る。家 族のために何か手伝う。当たり前のことを当たり前にやる習慣です。 二つめが自己コントロール力(自律)です。体調だけでなく心(感情)も含め自分を管理 する力。これと一つ目の「生活習慣」は表裏一体です。最初は親に言われてやっていたこと を自分からできるようになる力です。身体が大きくなり、心が揺れる中学生になる前に是非 身につけてほしい力です。 三つめは会話力。相手や場面に応じて言葉を選んで話したり、自分の思いを自分の言葉で 表現できる力。相手の言葉から相手の気持ちを察する力。この力の基本となるのは、家族と の会話です。家の中でしっかりとあいさつを交わし、単語のやり取りだけでない会話がしっ かりとできる家庭環境が第一です。 これからの自分の「夢」をぜひ今夜の食卓でお話ください。さりげない日常の中で親と子 が「話」ができる家庭。注意や小言ではなく、「夢」や「思い」が語り合える家庭。そんな 時間がもてる家庭の子どもは、きっとつらいことがあっても乗り越えてゆくことのできる 「心の根っこ」の強い中学生に成長してくれることでしょう。中学入学を期に、もう一度家 族、親子の在り方を見つめていただければと思います。 (H28 年 11 月 28 日)
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