ITU-T IPTV-GSI会合報告 - ITU-AJ

ITU-T IPTV-GSI会合報告(9/12-16)
たにかわ
日本電気株式会社 テレコムキャリアビジネスユニット エキスパート
1.会議概要
かずのり
谷川 和法
NEC、三菱電機、沖電気)
2016年9月12日から16日にかけて、ジュネーブのITU本
◦Q26/16:2件(難聴対策に関する技術文章の作成提案
部においてITU-T IPTV-GSIイベントが開催された。本イ
(KDDI、慶応大学)
、F.Relay Appendix追加提案(慶
ベントには、IPTVに関連する研究テーマを扱うSG16の以
下の研究課題が参加している。
応大学)
◦Q28/16:4件(H.MBI-PFテキスト追加提案(NICT、慶
研 究 課 題QILE(Question ILE(Immersive Live
応大学、NEC)
、F.SLDテキスト追加提案(KDDI、慶応
Experience:超高臨場感ライブ体験)
)は、高臨場感コン
大学)
、HSTP.IPTV-MEHテキスト追加提案(慶応大学)
、
テンツをライブ伝送するサービスに関する新研究課題とし
脳健康指標に関する新規作業項目提案(慶応大学、NEC)
て、前回SG16会 合(5 ~ 6月開催)において承 認され、
◦QILE:6件(ILEに関わる新 規 作 業 項目提 案(NTT、
WTSA-16の最終承認を待つ暫定的な研究課題である。ラ
KT、ブラジル)
、HSTP.ILE-UC ユースケース文章のテキ
ポータとしてNTTの今中秀郎氏が指名されており、今回
スト提案、HSTP.ILE-UC Kirari!事例の追加提案、H.ILE-
が初会合となる。
Reqs要求条件文章のテキスト提案、H.ILE-FWアーキテ
IPTV-GSIへの参加者は46名(日本、中国、韓国、英国、
クチャフレームワーク文章のテキスト提案、
)
米国、ドイツ、スペイン、ブラジル、エジプト、マレーシア)
、
2.ワークショップ
寄書数は47件であった。国内からは、各研究課題に対し
て以下のような寄書が出されている。審議結果は、3章「個
2.1 E-health – brain healthcare
別課題審議」において述べている。
本イベント期間中に、e-Healthにおける脳のヘルスケアに
◦Q13/16:4件(HSTP.IPTV-Guide.1修正提案(NHK、
焦点を当てたワークショップが9月14日(水)に開催された。
沖電気)
、H.IPTV-MAFR.13修正提案(NHK、沖電気)
、
ImPACT(Impulsing Paradigm Change through Disruptive
HSTP.CONF-H702修正提案(沖電気、慶応大学、早稲
Technologies Program:内閣府革新的研究開発推進プロ
田大学)
、H.702 corrigendum作成提案(沖電気、慶応
グラム)とQ28/16の共同提案によるものである。世界的な
大学、早稲田大学)
人口動態の特徴となった高齢化に伴い、昨今、脳梗塞やう
◦Q14/16:3件(H.DS-CASF 分 割 提 案(NEC、NTT、
つ病等の脳に関わる健康被害が注目されている。Q28/16
三菱電機、沖電気)
、H.DS-CASF及びH.DS-META修正
ラポータ川森氏(慶応大学)の議事進行により、各国での
提案(NEC、NTT、三菱電機、沖電気)
、公共の場に
脳情報に関わる取組みの紹介や今後の活動等に関する6件
おけるサービスに関する新規 作業項目提案(NTT、
のプレゼンテーションがあり、積極的に意見が交換された。
■表1.IPTV-GSI参加研究課題(敬称略)
課題
研究テーマ
ラポータ
Q13/16
IPTV
Marcelo Moreno(UFJF、ブラジル)
アソシエート:松原雅美(三菱電機)
Q14/16
デジタルサイネージ
谷川和法(NEC)
アソシエート:Shin-Gak Kang(ETRI、韓国)
Q26/16
アクセシビリティ
川森雅仁(慶応大学)
アソシエート:Mohannad El-Megharbel(NTRA、エジプト)
Q28/16
E-health
川森雅仁(慶応大学)
QILE/16
ILE(Immersive Live Experience)
今中秀郎(NTT)
ITUジャーナル Vol. 46 No. 12(2016, 12)
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会合報告
1)Q28/16におけるe-health標準化活動(川森氏、慶応
大学)
2)脳の健康管理に向けたマルチメディアプラットフォー
ムの紹介(岡氏、ImPact)
3)イスラエルにおける活動紹介(Ms. Rotem Kopel, Israel
Brain Technologies(IBT)
)
4)脳のヘルスケアにおけるビジネスモデル(Dr. Maria
Beatriz Muñoz Seca, IESE(Instituto de Estudios
Superiores de la Empresa)
