研究開発計画名:かんしょ直播栽培の実用化に向けた優良

「革新的技術開発・緊急展開事業(うち先導プロジェクト)」
研究開発計画名:かんしょ直播栽培の実用化に向けた優良系統と
省力機械化栽培技術の開発
〔分野〕畑作
〔分類〕包括提案型
〔代表機関〕(研)農研機構九州沖縄農業研究センター(先導(かんしょ直播)コンソーシアム)
〔共同研究機関〕宮崎県総合農業試験場畑作園芸支場、鹿児島県農業開発総合センター大隅支場、
(株)ヰセキ九州、霧島酒造(株)
1 研究の背景・課題
でん粉および焼酎原料用のかんしょ(サツマイモ)の生産現場では、高齢化、担い手不足、規模拡大など
様々な変化により、作業の軽労化に対する要望は高い。かんしょは一般的に、苗床で育てた苗を圃場に移植
する「挿苗栽培」により生産されるが、種いもを圃場に直接植え付ける「直播栽培」では機械化による省力
化や労働時間削減が期待できることから、これを慣行の挿苗栽培と組み合わせることにより、作期の分散・
拡大による労力分散や大規模化が可能となる。そこで、直播栽培に適性を持ち、広く普及できる品質特性を
備えたかんしょ系統・品種を開発するとともに、その直播栽培における栽培特性の解明、種いも採取技術の
開発、種いも植付機の改良による植付精度の向上等の課題を解決し、直播栽培の普及・拡大を図る。
2 研究の目標
【アウトプット目標】
直播栽培において現行品種の挿苗栽培並みの収量を示す系統を開発するとともに、挿苗栽培と比較して
作業時間を半減できる種いも植付機のプロトタイプ及び栽培技術を開発する。
【アウトカム目標】
研究終了時までに開発した有望系統について、品種登録に必要な特性試験データを蓄積して品種登録申
請を行い、直播栽培で現行の挿苗栽培並みの収量を示す実用的な品種を育成する。また、研究終了時まで
に開発した種いも植付機および直播栽培技術の利用により、挿苗栽培と比較して作業時間が半減する直播
栽培技術体系を確立し、かんしょ生産現場における収益向上に貢献する。
3 研究計画の概要
1 かんしょ直播栽培の実用化に向けた優良系統と省力機械化栽培技術の開発
1-1)直播栽培適性を有する優良系統の開発
焼酎用・でん粉用などへの用途適性が高く、直播栽培において挿苗栽培並みの収量が得られる系統を
開発する。
1-2)焼酎原料用有望品種・系統の地域適応性の評価と栽培特性の解明
直播栽培適性を持つ焼酎原料用有望品種・系統の地域適応性を評価し、栽培特性を明らかにする。
1-3)でん粉原料用有望系統の地域適応性の評価と栽培特性の解明
直播栽培適性を持つでん粉原料用系統の地域適応性を評価し、栽培特性を明らかにする。
1-4)直播栽培用植付機プロトタイプの開発
市販の半自動移植機を改良し、より効率的な直播栽培用植付機プロトタイプを開発する。
1-5)省力・低コスト化のための直播栽培機械化技術の開発
植付機のプロトタイプに適応できる種いもの規格化を検討し、労働時間の削減効果を明らかにする。
1-6)直播有望系統の焼酎醸造適性の評価
直播栽培適性を持つ有望系統を用いて醸造適性試験を行い、酒質がコガネセンガンに類似した系統を選
抜する。また、栽培方法や直播栽培機械化技術、種いも用小いもの確保などの生産面の問題について、実
需者として助言・支援を行う。
かんしょ直播栽培の実用化に向けた優良系統と省力機械化栽培技術の開発
(直播栽培適性を持つ優良系統を育成し、種いも植付機のプロトタイプ及び栽培技術を開発する)
先導(かんしょ直播)コンソーシアム
共同研究機関
共同研究機関
鹿児島県農業開発総合
センター大隅支場
宮崎県総合農業試験
場畑作園芸支場
研究代表機関
【研究項目】
・でん粉原料用有望系
統の地域適応性の評
価と栽培特性の解明
(研)農研機構九州沖縄
農業研究センター
共同研究機関
・省力・低コスト化のた
めの直播栽培機械化
技術の開発
【研究項目】
・焼酎原料用有望品
種・系統の地域適応
性の評価と栽培特性
の解明
【研究項目】
・直播栽培適性を有す
る優良系統の開発
(株)ヰセキ九州
共同研究機関
霧島酒造(株)
【研究項目】
・直播有望系統の焼酎
醸造適性の評価
【研究項目】
・直播栽培用植付機
プロトタイプの開発
1
かんしょ直播栽培の実用化に向けた優良系統と省力機械化栽培技術の開発
1-1) 直播栽培適性を有する優良系統の開発
1-2) 焼酎原料用有望品種・系統の地域適応性の
評価と栽培特性の解明
1-3) でん粉原料用有望系統の地域適応性の評価
と栽培特性の解明
直播栽培用優良系統の開発
植付機プロトタイプの開発
機械化栽培技術の開発
1-4) 直播栽培用植付機プロトタイプの開発
1-5) 省力・低コスト化のための直播栽培機械化
技術の開発
1-6) 直播有望系統の焼酎醸造適性の評価
例)経営規模が10haの場合
収穫作業
植付作業
挿苗(慣行)圃場
挿苗栽培
のみ
(現行)
10ha/(1.5a/時×7時/日×2名)=47.6日
挿苗:1.5a/時間
3月
4月
5月
挿苗圃場
6月
直播圃場
直播栽培
導入後
直播圃場
5ha/(5.9a/時
×7時/日×1
名)=12.1日
挿苗圃場
(+αha)
5ha/(1.5a/時×7時/
生産規模の
拡大も可能
日×2名)=23.8日
挿苗圃場より50g以下の屑いもを
直播用種いもとして採種。
不足分は直播圃場より採種。
直播:5.9a/時間
問い合わせ先: (研)農研機構九州沖縄農業研究センター畑作研究領域
TEL:0986-24-4270