MARKET INSIGHTS Market Bulletin 2016年12月5日 アジア株式に再び脚光が当たる 要旨 • アジア経済はここ数年、底堅く推移してきた。これはアジア経済の内需が依 然として堅調なためである。今後数年間、政府によるインフラ投資は、内需 とともにアジアの成長を押し上げていくと見ている • アジア株式への資金流入が増加している背景には「アジア株式以外の要 因」と「アジア株式固有の要因」があると見られる • 今後の投資戦略としては、アジア経済の一段の加速が見込まれることから、 景気循環セクターに重点を置くことが適切と考える。資本財をはじめとする 景気循環セクターには成長の余地がある 投資家の関心を惹きつけるアジア株式 アジア株式に対する投資家の関心がこのところ高まっています。これは、アジ Ben Luk Global Market Strategist Market Insights Akira Kunikyo Global Market Strategist Market Insights Guide to the Markets Japan のダウンロードはこちらから www.jpmorganasset.co.jp/guide ア経済が先進国と比べ安定した成長を遂げており、それに伴って、企業業績 の伸びが期待できるためです。加えて、アジア株式のバリュエーションが、先 進国株式と比べて割安な水準で推移していることも要因でしょう。 以下では、アジア経済を取り巻く状況について確認した後、アジア株式への投 資について検討します。 MARKET BULLETIN | DECEMBER 5, 2016 底堅さを維持するアジア経済 アジア経済はここ数年、底堅く推移してきました。これはアジア経済の内需 が依然として堅調なためです。実際、アジアの小売売上高の伸びは年初か ら加速を続け、自動車販売台数は2015年以降回復が見られています(図 表1)。今後も、アジアにおける中産階級の増加が、内需を牽引していくと見 ています。 政策面もアジア経済にとって追い風と見られます。アジア各国は緩和的な 金融政策と拡張的な財政政策を行っており、特にインフラ投資を始めとす る財政支出は、向こう5年間で加速していくと見ています。 インフラに対する需要は旺盛で、アジア開発銀行によれば、アジア地域で 必要とされるインフラ・プロジェクトの規模は、総額8兆2,000億ドル(2010 ~2020年)とされています。インフラ整備が順調に進めば、労働生産性の 高まりと共に、企業の国際競争力が増強されることになります。そして、よ り重要なこととして、(中長期的に持続可能な経済成長率である)潜在成長 率を押し上げる効果があります。 今後数年間、政府によるインフラ投資は、内需とともにアジアの成長を押し 上げていくと見ています。 図表1:自動車販売台数 前年比、3ヵ月移動平均、2014年1月~2016年8月 25% 20% 中国 15% 香港、台湾、 インド 韓国 10% 5% 0% マレーシア、フィリピン、 タイ、インドネシア、 -5% -10% -15% '14 '15 出所:CEIC、Factset、J.P. モルガン・アセット・マネジメント 2 A S I A N E Q U I TY : S P R I N G I N G B A C K TO L I F E '16 MARKET BULLETIN | DECEMBER 5, 2016 アジア株式には足元資金が流入 今年のアジア株式市場は値動きの激しい展開となりました(図表2)。 株価は今年の1~2月、中国経済の先行き懸念によって大幅に下落したも のの、3月には同懸念の後退に伴って上昇に転じています。続く第2四半期 は概ね横ばいで推移したものの、第3四半期に株価は再び上昇基調となり、 その後も概ね高値圏で推移しています。資金の動きで見ると、アジア株式 への第3四半期の資金流入額は210億ドルであり、これは第2四半期の3倍 です。 アジア株式への資金流入が増加している背景には、「アジア株式以外の要 因」と「アジア株式固有の要因」があると見られます。 前者は、先進国株式のバリュエーションが相対的に割高であることです。 先進国では中央銀行による低金利政策によって、資金が債券から株式に 流入しています。この動きが先進国株式のバリュエーションを押し上げてお り結果としてアジア株式のバリュエーションは相対的に割安になっています。 後者は、アジア企業の業績見通しの改善です。アジア企業の1株当たり利 益(EPS)の見通しは依然として下方修正が優勢になっていますが、修正 幅自体は、2015年に底打ちした後、6ヵ月連続で縮小(改善)しています。 