)
5)脳のヘルスケアのユースケース案と人材面での課題
(Dr. Manel Peiro, Escola Superior d'Administració
■図1.3D水中探索イメージ(B<>COM社)
i Direcció d'Empreses(ESADE)
)
6)E-Healthによる脳ヘルスケア実現に向けたecoシステ
ム(Dr. Dimitrios Andritsos, école des Hautes
Etudes Commerciales de Paris(HEC)
)
(参考)http://www.itu.int/en/ITU-T/gsi/iptv/Pages/
201609WSbrain.aspx
(参考)http://www.itu.int/en/ITU-T/gsi/iptv/Pages/
201609WSILE.aspx
3.個別課題審議
3.1 審議ハイライト
Q13/16では、次回SG16会合で合意(Consent)予定の
2.2 Immersive Live Experience
H.IPTV-TDES.5(相互接続可能なIPTV端末)を中心に、
QILEの活動開始に際して、ILEを広く紹介する目的で
H.702(IPTVにおけるアクセシビリティ)改定、H.IPTV-
ワークショップが9/14(水)に開催された。QILEラポー
MAFRシリーズ等が審議された。Q14/16では、視聴者端
タ今中氏(NTT)の全体進行により、
セッション1(モデレー
末との連携を含むH.DS-FIS(インタラクションサービスの
タ:Marcelo氏(UFJF)
)ではILEのユースケースやマーケッ
フレームワーク)の作業開始や、H.DS-CASF(汎用警告
ト情報が、セッション2(モデレータ:殿村氏(NTT)
)で
通知のためのフレームワーク)の分割が議論されている。
は各団体/研究組織におけるVR(Virtual Reality:仮想現
Q26/16では、新規作業項目としてH.ACC-ANPV(聴力障
実 )やAR(Augmented Reality:拡 張 現 実 )といった
がい者のための音声ナビゲーション)
、HSTP.AEHH(難
ILEに関わる活動が、一部デモを含めて紹介された(ワー
聴者の聴力支援)
、FSTP-RCSO(リモートキャプショニン
クショップ報告書:TD 279–Gen/IPTV-GSI)
。
グ)が了承されている。Q28/16では、ImPACTの活動実
績を基にH.MBI-BHQ(脳健康指標に関する要求条件)が
SESSION 1:USE CASES ON IMMERSIVE LIVE
EXPERIENCES
新規作業項目として了承され、また、H.81xシリーズ(ガ
イドライン)やH.820-850シリーズ(試験手順書)の改定
1)遠隔伝送サービス“Kirari”の紹介(殿村氏、NTT)
作業が開始された。F.MCDC(飛行機搭乗による伝染病
2)DVBにおけるVR活動(Thierry FAUTIER, Harmonic)
被害を防ぐためのモニタリング)については、WHOと今
後の対応を協議している。QILE/16は、新規作業項目とし
SESSION 2:ILE TECHNOLOGIES AND
てH.ILE-Reqs(ILEの要求条件)
、H.ILE-FW(ILEのアー
STANDARDIZATION GAPS
キテクチャフレームワーク)
、HSTP.ILE-UC(ILEのユー
1)多視点映像による高品質VRストリーミング
スケース)が了承されている。
(Cornelius HELLGE, Fraunhofer HHI)
2)B<>Com社における研究活動紹介
(Ludovic NOBLET, B<>Com)
3)超臨場感に向けたIPTVを含む映像配信技術(山本氏、
沖電気)
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ITUジャーナル Vol. 46 No. 12(2016, 12)
3.2 IPTV(Q13/16)
Q13/16は、IPTVにおける端末やミドルウェアを主な研
究テーマにしており、本会合では14件の寄書があり、審議
に基づいて下記の作業項目が更新されている。
H.702は、IPTV上でのアクセシビリティサービスのため
要件と音声コーデックに関する情報がAppendixに追加さ
の基本機能を、メイン(Main)
、拡張(Enhanced)
、基本
れている。
(Basic)の3つのプロファイルとして定義している。沖電
気と早稲田大学からの修正提案により、プロファイル名称
3.3 デジタルサイネージ(Q14/16)
の変更を含めた勧告改定案として文章が更新されている。
Q14/16は、デジタルサイネージサービスやシステムにつ
また、本勧告の適合性試験の仕様書となるHSTP.CONF-H.702
いての勧告化を検討しており、本イベント期間中に8件の
に対して、沖電気と早稲田大学より、字幕、手話、音声解
寄書が審議されている。日本からの全ての寄書は、三菱電
説の試験方法の追加が提案され、これも了承されている。
