2016年11月15日開催の決算説明会質疑応答の

[質疑応答要旨]2017 年3月期
第 2 四半期決算説明会
<事業全体について>
Q:中計最終年度の手ごたえはどうか?
A:売上収益は円高による為替換算の影響で減少しましたが、営業利益は計画値を達成できる見込み
です。現地通貨で見ると海外ビジネスが減速しているということはなく、今回の中計は今のとこ
ろ順調に進捗しております。
Q:来年度から始まる新中計で、資本配分の方針に変化はあるか?
A:現中計から大きく変わることはありません。収益を拡大させていき、株主還元も引き続き 30%程
度を念頭に置いていきます。新中計で新たに加わる要素は国内の成長戦略です。
Q:エレクトロニクス関連事業の戦略を教えて欲しい。
A:エレクトロニクス関係のお客様は、特殊ガスだけでなく窒素やアルゴンなどの一般産業ガスも使
用されます。これらのお客様向けに商材ごとで当社窓口が変わるのは効率が良くないので、産業
ガス事業本部と電子機材事業本部を統合しました。このように社内の体制を強化した上で、お客
様とのコミュニケーションを密にし、お客様の潜在的な需要にどう対応できるかを考え、新規需
要を取り込んでいきます。
Q:産業ガス業界ではグローバルで再編・集約が進んでいるが、大陽日酸はこの状況をどう捉え、ど
う対応していこうとしているのか?
A:当社は日本ではトップシェアですが、海外進出をしないと成長は見込めません。このため、現中
計では海外に向けて重点的に取り組んでいます。今後もこの考え方を変えるつもりはありません。
<国内ガス事業について>
Q:今後の国内でのコスト削減への取り組みと売上拡大の施策を教えて欲しい。
A:コスト削減は次期中計に向けて策定中です。事業規模の拡大については、ガスの幅広い裾野を活
用し、今まで取り組んでいなかった関連事業に取り組むことを検討中です。
Q:メディカル関連事業の現状と今後の成長戦略について教えて欲しい。
A:医療ガスは酸素から始まって事業を伸ばしてきましたが、病院事業は縮小傾向にあり、全体的に
は在宅事業にシフトすると考えられています。当社は現状では医療用ガス、病院設備、在宅事業、
呼吸器関連機器、安定同位体、バイオ関係事業の 6 つを展開しており、新しく伸びる分野を捉え
て成長につなげてまいります。売上規模は第1ステップで 300 億円、次のステップでその 1.5 倍
を目指しています。
<米国ガス事業について>
Q:米国で Air Liquide から買収した事業でのシナジーをどう見ているか?
A:最も大きなシナジーは間接部門の合理化です。アメリカでは日本と同様にプラントの集中監視を
行っております。新規獲得した 18 基の空気分離装置もこの管理体制に組み入れ、プラントの最
適運転を追求してコスト削減に繋げます。
Q:米国の買収事業による収益貢献額は?
A:当社が手に入れた事業の 2015 年度の実績値は売上規模が 270 百万USDであり、営業権等の償
却を含めると利益率は 15%という水準になります。
Q:米国で事業を買収したことによってネーションワイドでの産業ガス供給網が整備され、今後はオ
ンサイトを狙える地域が広がるという理解で良いか?
A:可能性としてはそうなります。
Q:今回の買収で米国の事業構造はガスメジャーに類似するということだが、依然として利益率が低
いように思う。メジャーとの利益率の差の要因と、この差を埋める施策をお聞きしたい。
A:米国での当社とガスメジャーの大きな違いは、当社はオンサイトビジネスが少ないということで
す。オンサイトに少しずつ取り組めるようになってきたので、この事業を拡大することが利益率
の差を埋める有力な手段になってくると考えております。
Q:今回の買収で米国事業の規模が拡大したため、独禁法の関係でM&Aへの取り組みが難しくなる
ことが想定される。今後はM&Aによる規模拡大よりもシナジー追求に重点を置くのか?
A:当社の事業規模は拡大しましたが、この事業規模でも、まだM&Aのチャンスはあると考えてい
ます。
<アジア・オセアニアガス事業について>
Q:アジアでは経営資源を重点投入しているにも関わらず、成長幅が物足りない。アジアでの今後の
成長戦略をお聞きしたい。
A:産業ガスビジネスは消費地立地で地場産業が相手であり、アジア全体でみるとそれなりに事業規
模はありますが、各国で分けると決して大きくはありません。従って、投資規模もそれに準じた
規模となり、収益改善の施策も地道なものが中心となります。電力コストの低減や構造改革によ
る合理化を進めるとともに、エレクトロニクス産業向けにはグローバル顧客対応の強化などで収
益を改善していきます。
Q:グローバル顧客への対応力強化とは具体的にどのような取り組みなのか?
A:エレクトロニクス関連のお客様はグローバルで事業を展開しているため、ストラテジックアカウ
ントマネジメントで面対応していきます。当社ではエレクトロニクス産業の有力エリアは中国だ
と考えており、中国を中心に、機動的に動ける体制を整備しています。また、特殊ガスの中国で
の生産も視野に入れています。
Q:アジアでの事業ポートフォリオや地域ポートフォリオを見直す考えはあるか?
A:当社のビジネスモデルは基本的には地産地消です。各地域でシェアを高めようとするとその地域
の産業ポートフォリオに近づいていきます。従って、当社側で理想のポートフォリオに拘りすぎ
るのはあまり良いことではないと考えています。
Q:中国では、産業ガスではなく、エレクトロニクス中心に考えているのか?
A:中国の産業ガスマーケットは需要に対して生産能力の余剰分が多いため、ここで伸ばすのは得策
ではないと考えております。一方で、エレクトロニクスは今後の成長が期待でき、投資規模も大
きくなりません。また、当社の技術力を生かせる分野ですので、こちらを中心に取り組んでいき
ます。
<サーモス他事業について>
Q: インバウンド剥落後のサーモス事業の成長戦略について教えて頂きたい。
A: 今はステンレスボトルが中心ですが、日本国内の家庭での需要開拓を基本として、台所用品や
若年、老年といった様々な世代の方に合わせた幅広い商品群の開発に注力していきたいと考えて
おります。
Q: サーモスでは競合他社との差別化をどのように図っているのか?
A: サーモスは世界で初めてステンレス製魔法びんを開発したということで、常に消費者の需要を
創造するという考え方で事業を展開しており、競合他社のことは特に意識しておりません。
以
上