貸切バス事業者に対する監査・処分の実効性の向上について

平成28年11月24日
自動車交通部
貸切バス事業者に対する監査・処分の実効性の向上について
~来月から行政処分等の基準を厳しくします~
国土交通省では、貸切バス事業者への監査基本方針と行政処分基準に関係する通達改正を行いま
す。施行は、平成28年12月1日を予定しています。
(主な内容)
・街頭監査実施中に法令違反を確認した場合、改善されるまでは運行させません。
・営業所での監査中に違反を確認した場合、改善を確認するための監査を30日以内に行いま
す。改善できていなければ3日間の事業停止とし、さらに改めて30日以内に監査を行い、
改善できていなければ許可取消とします。
・営業所での監査結果に基づき、バス車両の使用停止という行政処分がありますが、営業所で
保有する車両数全体の8割を使用停止させます。
・輸送の安全に特に関係する「過労運転」「健康診断」「指導監督」「点呼」の違反を中心に、
バス車両の使用停止のベースとなる処分日車数を引き上げます。
本年1月の軽井沢スキーバス事故を受けて設置された「軽井沢スキーバス事故対策検討委員会」
において6月3日に「総合的な対策」が取りまとめられました。
これを受け、悲惨な事故を二度と起こさないとの決意のもと、本格的なスキーシーズンを迎える
前に以下のとおり貸切バス事業に関する監査基本方針と行政処分基準の改正を行います。法令違反
を早期に是正させ、もし改まらない場合には、貸切バス事業から速やかに退場させる仕組みとしま
す。詳細は別紙をご覧ください。
1.監査関係
(1) 街頭監査実施中、法令違反を確認した場合、是正されるまで運行を停止させます。
また、その他の違反の有無を確認するため、営業所での監査を30日以内に実施します。
(2) 営業所における監査中、法令違反を確認した場合、是正状況を確認する監査を改めて
30日以内に実施します。
2.行政処分関係
(1) 1.(2)の監査の結果、改善できていなければ3日間の事業停止とし、さらに改めて
30日以内に監査を行い、改善できていなければ許可を取り消します。
(2) 車両使用停止処分の場合、営業所で保有するバス車両数全体の8割を使用停止とします。
(例)保有車両数が5両で、処分日車数が100日車の場合は、4両を25日間使用停止させる。
逆に言えば、25日間、使用してよいのは1両のみ。
(3)「過労運転」「健康診断」「指導監督」「点呼」の違反を中心に、バス車両の使用停止
処分のベースとなる処分日車数を引き上げます。
3.行政処分関係(運行管理者)
(1) 運行指示を行う責任者である運行管理者は国家資格が必要ですが、運行管理者の資格
者証を返納させるケースを追加します。
【問い合わせ先】自動車交通部自動車監査官 樋口、佐々木、高畠
代表:011-290-2711 直通:011-290-2744
別
紙
主な改正内容
●監査関係
1.運行中の車両について、街頭監査で違反があり、その場で是正でき
ない場合、「輸送の安全確保命令」が発動され、是正するまでの間、
違反した車両が使用できなくなります。また、指摘された違反をもと
に、30日以内に事業者に対する監査を行い、法令違反の有無を確
認します。
2.一般監査で以下の緊急を要する重大な法令違反が確認された場合
は、「輸送の安全確保命令」が発動され、是正できるまでの間、違反
事項と関係する全ての車両が使用できなくなります。この場合、30日
間の事業停止の処分を受けることとなり、それでもなお、是正されな
い場合は、許可取消となります。
① 運行管理者が全く不在(選任なし)の場合
② 整備管理者が全く不在(選任なし)の場合であって、定期点検整
備を全く実施していない場合
③ 全ての運転者が健康診断を受診していない場合
④ 運転者に対して指導監督及び特別な指導を全く実施していない
場合
3.一般監査で「2.」以外の違反が確認された場合は、30日以内に是
正状況を確認する監査を実施します。
●行政処分関係
1.監査(1回目)で指摘した違反(軽重にかかわらず)が、確認監査(2
回目)で一部でも改善が確認できない場合、「輸送の安全確保命令」
が発動され、命令後に監査(3回目)で改善が確認(30日以内)できた
場合は、3日間の事業停止、確認できない場合は、許可取消となりま
す。
2.処分により使用を停止させる車両数の割合が、営業所の保有車両
数の8割になります。
(例)保有車両数5両、処分100日車の場合 ⇒ 4両を25日間停止
なお、現行では全国統一的な方針を示しておらず、例えば、中部
運輸局では、1両を100日間停止としています。稼働率(約50%)と
比べると処分の実効性が乏しい点を考慮しました。
3.輸送の安全に係る違反の処分量定を引き上げます。
(主なもの)
① 乗務時間等告示違反(運転者の過労運転)
(現行)未遵守16件以上 20日車 ⇒ (改正) 40日車
② 健康診断の未受診
【未受診者数】
(現行)半数以上 10日車 ⇒ (改正) 3名以上 40日車
③ 適性診断の未受診
【受診なし2名以上】(現行) 10日車 ⇒ (改正) 40日車
④ 運転者への特別な指導・監督違反(運転者への教育関係)
【大部分不適切】(現行)10日車 ⇒(改正)40日車
⑤ 飲酒運転防止に係る指導監督義務違反
(アルコール検知器の不適切な使用)(新設)60日車
⑥ 点呼の実施義務違反
(現行)未実施19件以下
警告 ⇒ (改正) 未実施 40日車
⑦ 運賃料金届出違反
(現行)20日車 ⇒(改正)60日車
⑧ 各種記録類の改ざん・不実記載
(現行)30日車 ⇒(改正)60日車
⑨ 輸送の安全確保命令等各種の命令違反
(現行) 60日車 ⇒ (改正) 許可取消
●運行管理者に対する行政処分関係
1.繰り返し法令違反を是正しない事業者が許可取消となった場合、
勤務する運行管理者全員に対し、資格者証の返納が命ぜられます。
2.重大事故等を引き起こし監査を実施した結果、運行の安全確保に
関わる量定が120日車以上となった場合、違反に関わった運行管理
者全員の資格者証の返納が命ぜられます。
3.運行管理者が飲酒運転又は薬物運転した場合、自家用車の運転
でも資格者証の返納が命ぜられます。