テク・トライアングル - 日本電子部品信頼性センター

電荷減衰測定装置による帯電防止評価
2016 年 11 月 29 日
テク・トライアングル
鈴木悦雄
1
1.測定装置の説明
静電電圧センサー
テストサンプル
印加
10MΩ
STATIC DECAY ANALYZER 4406 概略図
接地
2
校正モジュールの概略
静電電圧センサー
20GΩ
校正モジュール
(STM-2)
印加
10MΩ
STATIC DECAY ANALYZER 4406 概略図
接地
3
校正モジュール STM-2
STATIC DECAY ANALYZER 4406
4
STATIC DECAY METER 406D(旧モデル)
5
仕
様
1:
1. 電位センサ-: 最大出力ドリフト: <1%/min
ステップ応答速度
2. 印 加 電 圧 : 調 整 可 能 範 囲
3. 表
示 :
1msec
± 600V ~ ± 5,500V
4-LINE 蛍光表示計
4. カットオフレベル:
10%, 1%,他任意調整可能
5. 測 定 方 法:
手動/自動
6. 分
解
能:
0.001sec
6
仕
7. 電
様 2:
極:
マグネット(フィルム等薄手の物)
ク ラ ン プ(トレイ等厚手の物)
ルースフィル(ビーズ゙等小さなもの)
非 破 壊 用(成形品など大きな物)
8. 寸法・重量:
本体 406Wx203Hx457Dmm, 8.6kg
ケージ
9. 電
源:
279Wx229Hx279Dmm, 6.8kg
100/120/220/240VAC, 50/60Hz
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2.静電気拡散性材料の測定法
1.電荷の移動による測定
抵抗測定
電荷減衰測定
導通荷電
(MODEL 4406)
コロナ荷電
その他
2.電荷の発生による測定
摩擦帯電測定
剥離帯電測定
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包装材料の表面抵抗区分
静 電 気 導 電 性
102Ω
静 電 気 拡 散 性
105Ω
絶 縁 性
1011Ω
RCJS-5-1による区分
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3.電荷減衰規格について
測
定
法:FEDERAL TEST METHOD 101C METHOD 4046.1
(米国連邦政府試験基準)
温
度:23±3℃
相 対 湿 度:12±3%RH
試料のサイズ:3x5インチ、(RCJ 規格では9X14cm)
最 低 枚 数:3
以上のテスト条件に試料を24~48時間放置した後、測定。
(RCJ 規格では 24 時間以上放置した後、測定。)
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RCJS-5-1の規格
(日本電子信頼性センター規格)
表記環境条件で、表面抵抗が 1x109 Ωを超えるものを使用
する場合には、材料は初期値(5000V)の 1%までの減衰時間が
2 秒以内でなければならない。
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MIL-PRF-81705D の規格
(米軍規格、電子包装材料規格)
表記環境条件で、サンプルに±5KV印加後、99%
に拡散するのに要する時間が 2 秒以下でなければならない。
12
ANSI/ESD S 541 の規格について
(米国電子工業会規格、電子包装材料規格)
表記環境条件で、サンプルに±5KV印加し、20ミリ秒
以内に拡散させ50±5Ⅴになるまでに要する時間が 2 秒
以下でなければならない。
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NFPA 99の規格についての説明
(米国消防庁規格)
温
度:
相 対 湿 度:
23±1℃
50±2%
上記環境の中にサンプルを少なくとも 25 時間放置した後、測定。
±5KV印加後、500Vに電荷が拡散するのに要する時間が
0.5 秒以下でなければならない。
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環
ETS
境
装
置
MODEL 5532
15
+5KV
電 荷 減 衰 波 形
減衰時間(秒)
+50V
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印加時間及び減衰時間
5KV
印加時間
減衰時間
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4.校 正 方 法
校正器
STM-2
18
センサー距離の調整-1
19
センサー距離の調整-2
20
自動校正ボタン(SYSTEM TEST)を押す
21
校正データ表示―1
22
校正データ表示―2
23
校正データ表示―2
24
5. データ解析
手動か自動の選択
25
CUTOFF の選択
26
入力 KEY を押す
27
SAMPLE-1 DATA 表示(帯電防止フィルム)
測定条件:23℃、12±3%RH, 24hrs
28
SAMPLE-2 DATA 表示(帯電防止フィルム)
測定条件:23℃、12±3%RH, 24hrs
29
SAMPLE-3 DATA 表示(帯電防止フィルム)
測定条件:23℃、12±3%RH, 24hrs
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サンプル#1~#4(布)
未処理面(裏)
コーティング面(表) パナテトラ使用
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SAMPLE-#1 DATA 表示(布)
測定条件:23℃、12±3%RH, 24hrs
32
SAMPLE-#2 DATA 表示(布)
測定条件:23℃、12±3%RH, 24hrs
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SAMPLE-#3 DATA 表示(布)
測定条件:23℃、12±3%RH, 24hrs
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SAMPLE-#1 DATA(裏面)表示(布)
測定条件:23℃、12±3%RH, 24hrs
35
SAMPLE-#1 DATA(裏面)表示(布)
測定条件:23℃、12±3%RH, 24hrs
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電荷減衰測定データまとめ-表面(1%cut-off)布
基材(布)
表 面 抵 抗 初期帯電(V)
(Ω)
最小値
(sec)
最大値
(sec)
平
均
(sec)
SAMPLE#1
2.65E10
0
0.25
0.28
0.26
SAMPLE#2
1.65E9
0
0.07
0.07
0.07
SAMPLE#3
7.23E9
0
0.81
1.06
0.91
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電荷減衰測定データまとめ-裏面(10%cut-off)布
基材(布)
表面抵抗
(Ω)
SAMPLE#1 5E12
<
初期帯電
(V)
最小値
(sec)
最大値
(sec)
平
均
(sec)
-99
0.20
0.30
0.25
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表面抵抗と減衰測定データ -1
サンプル
初期電圧
減衰時間
表面抵抗
(+
-)
(Ω)
0V
0.08
0.06sec
2.95 x 10 10
AS 系帯電防止材料 0V
0.04
0.04sec
1.40 x 109
静電気拡散性固有
ポリマー(ABS)
練りこみ帯電防止剤
使用フィルム(P.P)
+200V
∞
0.39sec
4.95 x1010
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表面抵抗と減衰測定データ -2
サンプル
初期電圧
減衰時間
(+
-)
表面抵抗
(Ω)
練りこみ帯電防止剤
使用発泡 PE シート
0V
5.13
2.07sec
5.80 x 1010
塗布型帯電防止剤(米国製品)
使用 PE トレイ
0V
0.02
0.02sec
3.70 x 108
#シールドバック(外側) 0V
(内側) <50V
0.00sec
0.01sec
0.01
0.77
1010
1011
40
データ解析結果
1.表面抵抗は必ずしも減衰時間と関連しない。
2.減衰測定は塗布型静電防止剤や練りこみ剤等(カーボン材料も
含む)の塗布ムラ及び分散性がつかみやすい。
3.減衰測定は測定サンプル形状が平滑でないもの(例えばデコボコ
したもの)も、効率よく測定できる場合が多い。
4.結論として材料評価には表面抵抗だけでなく減衰率を用いる
ことにより、より正確な評価ができる。
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