本田 早也香(ほんだ さやか)さん 北海道釧路湖陵高等学校 普通科 1年

①「アメリカで何をつかみとりたいか」
~食文化の違いを高齢者のために~
北海道釧路湖陵高等学校 普通科一年 本田早也香
歳を重ねても、食事を通して生きる喜びを感じてほしい。食べる意欲を引き出した
い。そのためにも私は日本とアメリカ両国の食文化の知恵や工夫をひとつでも多く身
につけたいと考えている。アメリカは移民が多い国だからこそ、世界中の知恵が集ま
っていると思うので非常に興味深い。 私がこのように食文化に関心を寄せている大
きな理由の一つに祖父母の存在がある。二人共、老人ホームで暮らしているのだが、
「食事がおいしい。」「食べやすくてうれしい。」と口々に言うのだ。以前に比べる
と食事の量は減ったものの、栄養が計算されているだけでなく、季節や行事にあった
食事が提供されている。外出が難しくなった祖父母にとって、「食事は大きな楽しみ
だ。」と語っていたのが心に残っている。
そこで、もしこのホームステイプログラムに参加できたら、日本とアメリカの高齢
者の食文化の違いについて的を絞り調べたいと思う。特に高齢者のための介護食だ。
そのために三つの方法で調査したいと考えている。
一つ目は、訪問するリタイアメントホームの施設で働いている方、そしてそこで生
活をしている高齢者の方々に実際に普段食べている食事について聞いてみたい。和食
よりも塩分が控えめと言われているアメリカの料理をおいしい介護食にすることは
できているのだろうか。柔らかさや冷めた時の具合はどうか、アメリカは肉料理が多
いイメージだが、実際魚料理や野菜料理もよく出されるのか。季節や行事によってメ
ニューが変わったりするのか。また、それらを食べている高齢者の方々は満足してい
るのだろうか。日本でもなじみのある食材が、アメリカの調理法や味付けでどんな料
理になるのかということも気になる。これらを調べることは、これからますます需要
が増えるであろう介護食にどのような工夫ができるかのヒントになるのではないだ
ろうか。
二つ目は、訪問する学校の生徒、ホームステイ先のホストファミリーに実際介護を
家庭で経験したことがあるか、周囲の人は介護・介護食をどのようにしているかを聞
いてみたい。アメリカでは、日本のようにレトルトの介護食に類似する商品がスーパ
ーやドラッグストアなどの身近なところでは販売していないようだ。アメリカでは、
介護を必要とする人の約8割もの人が家族に家庭で介護されている。つまり、弁当や
長期保存可能なパッケージ食品、冷凍食品の配達サービスがあるとは言え、多くの人
々が家庭で手作りの介護食を作っているということではないだろうか。介護食はただ
柔らかくすればいいだけではない。糖分や塩分を減らさなければならなかったり、持
病があれば制限されるものが出てくるなど、気を付けることがいくつもある。以前、
老人ホームで目の不自由な人に対して食べやすいようにご飯をおにぎりにしたり、便
秘がちな人に水分と食物繊維がとれるようサツマイモ入りのおかゆにしたり、という
ような工夫を見たが、アメリカではそういったことに対してどんな工夫がされている
かも注視したい。
三つめは、スーパーやドラッグストアで栄養剤やサプリメントを調べたい。アメリ
カでは食事から栄養が十分に摂れない時に栄養剤を利用するのが一般的なようだか
らだ。私は実際に数種類の日本のレトルトの介護食を購入し食べてみたが、いずれも
カルシウムが添加されていた。食物繊維を添加している物もあった。きっとこのよう
な成分が栄養剤やサプリメントとして売られているのだろう。予防医学の考えから、
アメリカのサプリメントは医薬品と同じレベルの厳しい製造規格があるそうだ。それ
を実際に自分の目で見に行き、どのような種類の栄養があり、どれほどの含有量なの
か、形状はどうなのか、値段はどの位なのかなどを調べたい。また、日本では甘酒の
事を飲む点滴と言うが、アメリカにもそのような栄養価の高い昔からなじみのある食
品があるのかも調べてみたい。
以上のことから、日本とアメリカの高齢者の介護食の違いを調べることで、一つで
も多く前述した疑問を解決し、アメリカの知恵や工夫を必ずや持ち帰りたい。そして、
私の将来の夢である、食品開発に携わる仕事で活かしたいと考えている。海外の方々
の知恵も取り入れられる時代に生まれたからこそ、それを身につけ食の安全に貢献で
きる人材になりたい。
そして、アメリカでの体験を介護する人にも介護される人にも活かして頂けるよう
伝えていきたい。