(8-4)配当・利子・分配金の源泉徴収口座への受入れ

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配当・利子・分配金の源泉徴収口座への受入れ
● 特定口座における株式・債券・投資信託と税金
について、株式数比例配分方式を選択す
ただし、保有する上場株式の一部を特
る必要があります。
別口座(注)に預けている場合には、株式
株式数比例配分方式とは、上場株式の
数比例配分方式を選択することはできま
配当を、証券会社の取引口座の株式数(配
せん。
当基準日現在の株式数)に応じて、証券
したがって、株式数比例配分方式を選
会社を通じて受け取る方法です。
択するためには、特別口座に預けている
この方式を選択した場合は、保有する
上場株式を証券会社の取引口座に振り替
源泉徴収口座に設定される特定上場株
ETF・REITの分配金を受け入れるため
国内上場株式の配当はすべてこの方式で
え、特別口座を閉鎖する手続き等を行う
式配当等勘定において上場株式等の配当
には、所定の手続きが必要となります。
受け取ることになります。
必要があります。
等や公募株式投資信託の収益分配金を受
一方、源泉徴収口座内で保有している
け入れることができます。ただし、大口
国内公募株式投資信託の普通分配金や株
株主が受ける配当等については、源泉徴
式ミニ投資の配当などは、特段の手続な
収口座に受け入れることができません。
しに、
源泉徴収口座に受け入れられます。
平成27年12月31日までに源泉徴収口
また、平成28年1月1日以後に上場
源泉徴収口座を開設している投資家で
平成28年1月1日以後は、これらに加
座を開設し、上場株式配当等受領委任契
株式配当等受領委任契約を締結し源泉徴
あれば、同一の証券会社の営業所の一般
え、特定公社債の利子と公募公社債投資
約を締結し源泉徴収選択口座内配当等受
収選択口座内配当等受入開始届を提出し
口座で管理されている上場株式等に係る
信託の分配金も源泉徴収口座に受け入れ
入開始届を提出している場合、平成28
た場合、その後は、上場株式の配当およ
配当等や公募株式投資信託の分配金につ
られています。
年1月1日以後、特段の手続きを行わな
び公募株式投資信託の分配金だけでなく
いても、原則として、源泉徴収口座に受
なお、証券会社により取扱いが異なる
くても、保有する特定公社債の利子およ
特定公社債の利子および公募公社債投資
け入れることができます。
場合がありますので、くわしくは証券会
び公募公社債投資信託の分配金は源泉徴
信託の分配金も源泉徴収口座に受け入れ
源 泉 徴 収 口 座 に 上 場 株 式 の 配 当、
社にお問い合わせください。
収口座に受け入れられます。
ることになります。
源泉徴収口座での受け取り
国内上場株式の配当
(ETF・REITの分配金を含む)
株式数比例配分方式に限り○
配当等の受け入れをやめるための手続き
源泉徴収口座において上場株式等の配
ては、源泉徴収口座で受け入れることに
国内公募株式投資信託の普通分配金
外国公募株式投資信託の分配金
当等(ETF・REITの分配金を含みます。
なります。
○
くわしくは前ページ図表を参照)の受入
ただし、上場株式等の銘柄ごとに配当
株式ミニ投資・るいとう・外国株式 の配当
○
れをやめたい場合には、証券会社に対し
等について源泉徴収口座へ受け入れる、
て源泉徴収選択口座内配当等受入終了届
あるいは、受け入れないかを選択するこ
出書(以下、終了届出書)を提出する必
とはできません。
要があります。
源泉徴収口座に特定の公社債の利子等
終了届出書の提出日以後に支払いが確
を受け入れる場合は、これらもまとめて
定する上場株式の配当や公募株式投資信
選択をします。
託の収益分配金から、受入れをやめるこ
なお、終了届出書を証券会社に提出し
※
特定公社債の利子
平成28年1月1日以後○
公募公社債投資信託の分配金
平成28年1月1日以後○
※ 国内上場外国株式を含みます。
配当等を源泉徴収口座に受け入れるための手続き
上場株式等の配当等(ETF・REITの
この源泉徴収選択口座内配当等受入開
とができます。
た場合でも、特定口座を廃止しない限り、
分配金を含みます。詳しくは上記図表を
始届出書は、源泉徴収口座に受入れよう
したがって、終了届出書の提出前に支
当該特定口座における上場株式等の譲渡
参照)を源泉徴収口座に受け入れるため
とする上場株式等の配当等の支払確定日
払が確定した上場株式等の配当等につい
所得等の計算は引き続き行えます。
には、投資家は、まず、証券会社などと
