Focus 地域ニュース 宇部市 新たな観光拠点として賑わう「ときわ公園」 ●ときわ公園の概要 ●27年度入園者数は36年ぶりに60万人突破 元禄年間に水田開発の灌漑用に築造された常 公園の入園者数は、石炭記念館が開館し遊園地 盤湖。ときわ公園はその周辺に広がる自然豊か が賑わいをみせていた昭和44年に過去最高の77 な都市公園(総合公園)です。敷地面積は約189 万人を記録しました。しかし、各地に大規模レ ヘクタール。昭和33年に常盤遊園地として開園 ジャー施設が次々新設され、観光地が国内・海 した後、昭和37年∼ 39年に宇部市松山町にあ 外に広がるなか、公園内の既存施設の老朽化な った県内初の動物園、宮大路動物園が移設され ども追い打ちをかけて入園者数は減少を続け、 たほか、石炭記念館(昭和44年) 、ときわ湖水 平成20年には37万人台まで落ち込みます。宇部 ホール(平成3年)、熱帯植物館(平成7年) 市ではこの状況を打開するため、イベントの充 などが整備されてきました。また、昭和36年から 実や動物園のリニューアルを掲げた「常盤公園 50年以上続き、世界で最も歴史のある野外彫刻 活性化基本計画」を策定し、公園の魅力向上に の国際コンクール「UBEビエンナーレ(現代 取り組んできました。その甲斐あって、動物園 日本彫刻展) 」が、この公園で2年に一度開催さ が一部先行オープンした平成27年度には年間入 れています。 園者数が36年ぶりに60万人を突破しました。 【マップ提供:宇部市】 10 やまぐち経済月報2016.9 ●多彩なイベント 今の時期は子育てをするワオキツネザルやミー 魅力向上の一環として、今年の夏は「TOK アキャットなどを間近に見ることができます。 IWAファンタスティックサマー」と題したキャ ンペーンを展開し、多彩なイベントを開催し ました。 「呼応する森」 (デジタルアート集団・ チームラボがプロデュースしたライトアップイ ベント)に約5万人が訪れたほか、 「ときわサ マーフェスタ」 (野外ライブやフラダンスステー ジなど)やアマゾン川流域の珍しい動植物の展示、 子ども向けのじゃぶじゃぶ池などが大好評。期 間中(7月16日∼8月28日)の入園者数は14 万8,284人と昨年の2倍に達しました。 【樹上を飛び回るシロテテナガザル】 ●熱帯植物館でも生息地を再現 開館から20年が経過した熱帯植物館でも生 息地を再現したリニューアルが進められ、平成 29年春のオープンを目指しています。プラント ハンターとして有名な西畠清順氏の監修のもと、 世界でも珍しい熱帯植物などを生息している環 境そのままに見ることができます。公園を運営 する宇部市では、面積は狭いもののレベルの高 【幻想的な「呼応する森」 】 さで勝負したい考えです。 ●動物園をすべて生息環境展示に ●市民公園から観光の拠点へ 平成28年3月にグランドオープンしたとき さまざまな取り組みによって、公園全体をこ わ動物園では、エリア全体に「生息環境展示」 れまでの「市民公園」から団体客を呼べる「観 を採用しました。これは野生の動物が生きてい 光拠点」としてPRできるようになったと市は る森林や草地、乾燥地、水辺などの自然環境を 胸を張ります。ときわ動物園に続き、来年春に そのまま再現し、動物本来の行動を引き出す展 予定される熱帯植物館のリニューアルオープン 示方法で、来園者が動物や植物を通じて生態系 も賑わいに拍車をかけそうです。 への理解を深め、地球環境を考える教育の場に 今後は、園内の多彩な観光資源と市内外の観 することを目指しています。来園者は、シロテ 光資源とを結び、宇部市だけでなく山口県の観 テナガザルやシシオザルなどの生き生きとした 光拠点になることが期待されています。 姿を見ることができます。また、動物園は希少 (若崎 慶正) 野生動物の保護と繁殖研究にも取り組んでおり、 やまぐち経済月報2016.9 11
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