議案第89号 東京都板橋区債権管理条例 上記の議案を提出する。 平成28年11月24日 提出者 東京都板橋区長 坂 本 健 東京都板橋区債権管理条例 (目的) 第1条 こ の 条 例 は 、 板 橋 区 ( 以 下 「 区 」 と い う 。) の 債 権 の 管 理 に 関 する一般的な処理基準その他必要な事項を定めることにより、公正か つ公平な区民負担の確保及び区の債権管理の一層の適正化を図ること を目的とする。 (定義) 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ 当該各号に定めるところによる。 ⑴ 区の債権 ⑵ 公債権 金銭の給付を目的とする区の権利をいう。 区の債権のうち、消滅時効が完成した場合に時効の援用 を要することなく消滅する債権をいう。 ⑶ 強制徴収公債権 公債権のうち、地方税法(昭和25年法律第2 26号)の規定に基づく徴収金に係るもの及び法令の規定に基づき 国税又は地方税の滞納処分の例により処分することができるものを いう。 ⑷ 非強制徴収公債権 公債権のうち、強制徴収公債権以外の債権を いう。 ⑸ 私債権 区の債権のうち、公債権以外の債権をいう。 ⑹ 非強制徴収債権 非強制徴収公債権及び私債権をいう。 (他の法令等との関係) 第3条 区の債権の管理については、法令又は他の条例若しくはこれに 基づく規則に特別の定めがある場合を除くほか、この条例の定めると - 17 - ころによる。 (区長の責務) 第4条 区長は、法令又は条例若しくはこれに基づく規則等の定めると ころにより、区の債権を適正に管理しなければならない。 (台帳の整備) 第5条 区長は、区の債権を適正に管理するために規則等で定めるとこ ろにより、台帳(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知 覚 に よ っ て は 認 識 す る こ と が で き な い 方 式 で 作 ら れ た 記 録 を い う 。) を 含 む 。) を 整 備 し な け れ ば な ら な い 。 (徴収計画) 第6条 区長は、区の債権を計画的に徴収するため、毎年度徴収計画を 策定しなければならない。 (督促) 第7条 区長は、区の債権について、履行期限までに履行しない者があ るときは、法令の定めるところにより、期限を指定してこれを督促し なければならない。 (滞納処分等) 第8条 区長は、強制徴収公債権の滞納処分並びに徴収猶予、換価の猶 予及び滞納処分の停止については、法令の規定によりこれを行わなけ ればならない。 (強制執行等) 第9条 区長は、非強制徴収債権について、第7条の規定による督促を した後相当の期間を経過してもなお履行されないときは、次に掲げる 措置をとらなければならない。ただし、第13条に規定する徴収停止 の措置をとる場合又は第14条の規定により履行期限を延長する場合 その他特別の事情があると認める場合は、この限りでない。 ⑴ 担保の付されている非強制徴収債権(保証人の保証があるものを 含 む 。) に つ い て は 、 当 該 債 権 の 内 容 に 従 い 、 そ の 担 保 を 処 分 し 、 若しくは競売その他の担保権の実行の手続をとり、又は保証人に対 - 18 - して履行を請求すること。 ⑵ 債務名義のある非強制徴収債権(次号の措置により債務名義を取 得 し た も の を 含 む 。) に つ い て は 、 強 制 執 行 の 手 続 を と る こ と 。 ⑶ 前2号に該当しない非強制徴収債権(第1号に該当する非強制徴 収 債 権 で 同 号 の 措 置 を と っ て な お 履 行 さ れ な い も の を 含 む 。) につ い て は 、 訴 訟 手 続 ( 非 訟 事 件 の 手 続 を 含 む 。) に よ り 履 行 を 請 求 す る こ と。 (専決処分) 第10条 区長は、非強制徴収債権について訴訟手続等により履行を請 求するときは、訴訟、和解及び損害賠償額の決定に関する専決処分の 指定について(平成18年3月2日板橋区議会議決)により専決処分 することができる。 2 区長は、前項の規定により専決処分をしたときは、これを議会に報 告しなければならない。 (履行期限の繰上げ) 第11条 区長は、区の債権について、履行期限を繰り上げることがで きる理由が生じたときは、遅滞なく、債務者に対し、履行期限を繰り 上げる旨の通知をしなければならない。ただし、第14条第1項各号 のいずれかに該当する場合その他特に支障があると認める場合は、こ の限りでない。 (債権の申出等) 第12条 区長は、区の債権について、債務者が強制執行又は破産手続 開始の決定を受けたこと等を知った場合において、法令の規定により 区が債権者として配当の要求その他債権の申出をすることができると きは、直ちに、そのための措置をとらなければならない。 2 前項に規定するもののほか、区長は、区の債権を保全するため必要 があると認めるときは、債務者に対し、担保の提供(保証人の保証を 含 む 。) を 求 め 、 又 は 仮 差 押 え 若 し く は 仮 処 分 の 手 続 を と る 等 必 要 な 措置をとらなければならない。 - 19 - (徴収停止) 第13条 区長は、非強制徴収債権で履行期限後相当の期間を経過して もなお完全に履行されていないものについて、次の各号のいずれかに 該当し、これを履行させることが著しく困難又は不適当であると認め るときは、以後その保全及び取立てをしないことができる。 ⑴ 法人である債務者がその事業を休止し、将来その事業を再開する 見込みが全くなく、かつ、差し押さえることができる財産の価額が 強制執行の費用を超えないと認められるとき。 ⑵ 債務者の所在が不明であり、かつ、差し押さえることができる財 産の価額が強制執行の費用を超えないと認められるときその他これ に類するとき。 ⑶ 債権金額が少額で、取立てに要する費用に満たないと認められる と き。 (履行延期の特約等) 第14条 区長は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該 当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は処分をする ことができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履 行期限を定めることを妨げない。 ⑴ 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。 ⑵ 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、か つ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが 徴収上有利であると認められるとき。 ⑶ 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債 務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履 行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。 ⑷ 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権について、債務 者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁 済につき特に誠意を有すると認められるとき。 ⑸ 貸付金に係る債権について、債務者が当該貸付金の使途に従って - 20 - 第三者に貸付けを行った場合において、当該第三者に対する貸付金 に関し、第1号から第3号までのいずれかに該当する理由があるこ とその他特別の事情により、当該第三者に対する貸付金の回収が著 しく困難であるため、当該債務者がその債務の全部を一時に履行す ることが困難であるとき。 2 区長は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長 する特約又は処分をすることができる。この場合においては、既に発 生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(以下「損害賠償 金 等 」 と い う 。) に 係 る 非 強 制 徴 収 債 権 は 、 徴 収 す べ き も の と す る 。 (免除) 第15条 区長は、前条の規定により債務者が無資力又はこれに近い状 態にあるため履行延期の特約又は処分をした非強制徴収債権について、 当初の履行期限(当初の履行期限後に履行延期の特約又は処分をした 場合は、最初に履行延期の特約又は処分をした日)から10年を経過 した後において、なお、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、 かつ、弁済することができる見込みがないと認められるときは、当該 債権及びこれに係る損害賠償金等を免除することができる。 2 前項の規定は、前条第1項第5号に掲げる理由により履行延期の特 約をした貸付金に係る非強制徴収債権で、同号に規定する第三者が無 資力又はこれに近い状態にあることに基づいて当該履行延期の特約を したものについて準用する。この場合における免除については、債務 者が当該第三者に対する貸付金について免除することを条件としなけ ればならない。 (債権の放棄) 第16条 区長は、非強制徴収債権について、次の各号のいずれかに該 当する場合においては、当該債権及びこれに係る損害賠償金等に係る 債権を放棄することができる。 ⑴ 第9条の規定により強制執行等又は第12条の規定により債権の 申出等の措置をとったにもかかわらず、なお、完全に履行されなか - 21 - った場合において、債務者が無資力又はこれに近い状態にあり、資 力の回復が困難で、履行の見込みがないと認められるとき。 ⑵ 第13条の規定により徴収停止を行った場合において、相当の期 間を経過した後においても、なお同条各号のいずれかに該当し、こ れを履行させることが困難又は不適当と認められるとき。 ⑶ 債務者が死亡し、その債務について限定承認があった場合、相続 人全員が相続放棄した場合又は相続人が存在しない場合において、 その相続財産の価額が強制執行をした場合の費用並びに他の優先し て弁済を受ける区の債権及び区以外の者の権利の金額の合計額を超 えないと見込まれるとき。 ⑷ 破産法(平成16年法律第75号)第253条第1項その他の法 令の規定により、債務者がその責任を免れたとき。 ⑸ 債務者が生活困窮状態にあり、資力の回復が困難で、相当の期間 を経ても履行の見込みがないと認められるとき。 ⑹ 私債権について、消滅時効に係る時効期間が満了したにもかかわ らず、債務者が時効を援用するかどうかの意思を確認できないとき。 ⑺ 2 債務者の所在が不明であり、徴収の見込みがないとき。 前項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合にお いては、債権及びこれに係る損害賠償金等に係る債権を放棄すること ができない。 ⑴ 債 権 ( こ れ に 係 る 損 害 賠 償 金 等 に 係 る 債 権 を 除 く 。) の 額 が 1 0 0万円を超えるとき。 ⑵ 債権及びこれに係る損害賠償金等に係る債権について、債務を履 行する責任を負うべき他の者があり、その者が前項各号のいずれに も該当しないとき。 3 区長は、第1項の規定により非強制徴収債権を放棄したときは、こ れを議会に報告しなければならない。 (委任) 第17条 この 条 例 の 施 行 に つ い て 必 要 な 事 項 は 、 板 橋 区 規 則 で 定 め る 。 - 22 - 付 則 この条例は、平成29年4月1日から施行する。 (提案理由) 債権の管理に関する一般的な処理基準等を定めることにより、公正か つ公平な区民負担の確保及び債権管理の一層の適正化を図るため、条例 を制定する必要がある。 - 23 -
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