不安抱えながら続伸

平成28年12月 9日
松井証券ストラテジスト 田村晋一
【株式相場レポート】
~不安抱えながら続伸~
今週の総括
9日終値
前週末比
日経平均 (円)
18,996.37
+570.29
ドル (円)
114.36-38
+0.43
NYダウ (ドル)
19,614.81
+444.39
長期金利 (%)
0.055
+0.021
NY原油 (ドル)
50.84
-0.84
※NYダウ・NY原油は8日終値、ドル・長期金利は9日15時現在
★下げ渋る相場に買い安心感が拡がり、後半は欧米株高や個別材料に反応して続伸
今週のプラス材料
・1ドル113~114円、1バレル50ドル前後をキープ
今週のマイナス材料
・イタリア国民投票で憲法改正案が否決
・欧州ECBが金融緩和の延長と買入れ規模減額
・ソフトバンクや東電など大型株に個別プラス材料
今週は下げ渋る展開から徐々に買い安心感が優勢となり、欧米株高を背景に上昇、年初来高値も更新した。
前週末のイタリア国民投票で憲法改正案が否決されてイタリアの銀行再建に対する不安が再燃、市場心理
がリスクオフに傾いて、下落してのスタート。しかし、下落してもすぐに株価が戻る展開から、「買いたい投資
家はまだまだいる」との見方が拡がり、資源株と金融株を中心に回復基調となった。そして欧州ECBによる金
融緩和延長と買入れ規模減額を契機に欧米株が上昇。ソフトバンク孫社長がトランプ氏と会談して巨額投
資プランを発表したことや、福島原発処理に関して東京電力への政府融資枠が大幅に増額されるなど、大
型株での個別材料も好感されて続伸した。
業種別では、先週に引き続き石油・資源株、鉄・非鉄、金融株と海運が強く、加えて電力も大幅上昇。しかし
輸出関連株は平均すると市場平均並みに留まったほか、通信もソフトバンクが上昇した一方で、他の通信
銘柄は売られる局面も多く、平均では目立たず。また、先週同様に医薬品、食品、小売が弱かった。
来週以降の見通し
★もうしばらく高値圏で推移か
想定レンジ
18,800~19,200円
来週以降の注目材料
リスク要因
・米FRB年内利上げの可能性(次回FOMCは12/14)
・原油価格の乱高下
・米新政権の経済政策などに対する報道
・為替市場の乱高下
・原油価格の動き
・メガバンク株価のピークアウト
・メガバンク株の動き
・欧州の各国選挙での与党敗退
米新政権への期待をベースにした「ハネムーン相場」が年内は続くとの見方をもうしばらく継続する。
今週の相場を下支えした要因は、為替相場が1ドル114円前後で円高に戻らなかったことと原油価格が1バ
レル50ドル台で推移したことだろう。石油以外の鉱物資源の価格やバルチック海運指数も上昇したままであ
ることも、鉄・非鉄、海運などの個別業種の下支えとなっている。金融株にとっては、米長期金利の高止まり
と、米新政権による金融規制緩和への期待から米金融株が上昇したことが背景にある。これらの市場価格
や期待値がこのまま続く限りは、日経平均が急落する可能性は低いだろう。高値が継続するにつれ、今回
の相場に乗り遅れた投資家の買い意欲も高まっていると思われ、もうしばらく高値圏での推移が続きそうだ。
来週は、14日の米FOMC結果が注目される。米マクロ指標や直近の株価、金利の動向をみれば、利上げに
動く確率はかなり高く、市場も利上げを想定しているだろう。注目は利上げよりも、イエレン議長が来年の次
の利上げに対してどのような示唆を与えるか。さらなる利上げに意欲的な姿勢を見せれば、米国市場の株
高と金利上昇を呼び、115円を超える円安が誘発されて、日本株にとっても追い風となる。一方で慎重なコメ
ントとなった場合は、短期的に利益確定モードが強まることになろう。
平成27年8月26日
松井証券ストラテジスト 田村晋一
来週・再来週の主なイベントカレンダー
国内
12(月)
海外
機械受注:10月
中国鉱工業生産、小売売上高:11月
13(火)
独・英消費者物価指数:11月
14(水)
日銀短観:12月
米FOMC結果
鉱工業生産指数:10月
米小売売上高、鉱工業生産:11月
首都圏新規マンション発売:11月
EU鉱工業生産:10月
英失業率:11月
15(木)
プーチン・ロシア大統領来日
米経常収支:7-9月期
米消費者物価指数:11月
米住宅着工件数:11月
16(金)
19(月)
貿易統計:11月
資金循環統計:7-9月
20(火)
日銀金融政策決定会合結果
EU経常収支:10月
人口推計:12月
21(水)
米GDP確定値:7-9月
22(木)
米個人消費支出:11月
23(金)
祝日(天皇誕生日)
英GDP確定値、経常収支:7-9月
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次回発行予定:12月 16日(金)17:00以降
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