第18 独立行政法人海技教育機構 不 当 事 項 物 第 3 章 件 (321)海技免許講習における英会話語学練習のために賃貸借契約により導入したパーソナル コンピュータに付加された LL 機能が全く使用されておらず、所期の目的を達成して いなかったもの 科 目 業務経費 部 局 等 独立行政法人海技教育機構本部 契 約 名 LL 機能付き情報技術用パソコン・ファイアウォールルータ賃貸借契 約 契 約 の 概 要 英会話語学練習を効率的かつ効果的に行うための LL 機能を付加した パーソナルコンピュータ等の賃貸借 1 契約の相手方 NTT ファイナンス株式会社 契 約 平成 25 年 12 月 一般競争契約 契 約 金 額 72,841,680 円 (平成 26 年度∼30 年度) 契約金額のうち LL 機 能 に 係 る 分 6,273,600 円 不当と認める支 払額 2,509,440 円 (平成 26、27 両年度) 賃貸借契約等の概要 (注 1 ) 独立行政法人海技教育機構 (以下 「機構」 という。 ) は、国立海上技術学校 4 校及び国立海上 (注 2 ) 技術短期大学校 3 校 (以下、これらを合わせて 「 7 学校等」 という。 ) において、新たに船員と なろうとする者 (以下 「生徒等」 という。 ) に対して船舶の運航に必要な海技士の免許の取得に 必要な知識及び能力を習得させるための講習 (以下 「海技免許講習」 という。 ) を行っている。 7 学校等は、海技免許講習の一環として英会話語学練習 (以下 「語学練習」 という。 ) を実施 しており、機構本部は、既存のテープレコーダー式等の LL 装置が老朽化したことから、平 成 25 年 12 月に 「LL 機能付き情報技術用パソコン・ファイアウォールルータ賃貸借契約」 を 契約金額 72,841,680 円 (借入期間 26 年 4 月から 31 年 3 月までの 5 年間。契約金額のうち LL 機能に係る分は 6,273,600 円) で NTT ファイナンス株式会社と締結して、 7 学校等に LL 機 能が付加されたパーソナルコンピュータ計 315 台を 26 年 4 月に導入するなどしている。 本件の LL 機能は、生徒等が各自のパーソナルコンピュータにヘッドセットマイクを接続 して使用することで、語学練習時の発音を録音して再生したり、録音と英会話リスニング教 材との比較再生をしたりすることなどができるもので、既存のテープレコーダー式等の LL 装置よりも効率的かつ効果的に語学練習を実施することを目的として導入されている。 (注 1 ) 国立海上技術学校 4 校 国立小 、国立館山、国立唐津、国立口之津各海上技術学校 ― 665 ― 第 2 節 第 18 独 立 行 政 法 人 海 技 教 育 機 構 (注 2 ) 国立海上技術短期大学校 3 校 2 第 3 章 第 2 節 第 18 独 立 行 政 法 人 海 技 教 育 機 構 国立宮古、国立清水、国立波方各海上技術短期大学校 検査の結果 本院は、有効性等の観点から、LL 機能が語学練習において適切に使用されているかなど に着眼して、本件契約を対象として、機構本部及び国立清水海上技術短期大学校において、 契約書等の関係書類及び LL 機能の使用状況を確認するなどして会計実地検査を行うととも に、他の 6 学校等については、機構本部を通じて LL 機能の使用状況に関する書類の提出を 受け、その内容を確認するなどして検査した。 検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。 28 年 1 月の国立清水海上技術短期大学校での会計実地検査時点において、LL 機能は使用 されておらず、ヘッドセットマイクも全て梱包されたままとなっていた。そこで、LL 機能 を導入した 7 学校等全てにおける LL 機能の使用状況について、保存されていた使用記録及 び教員への聴取内容を機構本部を通じて確認したところ、語学練習は教員が口頭で指導する などしており、導入した 26 年 4 月から 28 年 3 月までの間、LL 機能は、パーソナルコン ピュータ計 315 台に付加されたもの全てが、全く使用されていなかった。 したがって、LL 機能は、語学練習を効率的かつ効果的に実施するという所期の目的を達 成しておらず、本件契約に係る 26、27 両年度の支払額のうち、LL 機能に係る 2,509,440 円 が不当と認められる。 このような事態が生じていたのは、機構において、LL 機能を使用して語学練習を効率的 かつ効果的に実施するという認識が欠けていたこと、 7 学校等の教員に対する LL 機能の導 入目的の周知が十分でなかったことなどによると認められる。 ― 666 ―
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