第9回 社会教育施設 その2 集団宿泊と体験活動のための施設

第9回
社会教育施設
その2
集団宿泊と体験活動のための施設
今回取り上げるのは、主に青少年のために設置された県立の社会教育施設で
す。それに該当する施設は、東部と西部に1つずつあります。東部は、出雲市
小境町にある「青少年の家」です。西部は、江津市松川町にある「少年自然の
家」です。両施設共に、その地理的条件を生かした色々な体験活動ができると
いう点が他の社会教育施設と違います。宿泊ができることも大きな特徴です。
最初に「青少年の家」についてご紹介します。この施設はサン・レイクとい
う愛称でも呼ばれています。宍道湖に近い小高い丘の上に立地しており、見晴
らしがいい場所にあります。一番人気の体験プログラムは宍道湖を利用した湖
面活動です。戸外にはバーベキューハウス、キャンプファイヤー場、芝生の運
動場などの屋外施設やサイクリングも利用できます。屋内での活動プログラム
も準備されています。利用者は、成人の各種団体と小学生が大半を占めます。
また、親子などを対象にした主催事業も行っています。この施設の近くには一
畑電鉄の一畑口駅があります。
次に「少年自然の家」について触れておきます。この地で開所したのは、昭
和50年ですから40年以上の歴史があります。現在も使用されている建物は、
創作棟と体育館だけで、管理棟や宿泊棟などは新設されたものです。この施設
があるのは、室上山(むろかみやま)の中腹で、標高は125メートルありま
す。ここから山頂に至る道の途中にある岩場(展望台)に腰を下ろせば、はる
か前方に益田市沖に浮かぶ高島を望むことができます。そして、夕方になれば
江津市の沖合に無数の漁り火が見え、上を見上げれば満点の星を観察すること
ができます。さて、ここの一番人気の体験プログラムは「古代の火起こし体験」
と森の中に設置してあるアスレチックコース「冒険の森」です。当然のことな
がら利用者は、小学生向けのプログラムが充実していることもあり成人よりも
小学校団体が多く入所します。
両施設には、小中学校の教員もいます。身分は社会教育主事です。教育の専
門家としての力を持ち合わせているわけですから、入所してくる子どもたちが
行う体験活動の支援に力を発揮することができます。社会教育主事は、法律上
は専門的教育職員と言います。施設職員に求められる一番大切な資質能力は、
危機管理能力です。学校現場と同じですが、入所者が安心安全な環境で活動が
できなければ施設は信頼を失い、ひいては県民全体の信用を失墜します。常に
最悪の場合を想定して、いかなる状況下でも的確な判断、対応が求められる社
会教育施設の紹介でした。
帰り花の便りも聞かれます(今、目を外に転じると
まさにピンク色の躑躅が咲いているのが見えます)が、
師走となりました。皆様、どうか良いお年をお迎えく
ださいませ。