強弱まちまちだが、労働市場は改善基調

2016年12月5日
(No.2,621)
〈マーケットレポートNo.5,139〉
堅調を維持する米国の雇用統計(2016年11月)
強弱まちまちだが、労働市場は改善基調
雇用者数は17.8万人増
50
ほぼ事前予想通り、堅調さを維持
40
■2016年11月の非農業部門雇用者数は前月比
17.8万人増となり、市場予想(ブルームバーグ集
計)の同18.0万人増とほぼ一致しました。
■過去2カ月の雇用者数の修正が合計で0.2万人
減と、小幅な下方修正にとどまったことと合わせて考
えると、10月の雇用は堅調だったと評価できます。
失業率は大幅な低下
賃金上昇率は前月から鈍化
■失業率は4.6%と、住宅バブルに沸いた2007年後
半の水準まで低下しました。就業者数が増加(労
働需要の増加)したうえに、労働力人口が減少
(労働供給の減少)したためです。
■他方、賃金上昇率は前月比0.1%の減少となりま
した。前月が同0.4%増と大幅に伸びた反動と考え
られます。前年同月比でも2.5%増と前月の同
2.8%増から鈍化しましたが、自発的離職者比率
の上昇が示す通り、労働需給が引き締まってきてい
ることから、今後、再加速が見込まれます。
株、債券は欧州情勢に反応
(万人)
【非農業部門雇用者数と失業率】
(%)
非農業部門雇用者数(前月比、左軸)
同上3カ月移動平均(左軸)
失業率(右軸)
9
8
30
7
20
6
10
5
0
4
13/1 13/7 14/1 14/7 15/1 15/7 16/1 16/7
(注)データの期間は2013年1月~2016年11月。
(年/月)
(出所)米国労働省のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(前年同月比、%) 【賃金上昇率と自発的離職者比率】 (%)
4.0
13.0
賃金上昇率 (左軸)
3.5
自発的離職者比率(右軸)
11.5
3.0
10.0
2.5
8.5
2.0
7.0
1.5
5.5
1.0
4.0
07/3
09/3
11/3
13/3
15/3
17/3(年/月)
(注)賃金上昇率は2007年3月~2016年11月。
自発的離職者比率は2006年5月~2016年11月。
自発的離職者比率は10カ月先行。網掛けは景気後退期。
(出所)米国労働省のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
■11月の雇用統計は強弱まちまちの内容でしたが、 ■米国経済は、良好な雇用環境を背景とする個人
消費の順調な増加を支えに拡大を続けています。ト
改善の基調そのものに変化はなく、金融市場では
ランプ新政権のもとでは、これに公共投資の増額が
12月の利上げ実施が確実視されました。ただ、憲
加わるため、経済の成長ペースは一段と加速する
法改正の是非を問うイタリアの国民投票など週末の
欧州での政治日程を前に、リスク回避の動きが表れ、 見込みです。欧州情勢などの不透明要因が払拭さ
れるにつれて、株価は景気や企業収益の拡大を織
米債券利回りは低下、ダウ平均株価は下落、外為
り込む展開になると予想されます。
市場では米ドルが売られ、円が買われました。
2016年12月 2日 「トランプ次期政権」の骨格は?(米国)
2016年11月28日 米国株式市場の見通し
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