国際協力の在り方とは ~モルディブでの経験を通して~ 鰐淵 勇太 私はモルディブの首都マレから、180km離れたニランドゥ島で、体育教師として学校に所属して活 動しています。マレからは、スピードボートで3時間、船だと 11 時間かかります。私の活動の目的と しては、主に2つです。体育教育の普及、現地教諭への技術移転です。現地教諭への技術移転とは、体 育をどのように指導したらいいのかわからないので、一緒に授業を作り、行っていくことで、体育を指 導でき、授業を作ることができるようになってもらうということです。 私は、1人の先生(体育専門の先生)と共に、1年生から6年生まで、全てのクラスを指導していま す。最初は、その先生に全てを伝えていけば、私がいなくなっても上手く回っていくだろうと考え、と ても希望に満ち溢れていました。しかし、その希望はすぐに崩れ落ちてしまいました。先生が授業に来 ない、生徒達の好きなことをさせる、何もしないなど、体育教育についてとても後ろ向きでした。私が 1人で授業をするということは決していいことではないのですが、授業を見せて、やる気を出してほし いと思っていました。その授業の中で、初めて行うゲームや体操などをして、生徒達は楽しそうに笑顔 で取り組んでいました。それを見た先生は、次の授業から協力的になり、とても積極的に一緒に取り組 んでくれるようになりました。その後、ほとんど現地の先生に任せるようにして、私はなるべく前にで ないようにしています。私は、生徒達の楽しそうな表情が先生のやる気を起こしたのかなと思いました。 生徒が楽しく取り組んでいれば、教える側の先生も楽しく教えることができると思います。そして、生 徒のためにも他のゲームや違った方法を考えようと、向上心がでてくるのではないかと思います。 私は最初、自分がたくさんのことを伝えなければならない、教えなければならないと思っていました。 しかし、現地の先生が伝えるという方法が1番だと感じました。なぜなら、ずっとこの島で教えていく のは、現地の先生なのですから。どうしても、2年間の内に何か成果を残したい、何か形になることを しなければならないと思ってしまいます。しかし、自分が何をやった、これを残したということよりも、 モルディブ人にとって、生徒達にとって良かったのかということが大事なのだと思います。これからも 継続していけるような環境作り、方法を現地の先生と見つけることが必要だと思います。 国際協力に1つの答えはないと思います。活動をする場所ごとに、良し悪しは違いますし、正解がな いからこそ、難しくもあり、大きなやりがいを感じることもできるのだと思います。私自身の常識、考 え方に捉われず、現地の方々(先生や生徒)のことを1番に考えて、これからも活動したいと思います。 縄跳びの授業中 先生達対象の体育に関するワークショップ
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