機、NEC、NTT及び沖電気の4社の連名寄書となっている。
2件はアクセシビリティに関係するということでQ26/16と
日本4社から、公共の場でのサービスに関する要求条件
合同審議されている。
文章H.DS-PISRに対応するフレームワーク文章の新規作業
H.IPTV-TDES.5は、家庭内での映像共有のようなIPTV
項目の開始提案が出された。寄書審議により、本提案のス
端末間での相互接続(interworking)のための端末仕様を
コープを視聴者端末とデジタルサイネージシステム間のイ
検討する勧告草案である。Editor’
s noteとして記された残
ンタラクションを中心としたインタラクティブサービスの
課題の解決、複数デバイスイネーブラAPI仕様の追加、相
フレームワーク文章と位置付けることが妥当ということに
互接続のためのインスタンスとユースケースの対応関係の
なり、新勧告草案H.DS-FIS“Digital signage:Framework
追加等の提案が了承されている。文章は次回SG16会合で
for interactive service”として作業開始が了承された。
合意(Consent)を提案予定である。これに合わせて、発行
H.DS-AMは、デジタルサイネージサービスにおいて視
済みのIPTV端末の将来的な全ての機能実装を示すH.722
聴者情報(視聴者数、視聴者性別等)を収集する機能要
及びIPTV端末の基本機能を述べるH.721においても、そ
件に関する勧告草案である。計測内容に関するメタデータ
れぞれの改訂版に端末相互接続機能の要件を追加される。
仕様の追加や文言の修正が提案され、文章が更新されて
H.IPTV-TDES.6は、仮想化されたIPTV端末を扱う勧告
いる。
草案である。仮想化IPTV端末が実現すべきサービスにつ
H.DS-CASFは、デジタルサイネージサービスにおいて、
いて議論があり、IPTV基本端末の要件(H.721記載)の
災害情報を含む各種警告情報や一般的な告知情報を配信
みを必須とすることが了承されている。また、初期化、リ
するための要件を扱う文章である。前回Q14/16ラポータ
ニアTVとVODに関する処理の追加が提案されたが、幾つ
会合で、H.DS-CASFの分割が審議及び了解されており、
か 提 案 内 容 にさらなる検 討 が 必 要 で あり、残 課 題 を
日本4社より、日常における告知情報の取扱いは別途検討
Editor’
s noteとして付記することで提案が了承されている。
することとした上で、警告配信のみに向けた機能フレーム
H.IPTV-MAFR.10は、W3Cで 策 定 さ れ たSVC仕 様 を
ワーク文章とメタデータ文章に分割することを提案して了
IPTVの要件として整理する勧告草案で、文言や要素の属
承されている。具体的な分割内容については、H.DS-CASF
性値の修正、インタラクションのための機能要件の追加等
の現エディタが次回会合までに文章を準備して審議する。
が提案され、
Editor’
s noteを付記した上で了承されている。
H.DS-METAは、基本的なデジタルサイネージサービス
H.IPTV-MARF.13は、IPTVサービス向けのHTML仕様
において使用されるメタデータ仕様について述べるもので
をまとめる勧告草案である。沖電気より、H.762として勧
ある。インターネットサービスでは、提示されるコンテン
告化されているLIME-HTMLとHTML4.01の共通部分を
ツの使用言語を指定するための国際標準としてRFC 5646
IPTV-HTML(Basic model)と位置付ける修正を提案し
がよく使われることから、日本4社よりこれを参照すること
て了承されている。
を提案して了承されている。同様の要件がH.DS-CASFに
HSTP.IPTV-Guide.1は、ITU-T H.265/HEVCやDASH
も記載があり、両文章の該当箇所が更新されている。
等を含んだ4K/8Kに関係する技術の進歩や放送規格の制
H.DS-PISRでは、日本としては2020年東京オリンピック
定等に合わせて、IPTV端末における新たな技術項目や音
に向けたデジタルサイネージサービスの要件を勧告化する
声符号化のプロファイルを検討するための技術文章であ
ことが重要である。本文章中に用語のゆれがあり、これを
る。沖電気とNHKの提案により、ISDB-S3や ATSC 3.0の
統一する寄書が了承されている。
動向をにらんだ広帯域衛星放送のバンド幅に関する技術
HSTP.DS-Glossは、デジタルサイネージにおける用語を
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会合報告
整理した技術文章ある。文章校正の見直しやこれまでの
3.5 E-health(Q28/16)
他作業項目文章の更新に合わせた内容の修正が提案され
Q28/16は、ICTによるe-Health全般に渡る要求条件、シ
て了承されている。
ステム要件及びその相互運用に関するガイドライン等を取
