展 望 - JA 全中

日本の台所を守ろう! ◆ Outlook by Yoshihiko Kaga
展 望
JAの進むべき道
日本の台所を守ろう!
日本の食の台所といえば、言わず
日本の人口が急速に減少している、
もがな築地市場である。80年という
だから海外に輸出する。日本に技術
その歴史は大変重い。そして、多く
力がある、だから高付加価値生産を
の人たちに対して食材の安定供給、
行い、農業を成長産業にする。
安心・安全の提供を担ってきた。
間違ってはいないのかもしれない
きょう あ い
施 設 の 老 朽 化・ 狭 隘 化 が 進 み、
その役割が果たせなくなる恐れがあ
り、移転せざるを得ない。それは仕
方がないと思う。
が、過剰生産を輸出で対応するアメ
加賀尚彦
(JA全中常務理事)
リカやカナダ、豪州とは同じにはで
きない。欧州の国々のように、ある
特定農産物に特化して市場や商品を
しかしながら、ここにきて大きな問題が浮
開拓する方法があるが、日本は先進国の中で
上する。土壌汚染対策である。
最低水準の自給率でしかない国であり、まず
『月刊JA』12月号が発行されているころに
そっちを先に考えるべきではないだろうか。
は、何らかの進展があるかもしれないが、現
開発途上国の爆発的人口増加はこの先まだ
時点では、行政の計画の立て方・進め方・報
続き、世界的な異常気象が猛威を振るう中、
告の仕方、情報の開示等々、目を覆い、耳を
自国がどんな状況にあっても食物を確実に日
疑いたくなることばかり出てくる。
本へ輸出してくれる国はあるのだろうか。
何百万人・何千万人もの人が食する生鮮食
日本の台所は日本人でしか守れない。守る
品である。行政の方々も食べるのである。そ
べきことは質と量であり、それは、安全・安
こに働く人がたくさんいるのだ。
心と継続した自給力である。突き詰めれば、
何をさておいても、真っ先に守らなくては
安かろう・悪かろうではいけないときちんと
ならない“日本人の食の台所”である。
伝える教育と、高齢化で窮している農家の
「地下水が危険という基準は、そこに70年間
じっちゃん、ばっちゃんが納得する世代交代
住み続けて飲料水として使用していた場合を
を創出することが、今必要とされている。
想定しているので問題ありません」と発言し
日本のおいしい農畜産物を世界中で食べて
た都職員がいたが、そういう問題ではないの
もらいたい。日本では生産できないもの、ま
だ。近頃の行政はと思っていたら、そういえ
たは大量に生産していないものは、安全に輸
ば農畜産物も似たような状況ではないだろう
入したい。そして日本中どこでも若者が働く
か。
場所がある。そんなかじ取りを期待したい。
2016/12
月刊 JA
15