産業アウトルック 2016年度下期 16年度 下期見通し 15.建設 受注高は民間の下支えにより微増 2016年度第1四半期の大手ゼネコン50社 (国土交通省の区分)の受注高は、全体で 前年同期比+2.8%と微増になりました。官 公庁工事はほぼ前年並みとなった一方、 民間工事は都心再開発案件やホテル開発 が牽引する恰好で引き続きプラスで推移 しています。 資材価格は下落している一方、労務費 は再び上昇局面へ 工事原価のうち資材費をみれば、鋼材価 格の下落等で弱含んでいることから、建 築着工単価も四半期ベースでは約4年ぶり に前年同期比マイナスになりました。 もっとも、技能労働者中心に再び人手不 足感が強まっている上、秋口以降は五輪 関連工事の本格化が見込まれることから、 今後は労務費の上昇が懸念されます。 第1四半期は好調ながら、通期では採 算悪化を見込む先も多い 2016年度第1四半期の大手・準大手14社、中 堅26社の実績をみれば、収益環境の改善 が続く中、過去の不採算案件が一巡した ほかコスト低減に向けた取組みが寄与し たこと等から、採算が一段と改善し、総 じて好調な出足となりました。もっとも 通期では、労務費を中心に建築コストの 上昇により、採算低下を見込む先が多く なっています。 図表2 主要建設資材価格、技能労働者過不足率(注) 図表1 ゼネコン上位50社官民別受注高 ~資材価格は下落、一方労働者は不足感が強まる ~民間工事が堅調で、全体で微増 (兆円) 民間工事 前年同期比:右軸 4 +60% H形鋼:左軸 民間工事受注高:左軸 3 +30% 2 0% 1 -30% 官公庁工事受注高:左軸 0 14/1Q 3Q 官公庁工事 前年同期比:右軸 -60% 15/1Q 3Q 16/1Q (年度/期) 出所:国土交通省「建設工事受注動態統計調査(大手50社)」より弊行作成 図表3 建築着工単価 +2% 10.0/ 70 0% 技能労働者過不足率:左軸 9.5/ 60 -2% 過剰 9.0/ 50 -4% 14/1Q 3Q 15/1Q 3Q 16/1Q (年度/期) 出所:一般財団法人経済調査会「月刊積算資料」、建設物価調査会「月刊建 設物価」、国土交通省「建設労働需給調査」より弊行作成 (注)過不足率=(確保したかったが出来なかった労働者数-確保したが過 剰となった労働者数)/(確保している労働者数+確保したかったが 出来なかった労働者数)×100 ~堅調な需要を背景に第1四半期は増益 (百億円) 200 +15% 建築着工単価 前年同期比:右軸 150 20 +5% 50 0% 建築着工単価:左軸 6% 12 4% 8 2% 4 0% -5% 3Q 出所:国土交通省「建築施工統計」より弊行作成 8% 16 0 15/1Q 大手・準大手 営業利益(左軸) 中堅 営業利益(左軸) 大手・準大手 営業利益率(右軸) 中堅 営業利益率(右軸) +10% 100 3Q 不足 セメント:左軸 図表4 大手・準大手14社、中堅26社の連結営業利益・同率 (千円/㎡) 14/1Q +4% 10.5/ 80 ~資材価格下落を受けて、前年同期比マイナス 0 担当:長瀬 礼紗 セメント(千円/t) /H形鋼(千円/t) 11.0/ 90 16/1Q (年度/期) -4 -2% 11/1Q 12/1Q 13/1Q 14/1Q 15/1Q 16/1Q 15年度 16年度 (年度/期) 予 -4% 出所:各社決算短信より弊行作成 (注)建設経済研究所が「2016年3月期主要建設会社決算分析」にて独自に 抽出した直近3期(14/3~16/3期)の平均連結売上高上位40社を以下の 通り区分(大手・準大手14社:2,000億円超・中堅26社:2,000億円以下) 本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊行が一般に信頼できると思われる資料に基づいて作成されたものです が、情報の正確性・完全性を弊行で保証する性格のものではありません。また、本資料の情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがありますので、ご了承ください。ご利用に際しては、お客さまご自 身の判断にてお取扱いくださいますようお願い致します。本資料の一部または全部を、電子的または機械的な手段を問わず、無断での複製または転送等することを禁じております。 Copyright © 2016 Sumitomo Mitsui Banking Corporation. All Rights Reserved.
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