このほか、W3C総会においてデジタルサイネージに関す
り扱っている。本イベント期間中に16件の寄書が審議され
る新たなWorking Groupの立ち上げが検討されることから、
ている。
W3CとQ14/16の良好な連携に向けて、総会中にQ14/16活
慶応大学とNECの提案により、新たな作業項目H.MBI-
動内容を紹介することとした。
BHQ“Requirements on Key performance indicators and
protocols for establishing Brain Healthcare Quotients in
3.4 アクセシビリティ(Q26/16)
MBI-Platform”が了承されている。これはImPACTの活動
Q26/16では、広くマルチメディアサービス全般にお
成果に基づくもので、可視化された脳情報の流通を促進
けるアクセシビリティについて検討を進めている。本イベ
するためのMBI(Multimedia Brain Information)プラッ
ント期間中に6件の寄書が審議されている。
トフォームで扱われる脳健康指標に関する要求条件文章で
KDDIと慶応大学より、難聴者への聴力補助を取り扱う
ある。本作業項目の提案に併せて、H.MBI-PFにも脳健康
新規作業項目が提案された。提案内容がレビューされ、
指標に関する記述が追加されている。
幾つかの補助情報を付加し、技術文章草案HSTP.AEHH
H.81xシリーズが参照するPHCA(Personal Connected
“Audio enhancement for the hard-of-hearing”として作
Health Alliance(旧Continua Health Alliance)
)ガイド
業開始が了承されている。
ラインが改定されており、これに伴いH.81xシリーズ第4版
G3ictより、幾つかの国における実証実験を基に、視覚
の改定作業が開始しており、次回SG16会合での完成を目
障がい者向けのネットワーク機能を活用した音声ナビゲー
指す。
ションに関するユースケースとその技術的なガイドライン
また、上記H.81xシリーズに対応する試験手順仕様書で
を取り扱う新規作業項目の提案があった。本件審議により
あるH.820-850シリーズにおいて、H.841、H.842、H.843、
勧告草案H.ACC-ANPV“Audio-based network navigation
H.844、H.845.10、H.845.16、H.846、H.847、H.849、H.850、
system for persons with vision impairment”として作業
の第3版の改定が提案されて了承されている。
開始することが了承された。
F.SLDは、大音量による聴覚障がいの発生を未然に防ぐ
また、G3ictからは、音声配信と字幕を同時に提供する
ための安全な音響のためのシステム/端末のガイドライン
Remote Captioningサービスに関する新規作業項目の提案
である。慶応大学より、6月に開催された安全な音響のた
があった。このサービスにより、視覚障がい者との通話に
めの標準化に関するITU-Tワークショップでのプレゼン
おいて、手話通訳のような支援者の介在を不要とすること
テーションや意見交換の内容を基にした文章修正の提案
ができる。主要評価指標やサービス品質に関する章が追加
が出された。審議の中で「ノイズ」と「音楽」の相違につ
され、技術文章草案FSTP-RCSO“Technical paper on
いて議論され、特に「音楽」鑑賞時の実効的なガイドライ
remote captioning services”として作業開始が了承され
ンの検討を深める必要性が指摘されている。
ている。
HSTP.IPTV-MEHは、e-Healthにおけるアプリケーショ
F.Relayは、聴覚障がい者と健常者の間に支援者として
ン 仕 様(MAFR:Multimedia Application Framework)
のオペレータが介在する電話リレーサービス(文字−音声
に関する技術仕様書である。本文章に対して、遠隔治療
や手話−音声翻訳)
を扱う勧告草案である。慶応大学より、
に関するユースケースの記述を追加する提案が慶応大学
VRS(Video Relay Service)をIPTVで提供する事例を
から出され、Q28/16とQ13/16が合同で審議した。審議の
Appendixに加える提案があり、これは了承された。当該
中で、遠隔学習を扱うF.742が遠隔医療に密接に関係する
審 議 に お い てVRSとVRI(Video Remote Interpreting)
ことが指摘され、Q13/16において改定について検討する
の内 容 や 法 的な 取 扱 いの 違 いに ついて 議 論され、本
こととなった。また、e-Learningや遠隔教育に関する検討
Appendixでは異なる場所からの通話内容を手話で伝える
が充実した時点で、新たな研究課題の設立を検討するこ
