ST 北見彰男のお口の豆知識コーナー 嚥 下 障 が い 【プロフィール】 上智社会福祉専門学校介護福祉士科卒業。 両親の介護をきっかけに、特別養護老人 ホームにて介護福祉士として13年間勤務。 その経験から高齢者の住まいには言語聴覚士 が必要と思い、東京医薬福祉専門学校・言語 聴覚士科(夜間部)入学。卒業後、病院リハ ビリ科に勤務し現在に至る。 嚥下機能が低下する事とは… 普段、私達も食事中やうがいをした時等に咽込む(むせこむ)事は、時折あるかと思います。 その際、良く私達は「変なとこに入っちゃった」と言いながら、咳払いして入った物を吐き出します。 その変な所に入る事を正確に言うと「喉頭侵入」(いんとうしんにゅう)といいます。この「喉頭侵 入」の事を「誤嚥」(ごえん)と勘違いしがちですが、咳払い等の反射機能で吐き出せていれば「喉頭 侵入」で、吐き出しきれないと「誤嚥」となります。 嚥下機能が低下すると喉頭侵入の回数、すなわち咽る(むせる)事が増加します。咳払いで吐き出す 力が残存していれば誤嚥を防ぐ事はできますが、疾病や加齢により咳払いが弱くなり吐き出す力が落ち てくれば誤嚥につながり、場合によっては「窒息」という事も起こりえます。 咽込み(むせこみ)が一時的な物ならば問題はありませんが、咽込みを繰り返す事は嚥下機能の低下 のサインであり、誤嚥リスクの向上を意味します。そして誤嚥を繰り返す事で「誤嚥性肺炎」のリスク が向上します。 また、食事中以外にも誤嚥は起きます。それは睡眠時です。 誤嚥性肺炎の要因の多くは食事中ではなく、睡眠時であると言われています。 睡眠時は知らず知らずのうちに少しずつ口の中の細菌を含んだ唾液を誤嚥してしまいます。その為、 就寝前の口腔ケアは特に大事であると言われています。 また、嚥下機能が低下してくると食べる事や飲むことが億劫になってきます。口に入れても咽込みを 繰り返すと疲れてしまいます、その事もあってか食欲も減退し、それに伴って栄養状態が悪くなったり、 脱水傾向になったりもします。 以前、食べられていた物が食べられなくなり、食事のバリエーションが少なくなってしまい食事に対 しての楽しみが減少してしまう事もあり得ます。 現在、「肺炎」は死因の第三位であり、高齢者の肺炎の70%には誤嚥性肺炎が関係するとも言われ ています。 嚥下機能が、低下すると食事が楽しくなくなるだけでは無く、場合いによっては生命に関わる事態に もなりかねません。 次回は…「嚥下機能の低下を防ぐには?」をお届け致します。
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