【気象と気象用語】松山地方気象台(H28《2016》年) 12 月 の 天 候 の 特 徴 1 12 月の気象 (1)12 月の気象の特徴 12 月に入るとシベリアの高気圧が勢力を強め、千島列島からオホーツク海で低気圧が発達し、 「西高東低の冬型の気圧配置」となることが多くなります。冬型の気圧配置になると、全般に北よ りの季節風が強まり、日本海側では雪や雨となる一方、太平洋側では晴れて空気が乾燥します。 愛媛県は、全般に乾燥・晴天となりますが、寒気の影響で雲が多く、山間部では雨や雪の降ると ころもあります。季節風が関門海峡を吹きぬけるようになると、南予の山間部を中心に雨や雪の天 気となり、平地まで大雪となることもあります。 愛媛県 12 月の現象別災害回数表 (2)愛媛県における 12 月の気象災害 (統計期間:1945~2015 年) 右表は、気象庁の統計による昭和 20~平成 27(1945~2015) 気象現象 回数 年の愛媛県内で発生した気象現象別災害回数です。 大雪 7 12 月は強い冬型気圧配置時の大雪・強風・波浪・降雪等に 強風・波浪 7 よる災害が多くなっています。その他には大雨、乾燥、少雨(長 強風・波浪・降雪又は積雪 4 期) 、低温などによる災害が発生しています。 雷 3 昨年の 12 月 11 日未明に四国を通過した低気圧により、この 大雪・降雪又は積雪・着雪 2 時期には珍しく局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降り、床 強風・波浪・大雪 2 下浸水、停電、山がけ崩れなど、大雨・強風・雷による被害が 降雪又は積雪 2 発生しました。 その他 6 計 33 2 気象用語の解説 (1)地域に関する用語 天気予報や防災気象情報で海等の水域や陸域に関する地域を表す他に以下の用語を使用します。 全般に: 「全国的に」 、 「広い範囲」など、広い地域を対象とするときに用い、 「全国的に」 、 「広い範囲 で」などを用いる場合もあります。 全般週間予報、全般海上警報のように、 「全般」を全国予報区、全般海上予報区を対象に行う予 報、警報、情報などの名称に用います。 音声伝達の際は「前半(ゼンハン) 」とまぎらわしいため注意が必要です。 局地的: (府県予報区の)細分区域内のごく限られた範囲を示すときに「局地的な大雨」のように用い ます。 多雪地域(地帯) :雪の多く積もっている地域(地帯)を示すときに「多雪地域(地帯)では、なだれ に注意」のように用います。 豪雪地帯:豪雪地帯対策特別措置法により指定されている冬期に大量の積雪がある地域で、北海道か ら山陰までの 24 道府県が対象です。気象庁が発表する報道発表資料、予報解説資料などに用いま す。 南岸:ある地域の南側の海に面した陸上と沿岸の海域も含む範囲を示すときに「日本の南岸」のよう にどこの南岸かを明示して用います 方面:ある領域とその周辺を含む地域または海域を示すときに、 「北日本方面」 「アリューシャン方面」 のように用います。 ところどころ(所々) :ある現象が散発して発生している状況を表現する場合に用います。現象の発現 域の合計面積が、対象予報区全体の 50%未満であるときに実況に対して用います。 所により:現象が地域的に散在し、 複数の地域を指定して表現すると表現が長くなる場合に用います。 その発現域の合計面積が、対象予報区全体の 50%未満であると予報した場合に用います。天気概 」のように言い換える場合があります。 況などでは「雷を伴う所がある。 (2)冬日 日最低気温が 0℃未満の日を「冬日」と呼びます。松山の冬日は 12 月が 0.7 日、年間では 12.8 日 です(1981~2010 年で計算した平年値による) 。 なお、冬日の最早は 1970(昭和 45)年 12 月 1 日、最晩は 2008(平成 20)年 2 月 15 日です(統 計期間:1931~2014 年) 。 「異常天候」とは、著しい高温や低温など社会活動や経済活動に大き な影響を与えるような、平年から大きくかけ離れた天候を意味します。 平年からの隔たりの大きな天候が続くと、社会にさまざまな影響がありますので、このような現象の発生の 可能性について、できるだけ早い段階で発表する予測情報が「異常天候早期警戒情報」です。四国地方は気温 のみを対象として、月曜日と木曜日に予測資料の検討を行い、発表例のように、情報発表日の 5 日後から 14 日後までを対象として、 『7日平均気温が、平年より「かなり高い」または「かなり低い」となる確率が 30% 以上』と見込まれる場合に情報を発表し、 「早期警戒」の呼びかけを行います。 なお、月曜日が祝日等の場合には翌日に発表することがあります。 ≪例≫ 発表日が3月 21 日の場合の「早期警戒」を呼びかける期間 この情報は、稲作においては、深水管理(低温や高温時に水田の水の量を増やすことで影響を緩和する)や 田植え時期の調整による活着不良対策、果樹の凍霜害対策といった利用が見込まれます。また、電力の需給計 画や冷暖房機器の販売計画などへの利用が見込まれる他、家畜の暑さ対策などにも有用と期待されます。 なお、愛媛県においては、高松地方気象台が発表する四国地方を対象にした情報をご利用ください。 異常天候早期警戒情報で使用する「かなり高い」と 「かなり低い」気温の階級の決め方 異常天候早期警戒情報の発表例 ※1981〜2010 年の 30 年間の気温の出現率で、下位 10% が「かなり低い」、上位 10%が「かなり高い」となるよう に階級区分値を定めている。 ☞7日平均気温 その地点で観測された日平均気温を 7 日間にわたって平均したものです。 したがって、 地点や季節によって、 値は大きく異なります。これは、例えばある地点で平均気温が 25℃を超えるかどうか等を見るために用います。 7 日間平均気温の地域平均平年差とは、地点の 7 日間平均気温の平年値(※)からの偏差(平年差)を、各 地方予報区内の地点について平均(地域平均)したものです。したがって、地域や季節によらず 7 日間平均気 温の地域平均が平年と等しいときには、その値は 0.0℃になります。広い範囲で気温が平年からどれだけ隔た っているかを見るために用います。 (※)7日間という期間について、1981~2010 年の 30 年間の値を平均したものです。 ☞ 階級区分値 天候が平年の状態からどの程度隔たっているかの統計的な指標として、階級値を用います。これは過去の観 測資料を元に、その年の天候がどの程度現れやすいかを指標化したものです。階級のしきい値を階級区分値と いいます。季節予報では、気温を「低い」「平年並」「高い」の3つの階級を用いて予報します。過去30年(1981 ~2010年)の観測をもとに「低い」「平年並」「高い」のそれぞれの出現率が等確率(33%)となるように決 めています(気候的出現率)。 一方、異常天候早期警戒情報では、「かなり低い」と「かなり高い」という階級を用いて予報します。 過去30年(1981~2010年)の観測を「かなり低い」と「かなり高い」は、出現率がそれぞれ10%となるよ うに決めています。
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