VRSのみに言及している。
とが了解されている。
F.MCDCは、飛行機搭乗に際する伝染病被害を防ぐた
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ITUジャーナル Vol. 46 No. 12(2016, 12)
めのモニタリングに関する勧告草案である。会合に際して、
H.ILE-Reqs“Requirements for immersive live experience
本勧告草案の臨時文章(TD:Temporary Document)が
(ILE)services”は、ILEの要求条件文章で、用語定義、
エディタから出され、WHOの専門家を交えて議論された。
一般的な要求条件及び機能的な要求条件が扱われる。
審議冒頭、WHOよりエボラ出血熱のような脅威が顕在化
NTTより文章構成案と具体的なテキストが提案された。
しており、早期対応に向けた治療に関する遠隔教育や指導
特にILEの定義の議論に時間が割かれ、下記の定義を用い
が有効であり、e-Health分野に大きな期待を寄せている旨
ることが了承された。
が紹介された。本件では、特に搭乗者のプライバシーの
Immersive Live Experience(ILE)
:A shared viewing
扱いが議論された。一般に、搭乗者名簿は非公開であり、
experience which stimulates emotions within audiences
どのようにプライバシーを守りながら健康状況をモニタリ
at both the event site and remote sites, as if the ones
ングするのか、その実現性について疑問が寄せられた。少
at remote sites wandered into substantial event site
なくとも搭乗者からのモニタリングの事前承諾が必須であ
and watched actual events in front of them, from
り、承諾をどのような形で得るのか、実際のモニタリング
high-realistic sensations brought by a combination of
の場所や期間等の検討事項について引き続き寄書を募る
multimedia technologies such as sensorial information
こととした。
acquisition, media processing, media transport, media
また、WTSA-16に際して、SG20においてもe-Healthに
synchronization and media presentation.
関する作業項目が扱われていることから、具体的なSG16-
HSTP.ILE-UC“Technical paper:Use cases for
SG20間の連携について議論されている。
immersive live experience(ILE)services”は、
ILEのユー
スケース文章であり、NTTより文章の構成案及び具体的
3.6 超臨場感ライブ体験(QILE/16)
なユースケースとしてNTTの“Kirari!”を記載することが
QILE/16は、パブリックビューイング等での活用が期待
提案され、了承されている。
される高臨場感コンテンツをライブで伝送する技術及び
H.ILE-FW“Architectural framework for immersive
サービスに関する(暫定)研究課題である。6件の寄書が、
for live experience(ILE)services”は、ILE実現のため
映像サービスとして関連するQ13/16及びQ14/16と共に合
のアーキテクチャを検討する勧告草案で、NTTより文章
同審議された。
校正とテキストが提案されている。ハイレベルなアーキテ
NTT、KT、ブラジルより、ILEに関するユースケース
クチャと必須機能及びサービス実現に向けた事業者(イベ
文章、要求条件文章、アーキテクチャフレームワーク文章
ントプロモータ、メディア配信プロバイダ、ライブビュー
の3つの作業項目が提案され、下記文章の作業開始が了承
イング主催者等)間の関係をスコープとする勧告草案で、
された。
提案は了承された。
4.今後の予定
これまで8年間に渡って活動してきたJCA-IPTV及び
IPTV-GSIイベントは、その役目を終えたと判断され、今
研究会期を以て終了することが了承されている(TD 499
R1-Plen/16)
。SG16としては、エンドユーザに近接するマ
ルチメディアサービス全般について、ITU-T及び外部標準
化団体との横断的な活動を目的としたJCA-e-Serviceを次
会期に立ち上げることを予定しており(TD 566-Plen/16)
、
該当分野における日本からの積極的な活動が期待されて
■図2.Kirari! 概要
いる。
以上
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