⼟⽯流シミュレータの開発と防災対策への適⽤ 受賞者 中⾕ 加奈 ⽒(年齢 34歳) 国⽴⼤学法⼈京都⼤学⼤学院農学研究科 助教 略歴 平成22年京都⼤学⼤学院農学研究科博⼠後期課程修了。⽇本学術振興会特別研究 員を経て、平成23年より現職。平成22年砂防学会砂防技術賞受賞。博⼠(農学)。 業績概要 背景 近年、増⼤する⼟砂災害の発⽣リスクに備えるためには、住⺠、⾏政、研究者の連携 により効果的な対策(構造物によるハード対策、構造物によらない避難などのソフト 対策)を⾏う必要がある。そのためには、⼟⽯流シミュレーションによる予測精度の 向上とともに、その結果をわかりやすく住⺠などに伝えることが重要である。しかし、 既往のシミュレーションモデルは、適⽤範囲が限定的で、現象の⼀部しか取り扱えな いことや、専⾨家にしか理解できない課題があった。このため、視覚的に理解できる、 汎⽤性の⾼い⼟⽯流シミュレータの開発が求められていた。 研究内容・成果 ⼭地渓流での⼟⽯流の発⽣・流動から、扇状地などの住宅地での氾濫・堆積過程まで を ⼀ 連 に 計 算 で き る 統 合 モ デ ル を 構 築 し た 。 ま た 、 GUI ( Graphical User Interface)の実装や、GISとの連携により情報の⼊出⼒を視覚化して直感的な理解を 助けることで、専⾨家以外のユーザー(防災に携わる⾏政、⺠間技術者、周辺住⼈、 学⽣)にも扱いやすい⼟⽯流シミュレータを開発した。本成果により、具体的な影響 範囲の把握や防災対策の検討が容易に可能となった。 • 情報を視覚化し、対話型の操作が 可能なGUI を実装することで、操 作性と直感的な理解が向上 • GUIの例:メールのアイコン (graphics) をクリックすると メールソフトが起動(events) Graphical User Interface(GUI)部 初期条件・⼊⼒ ・ 供給ハイドログラフ ・ 地形条件 (標⾼・川幅・移動床) ・ 砂防堰堤 etc... ・ ・ ・ ・ • ⼀つのシステムで、多様な条件が 計算できるように、既存モデルを 統合・改良 • 今後、新たなモデルを統合・置換 することも可能 粒径 ・ ⼀様 ・ 混合 移動形態 ・ ⼟⽯流 ・ ⼟砂流 ・ 掃流砂 住宅地への ⼟砂堆積 結果・出⼒ 流動深 堆積厚 流量 流砂量 etc... ⼟⽯流シミュレーションモデル GUIを実装したシステム のイメージ 1次元領域 (⾕部) 堰堤 ・ 無し ・ 不透過 ・ 透過 領域 ・ 1次元 ・ 2次元 ・ 境界部 数値シミュレーション部 ⼟⽯流数値シミュレーションの 枠組みを構築 2次元領域 (⼟⽯流が流れ ⽅向・横断⽅向 に氾濫・堆積) 開発した⼟⽯流シミュレータ (左:⼊⼒画⾯、右:出⼒画⾯) 専⾨的な知識や技術がなくても、 信頼性の⾼い結果が得られる シミュレータの開発 受賞評価のポイント ⼭地渓流での⼟⽯流の発⽣・流動から、扇状地などでの氾濫・堆積過程までを⼀連に計算できる ⼟⽯流シミュレータを開発するとともに、専⾨家以外でも扱いやすい⼯夫を⾏い、防災対策の検 討を容易にした点が⾼く評価された。 【連絡先】 京都⼤学⼤学院農学研究科森林科学専攻⼭地保全学分野 (住所:〒606-8502 京都市左京区北⽩川追分町 TEL:075-753-6087)
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