中山間地域における持続可能な農業の展開

中山間地域における持続可能な農業の展開
政策提言先 農林水産省
政策提言の要旨
農業産出額等の約4割を占める中山間地域は、急峻で狭小な農地が多く、また、人口
減少による担い手不足や農業従事者の高齢化も進んでおり、このままだと、中山間農業
の衰退が加速し、農村社会の維持そのものが困難となる可能性があります。
このため、中山間地域における持続可能な農業の展開に向けて、下記のとおり提言し
ます。
【政策提言の具体的内容】
1.中山間地域の農業を支える複合経営拠点の推進
中山間地域の農業を支え、競争力を高める「中山間農業複合経営拠点」を地域地域
に整備するために、農山漁村振興交付金(地域活性化対策)の新規要望地区の増に対応
できる安定的かつ十分な予算を確保すること。
2.農業・農村の持つ多面的機能の維持・発揮の推進
農業・農村の持つ多面的機能の維持・発揮を図るために、多面的機能支払交付金の
安定的かつ十分な予算を確保すること。
【政策提言の理由】
1.中山間地域の農業を支える複合経営拠点の推進
・厳しい現状にある中山間地域の農業を維持し、競争力を高めていくためには、地域の核
となるJA出資型法人等の法人経営体が、農作業の受託や新規就農者を育てる研修事業など
の「支える事業」と、中山間地域に適した農産物の生産や6次産業化などの「稼ぐ農業」
を複合的に経営し、地域全体で農業を支える仕組みが必要です。
・こうした中、国では、平成28年度に農山漁村の振興をソフト・ハードの両面から支援す
る農山漁村振興交付金を創設するなど、支援策の充実が図られております。
本県では、この交付金を活用し、農村社会の生活を守る「小さな拠点」と一体となった
複合経営拠点を地域地域に整備することとしており、平成28年度は5地区、さらに平成29
年度には8地区が新規採択を要望しているなど、この交付金の要望は増加しております。
・このため、農村社会全体を支える複合経営拠点の整備を実現するためには、農山漁村振
興交付金(地域活性化対策)の新規要望地区の増に対応できる安定的かつ十分な予算の確
保が必要です。
2.農業・農村の持つ多面的機能の維持発展の推進
・全国的に農道・水路等の施設の老朽化が進んでおり、農村の生産基盤維持のためには、
施設の長寿命化の早期実現が求められております。
・本県でも特に、平成27年度から法制化されたこともあり、多面的機能支払制度に取
り組む活動組織・交付面積は、大幅に増えてきております。
・このため、農村の生産基盤の維持に不可欠な農道・水路等の長寿命化を早期に実現する
ために、多面的機能支払交付金の安定的かつ十分な予算の確保が必要です。
【高知県担当課室】農業振興部 地域農業推進課
中山間地域における持続可能な農業の展開
現状と課題
中山間農業複合経営拠点の概要
中山間地域は真っ先に人口減少・高齢社会に突入
担い手の減少
50,000
40,000
農業就業人口の推移
4,139,809
高知県(中山間)
52,291
3,352,590
39,667
40,134
27,269
20,000
4,000,000
全国
3,000,000
2,096,662
30,000
2,000,000
27,161
18,290
10,000
20年間で
半数に減少!
5,000,000
高知県
1,000,000
0
0
1995
2005
2015
出典:農林業センサス
高齢化の進行
農家の約半数
が高齢者!
農家人口の高齢化率の推移
46
45
44
38
40
39
36
35
30
32
24
20
(%)
1995
全国
2005
高知県
2015
高知県(中山間)
出典:農林業センサス(1995年:総農家対象、2005年、2015年:販売農家対象)
中山間地域の衰退
中山間地域の衰退
早期に対策を打たないと
中山間農業の衰退が加速し、
農村社会の維持そのものが
困難となる恐れがある!
生活支援サービ ス
安心・ 安全サポート
健康づく り活動
一体・連携
高齢農家への支援
農作業受託
所得の向上により
地域を支える!
