一刻も早く、一人でも多く 優れた嗅覚を生かして、生存者を探す救助犬。 しかし、災害現 1 成し、建物内に固定。緑のベストを着ているのは、被災地 現地での活動には、日本から持ち込んだ機材を使う。日々の活動の後には、 ダンボールを活用したり、肌を守るためにタオルを巻いたり 機材を整備し、 しっかり使える状況に戻すことも必要だ。ここではコンクリー と、工夫をこらす。 ト切断に使うダブルブレードカッターを分解し、ベルトの調整をして再度組 命を救う技術を磨く に、コンクリートに穴を開ける。いきなり大 救助隊員が最前線で活動するためには、業務調整員の活動が欠か 救助された人を高所から地上に下ろし、治療できるとこ がれきを持ち上げ、救助に必要な隙間を作る。 いる人に当たってしまうかもしれない。 ド せない。資機材の管理総括、食料や燃料、輸送、通訳などの手配を ろまで搬送するために必要なのがロープを使った作業 国内災害ではクレーンなどの大型重機を使っ リルやカッター、ハンマーなどを使って、 行い、スムーズな救援活動の環境づくりに尽力するだけでなく、国 だ。安全に、迅速に下ろすだけでなく、足を下にし、あま てがれきを釣り上げることも多いが、海外の被 細心の注意を払いながら、救助隊員が生 際機関との調整も行う心強い裏方だ。技術訓練ではテントの設営、 り揺らさないように配慮することで、少しでも救助され 災地に駆け付けるときには大きな機材は持ち 存者を搬出できる大きさの穴を開ける。 衛星電話の設置などを実施。救助犬のハンドラーからは犬の取り た人が楽に下りられるように配慮している。しっかりと 込めない。足踏み式のジャッキを使い、木材を 扱い、医療班からは衛生管理面でのアドバイスを受けたほか、チー 声を掛け合い、全員が力を合わせて動く。 が れきの 下 に差し込んで、地 道 に持ち上 げて 人に救 助の手が届くはずだ。 知 恵の矢を束ねれば、より多 くの を 持っている ということ 。三 本 の のが、それぞれの組 織が違 う 強み 全 員が声 を そ ろえて 指 摘した と共 有します ﹂と話した。 成 果 を 当 庁 に 持 ち 帰って 、仲 間 んだ 技 術 や 周りとの意 見 交 換の ができ ないので 、ここで 新 たに学 グ な どはなかなか 経 験 す ること 救 助 で 重 要 な 建 物 の ブリーチン いはあり ません 。逆 に 、陸 上 での で 、国 内 で も 海 外 で も 活 動 に 違 は 海 上 を 中 心 に 活 動 しているの たち 海 上 保 安 庁 の 隊 員 は 、普 段 化 の 違いを 良 く 知っている 。 ﹁私 験 があ るこ とから 、各 組 織 の 文 防 庁で 救 急 隊の研 修 を 受けた経 安 本 部の 宮 地 龍 啓 副 隊 長は 、消 たつ ひろ 海 上 保 安 庁 第三管 区 海 上 保 救 助 活 動につながると思います ﹂ 感 を 見 逃さないことがスムーズな います 。現 場では 、わ ずかな 違 和 など 国 内の災 害 救 助に出 動して たことはありませんが、熊 本 地 震 う。 ﹁ これまで 、海 外 に 派 遣 され 他の省 庁から学ぶことは多いとい 広い視 野 での 危 険 物 検 知 な ど 、 場 に 対 す る 細 かな 目 配 りや 、幅 練 を 経 験 した 道 本 さん。災 害 現 や 海 上 保 安 庁 隊 員 らと 合 同 訓 今 回の技 術 訓 練では消 防 隊 員 させていきたいです ﹂と語る。 ますので、もっと災 害 対 策 を充 実 救 助 隊は発 足して5年 目 と なり 取 り 組 んでいま す 。警 視 庁 特 殊 故 な ど まで 、幅 広い救 助 活 動 に 交 通 事 故から 山 の 滑 落 、水 難 事 太 朗 さんは 、 ﹁ 私 た ちは 常 日 頃 、 警 視 庁 特 殊 救 助 隊の道 本 将 きたいと思います ﹂ こと を 普 段 の 業 務 に 生 かしてい もに、 ここで 他の部 隊から学んだ 部 隊 との 連 携の 下 地づくりとと ることが重 要になっていま す 。他 機 関 と 協 力して 救 助 活 動に当た だ。 ﹁ 最 近は 、国 内 災 害で も 他の ジャー ︶の 河 野 宏 紀 統 括 部 隊 長 別 高 度 救 助 部 隊︵ スーパーレン て く れたのは 、横 浜 市 消 防 局 特 こと も 重 要 な 経 験 で す ﹂と 話 し あるので、そうした機 材に慣れる 異 な る も の を 使っている 場 合 も 自 分 た ち が 使っている 機 材 と は とが変わってきます 。また、普 段 、 中 心 の 普 段 の 活 動 とはすべきこ から 、都 市 型 災 害 からの 救 助 が 行 うのは大 規 模 災 害の活 動です ます 。しかし、国 際 緊 急 援 助 隊で 防 隊 は 日 頃から 経 験 を 積 んでい ﹁ 救 助 という 面では、私たち 消 一度災害が起きたら、救助活動は時間との戦いだ。 全国のさまざまな組織から隊員が集まる国際緊急援助隊では、 普段の活動とは異なる環境で、いつもと違うメンバーと協力して 救助をスムーズに進めるため、年1回、技術訓練を行っている。 きな穴を開けると、落下した破片が中に リフティング/クリビング ブリーチング 3 14 December 2016 December 2016 15 物を一時的に支える。現場で建物に合わせて支柱を作 応急手当をし、傷をなめないようにエリザベスカラーを作る。 参加者に 聞く いく。 ム活動拠点の設営についてワークショップを行った。 救助活動が進められるよう、木材などで作った支柱で建 当を行うだけではなく、救助犬にも対応する。手近にある物で 4 地 震 などで 形 が ゆ が み、倒 壊 の 可 能 性 がある建 物。で 場は足場が悪く、けがをしてしまうこともある。そんなときは、 ロープワーク 5 “裏方”の訓練も も、中に生存者がいれば救助が必要だ。そこで、安全に 機材のメンテナンス 6 医療班(医師・看護師)の出番。医療班は、隊員の健康管理・手 倒壊した建物の中から人を救出するため 8 医療班による救助犬の応急手当 7 で建物の安全性を判断する構造評価専門家だ。 み立て、試運転するまでの練習が行われた。 ショアリング 2 初動活動 三角幸子JICA国際緊急援助隊 事務局長による開講あいさつ 人命救助はスピードが重要。災害が発生したらできるだけ迅速 に現地入りし、活動を開始する必要がある。技術訓練では、被災 ガス など危 険 物 の 有 無 や 建 物 の 倒 壊 危 険 性 の 確 認( 構 造 評 国の災害現場に到着したときに必ず実施する、情報収集、有毒 価)、声掛けや救助犬、機材を活用した捜索を実施した。 救 助チームの技 術 訓 練に密 着 ! 特集 国際緊急援助隊30周年
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