までに提出しなければなりません。
の間で、上場株式配当等受領委任契約を
国内上場株式の配当(REIT・ETFの
締結し、源泉徴収選択口座内配当等受入
分配金を含む)を源泉徴収口座に受け入
開始届出書を提出する必要があります。
れるには、これに加え、配当の受取方法
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特定口座
●配当・利子・分配金の源泉徴収口座での受け取り
◆ 平成28年1月1日以後の扱い
(注)特別口座は、株券電子化の際に、ほふり(証
券保管振替機構)に預託されていない株式の
権利を保全するために信託銀行などに開設さ
れた口座です。特別口座に入っている株式は
そのままでは譲渡できず、証券会社などの取
引口座に移す手続きが必要です。
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この点についても、証券会社などによ
で、くわしくは証券会社にお問い合わせ
って取扱いが異なる場合がありますの
ください。
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● 特定口座における株式・債券・投資信託と税金
特定口座と確定申告
上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当等との損益通算
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源泉徴収口座において上場株式等の譲
年末時点の譲渡損益確定後に行われま
渡損失がある場合には、上場株式等の配
す。
当等との損益通算が行われます。投資家
平成28年1月1日以後は、
「上場株式
は原則として確定申告を行わなくても、
等」の定義が特定公社債や公募公社債投
証券会社が損益通算を適用して納税額の
資信託を含むものに改正された(67ペー
源泉徴収口座の場合、特定口座内の譲
かは、1つの特定口座ごとに選択するこ
計算および納付を行います。
ジ)上で、源泉徴収口座内の「上場株式
渡(解約・償還を含む。以下同じ)益に
とができます。
損益通算は、年末時点で譲渡損益(解
等」の譲渡損失と源泉徴収口座に受け入
ついては、確定申告は不要です。つまり、
ただし、源泉徴収口座の場合でも、次
約・償還損益を含む)が確定した後に行
れた配当・利子・分配金(受け入れ対象
投資家が特定口座内の取引を確定申告し
のケースでは、確定申告を行う必要があ
われます。年の中途に、上場株式等の配
となるものは194ページ参照)の損益通
なければ、源泉徴収だけで納税が完了す
ります(特定口座を利用している場合の
当等の受入れを終了した場合も、同様に
算が行われます。
るわけです。いくつかの証券会社などに
確定申告については、次の「簡易申告口座
特定口座を開設している場合、源泉徴収
と確定申告」の項を参照してください)。
源泉徴収口座と確定申告
口座内の取引について確定申告するか否
特定口座
①源泉徴収口座の譲渡益を他の口座の譲渡損と通算する場合
②源 泉徴収口座の譲渡損を他の口座の譲渡益や上場株式等の配当等と通
算する場合
③源 泉徴収口座の譲渡損を他の口座の譲渡益や上場株式等の配当等と通
算した後、なお残る損失を翌年に繰り越す場合
④前年以前から繰り越された譲渡損を控除する場合
源泉徴収口座に配当等が受け入れられている場合
源泉徴収口座に配当等が受け入れられ
マイナスの場合、すなわち譲渡損が発生
ている場合、特定口座年間取引報告書に
している場合は、その譲渡損について確
は譲渡損益と配当等の両方が記載されて
定申告するならば、必ず配当等について
います。確定申告の際には原則として譲
も申告しなければなりません。
渡益と配当それぞれについて、確定申告
これは、源泉徴収口座内で既に譲渡損
するか申告不要とするかを選ぶことがで
と配当等の損益通算が行われているた
きます。
め、配当等について源泉徴収が行われて
ただし、源泉徴収口座内の譲渡損益が
いない場合があるからです。
●源泉徴収口座に配当等を受け入れた場合の確定申告の有無の組合せ
譲渡損益がプラスの場合
譲渡益
申告する
申告しない
配当等
譲渡損益がマイナスの場合
申告する
申告しない
○
○
申告する
譲渡損
○
○
申告しない
配当等
申告する
申告しない
○
×
○
○
○…この組み合わせの申告が可能、×…この組み合わせの申告は不可
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