図表2:アジア株式(日本除く)の推移 2016年1月1日~2016年11月30日 580 560 540 520 500 480 460 440 420 400 '16/01 '16/03 '16/05 '16/07 注:使用しているインデックスはMSCI ACアジア株式(除く日本) 出所:MSCI、Bloomberg、J.P. モルガン・アセット・マネジメント 3 A S I A N E Q U I TY : S P R I N G I N G B A C K TO L I F E '16/09 '16/11 MARKET BULLETIN | DECEMBER 5, 2016 セクター別の動向と投資への示唆 先に見たEPS見通しをセクター別に確認すると、EPS見通しが最も上方修 正されているのは、消費関連セクターです。同セクターでは、内需の安定的 な成長を受けて、利益のみならず配当やキャッシュフローのいずれの伸び も、アジア株式全体を上回ると予想されています。また情報技術セクターで は、韓国や台湾を中心に、製品の買い替えサイクルの進展がEPS改善に 寄与するとみられます。加えて、資本財をはじめとする景気循環セクターに も成長の余地があります。2017年には世界経済の緩やかな回復が同セク ターのEPS改善を後押しすると見ており、中長期の時間軸では、外需拡大 に伴う輸出の増加や、政府のインフラ投資による生産性の改善が見込ま れます。 一方のディフェンシブ・セクターを見ると、同セクターの株価はここ数年、他 セクターやアジア株式全体を上回っています(図表3)。これはインカム志向 の高まりに伴い、投資家が高配当のディフェンシブ銘柄に投資したことが 要因です。しかし、同セクターのバリュエーションは徐々に上昇しており、さ らに今後2年間の利益と配当は伸び悩むと予想されます。 以上を踏まえると、今後の投資戦略としては、アジア経済の一段の加速が 見込まれることから、景気循環セクターに重点を置くことが適切と考えます。 図表3:アジア株式(日本除く)のセクター毎のパフォーマンス 2011年1月=100、2011年1月~2016年8月 140 ディフェンシブ 消費 関連 120 金融 100 資本財 80 コモディティ 60 40 '11 '12 '13 '14 '15 '16 注:「消費関連」には一般消費財、生活必需品、ヘルスケア、情報技術セクターが含まれる。 「ディフェンシブ」は電気通信、公益セクターが含まれる。「コモディティ」には素材とエネル ギーセクターが含まれる。使用しているインデックスはMSCI ACアジア株式(除く日本)。 出所:Factset、J.P. モルガン・アセット・マネジメント 4 A S I A N E Q U I TY : S P R I N G I N G B A C K TO L I F E MARKET INSIGHTS MSCIの各インデックスは、MSCI Inc.が発表しています。同インデックスに関する情報の確実性および完結性をMSCI Inc.は何ら保証するものではありません。著作権は MSCI Inc.に帰属しています。 Market Insightsプログラムは、グローバルな金融市場の幅広いデータや解説を、特定の金融商品に言及することなく提供するものです。お客さまの市場に対する理解 と投資判断をサポートします。本プログラムは現在の市場データから投資のヒントや環境の変化を読み解きます。 本資料はJPモルガン・アセット・マネジメント株式会社(以下、「弊社」という。)が作成したものです。本資料は投資に係る参考情報を提供することを目的とし、特定 の有価証券の勧誘を目的として作成したものではありません。また、弊社が特定の有価証券の販売会社として直接説明するために作成したものではありません。弊 社は信頼性が高いとみなす情報等に基づいて本資料を作成しておりますが、当該情報が正確であることを保証するものではなく、弊社は、本資料に記載された情 報を使用することによりお客様が投資運用を行った結果被った損害を補償いたしません。本資料に記載された意見・見通しは表記時点での弊社の判断を反映した ものであり、将来の市場環境の変動や、当該意見・見通しの実現を保証するものではございません。また、当該意見・見通しは将来予告なしに変更されることがあり ます。 【ご留意事項】お客様の投資判断において重要な情報ですので必ずお読みください。 投資信託は一般的に、株式、債券等様々な有価証券へ投資します。有価証券は市場環境、有価証券の発行会社の業績、財務状況等により価格が変動する ため、投資信託の基準価額も変動し、損失を被ることがあります。また、外貨建の資産に投資する場合には、為替の変動により損失を被ることがあります。そのため、 投資信託は元本が保証されているものではありません。 ◆ご注意していただきたい事項について - 投資信託によっては、海外の証券取引所の休業日等に、購入、換金の申込の受付を行わない場合があります。 - 投資信託によってはクローズド期間として原則として換金が行えない期間が設けられていることや、1回の換金(解約)金額に 制限が設けられている場合があります。 - 分配金の額は、投資信託の運用状況等により委託会社が決定するものであり、将来分配金の額が減額されることや、 分配金が支払われないことがあります。 ◆ファンドの諸費用について 投資信託では、一般的に以下のような手数料がかかります。手数料率はファンドによって異なり、下記以外の手数料がかかること、または、一部の手数料がかからな い場合もあるため、詳細は各ファンドの販売会社へお問い合わせいただくか、各ファンドの投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。 投資信託の購入時:購入時手数料(上限3.78%(税抜3.5%))、信託財産留保額 投資信託の換金時:換金(解約)手数料、信託財産留保額(上限0.5%) 投資信託の保有時:運用管理費用(信託報酬)(上限年率2.052%(税抜1.9%)) *費用の料率につきましては、JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社が設定・運用するすべての公募投資信託のうち、徴収するそれぞれの費用における最高の 料率を記載しています。その他、有価証券の取引等にかかる費用、外貨建資産の保管費用、信託財産における租税等の実費(または一部みなし額)および監査 費用のみなし額がかかります(投資先ファンドを含みます)。また、一定の条件のもと目論見書の印刷に要する費用の実費相当額またはみなし額がかかります。 J.P.モルガン・アセット・マネジメントは、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーおよび世界の関連会社の資産運用ビジネスのブランドです。 Market Insightsプログラムは、 以下のグループ会社により発行されたものです。 • ブラジル: バンコ・J.P.モルガンS.A. (ブラジル) • 英国: JPモルガン・アセット・マネジメント (UK) リミテッド • 英国以外のEU諸国: JPモルガン・アセット・マネジメント (ヨーロッパ) S.à r.l. • スイス: J.P.モルガン (スイス) SA • 香港: JFアセット・マネジメント・リミテッド、JPモルガン・ファンズ (アジア) リミテッド、JPモルガン・アセット・マネジメント・リアル・アセット (アジア) リミテッド • インド: JPモルガン・アセット・マネジメント・インディア・プライベート・リミテッド • シンガポール: JPモルガン・アセット・マネジメント (シンガポール) リミテッド、JPモルガン・アセット・マネジメント・リアル・アセット (シンガポール) プライベート・リミテッド • 台湾: JPモルガン・アセット・マネジメント (タイワン) リミテッド、JPモルガン・ファンズ (タイワン) リミテッド • 日本: JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社 (金融商品取引業者 関東財務局長 (金商) 第330号 加入協会: 日本証券業協会、一般社団法人投資信 託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会) • 韓国: JPモルガン・アセット・マネジメント (コリア) カンパニー・リミテッド • オーストラリア: JPモルガン・アセット・マネジメント (オーストラリア) リミテッド (ABN 55143832080) (AFSL 376919) (Corporation Act 2001 (Cth) 第761A条および第761G条で 定義される販売会社に配布が限定されます) • カナダ (機関投資家限定) : J.P.モルガン・アセット・マネジメント (カナダ) インク • 米国: JPモルガン・ディストリビューション・サービシズ・インク (FINRA/SIPC会員) 、J.P.モルガン・インベストメント・マネージメント・インク Market Insightsプログラムは、アジア太平洋地域において、香港、台湾、日本およびシンガポールで配布されます。 アジア太平洋地域の他の国では、受取人の使用に限ります。 Copyright 2016 JPMorgan Chase & Co. 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