防災活動
農業で「稼ぐ」
庭先集荷
農畜産物の生産
次世代型施設園芸
●高齢農家の生きが
いづくりや、見守りといっ
た「農業福祉」の役割
複合経営拠点
若者の定着・遊休農地の解消
インターンシップ
の活用
研修事業
農地の利用調整
連携
農地中間管理機構
●環境制御技術を
導入した次世代型
施設園芸ハウス
経営体は、JA出資型法人
など
中山間に適した農産物生産
畜産基地
6次産業化
自営就農
競争力の低下
特産品づく り
農業を「支える」
遊休農地
産地の縮小
集落活動センター(高知県版「小さな拠点」)
安心して生活できる
地域づくり!
用就農
25
生活を「守る」
雇
29
・経営主体:中山間地域の核となる法人経営体(JA出資型法人、市町村農業公社、集落活動センター等) ・経営エリア:旧市町村単位以上
就農希望者
30
◆地域農業の核となる法人経営体が「支える取組」と「稼ぐ取組」を複合経営することで、地域農業を支え、競争力を高める仕組み。
◆さらに、地域の生活を守る高知県版「小さな拠点」(集落活動センター)との一体化・連携することで、地域全体を守る。
中山間地域の農業を支え、競争力を高める仕組みづくりが必要!
中山間地域の
負のスパイラル
60,000
全国的な横展開へ!
中山間地域の農業を支える仕組みの構築
農産物加工所
農産物直販所
農家レストラン
高齢農家を支え
若い農業者を確保!
点の取組を ⇒ 拠点を中心に線で結び ⇒ 面に広げることで相乗効果を実現!
中山間地域の生産基盤を下支え
日本型直接支払制度(中山間地域等直接支払・多面的機能支払の充実)
【提言①】
【提言②】
中山間地域の農業を支える複合経営拠点の推進
農業・農村の持つ多面的機能の維持・発揮の推進
◆農山漁村振興交付金(地域活性化対策)の新規要望
◆多面的機能支払交付金の十分な予算の確保
地区の増に対応できる安定的かつ十分な予算の確保
中山間地域の農業を支え、競争力を高める複合経営拠点の推進
中山間農業複合経営拠点の実施・予定地区
実
施
地
区
が
県
内
に
拡
8地区
⇒15地区へ
大幅増
本山町
農山漁村振興交付金の活用
大豊町
土佐町
日高村
南国市
土佐山
香南市
安芸市
安田町
奈半利町
梼原町
室戸市
十和・大正
仁井田
西土佐
黒潮町
宿毛市
大
H28 実施地区
H27 実施地区
大豊ゆとりファーム
奈半利町
集落活動センター
香南市
香南市農業公社
本山町
本山町農業公社
日高村
コスモスアグリサポート
南国市
南国スタイル
三原村
大月町
追 加
大豊町
土佐町
三原村
当 初
四万十町
高知市
集落活動センター
(仁井田)
(土佐山)
四万十市
三原村農業公社
西土佐農業公社
(西土佐)
4
れいほく未来
4
7
夢産地とさやま
開発公社
3
H29 実施予定
室戸市
可能性
あり
協同キラメッセ室戸
安田町
しまんと農楽里
黒潮町
梼原町
津野山畜産公社
宿毛市
安芸市
農業公社
新設予定
大月町
四万十町
(十和・大正)
4
4
着
実
な
整
備
の
実
現
に
向
け
て
◆地域活性化対策
○H28年度:5地区
大豊町、本山町、土佐町、三原村、日高村
○H29年度要望:13地区
(うち、8地区が新規要望)
《継続地区:5地区》
大豊町、本山町、土佐町、三原村、日高村
《新規要望地区:8地区》
奈半利町、香南市、南国市、高知市(土佐山)、
室戸市、四万十町(十和・大正)、梼原町、安芸市
農山漁村振興交付金(地域活性化対策)
の新規要望地区の増に対応できる安定的
かつ十分な予算の確保が必要
15地区
30地区の構想案が完成
(国) 農山漁村振興交付金
◆地域活性化対策 (ソフト事業)
要望地区の急増
H28年度:5地区 ⇒ H29年度:13地区
ビジョン作成、庭先集荷、新規就農者育成、有望品目栽培実証
地域資源を活用した商品開発、人材育成研修 などの支援に活用
新たな拠点整備に
交付金を活用
◆農山漁村活性化整備対策(ハード事業)
(国) 「農の雇用」事業
法人内の人材育成支援 支給額 月10万円(最長2年)
農業・農産加工機械施設整備
の支援に活用
法人の雇用支援
支給額 最大120万/年(最長2年)