2016 年 11 月 そこが知りたい! 国際税務ニュースレター 今回のテーマ: 各国間における金融口座情報の自動的交換について 外国の金融口座を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するために、OECD で策定された「共通 報告基準(CRS :Common Reporting Standard)」に従って、金融機関が非居住者に係る金融口座情報を税 務当局に報告し、これを各国の税務当局間で互いに提供することとなりました。 個人及び法人の義務 平成 29 年 1 月 1 日以後に預金口座の開設、信託に係る契約の締結等の特定取引(*1)をおこなう場合に は、その個人及び法人の名称、所在地、居住地国、外国の納税者番号等(*2)を記載した届出書を、報告 義務を負う金融機関(以下「報告金融機関等」)に提出する必要があります。 (*1)金銭又は有価証券の預託契約の締結を含みます。 (*2)日本のマイナンバーは報告対象外となります。 個人及び法人 報告金融機関等 居住者口座情報 居住者口座情報 非居住者口座情報 非居住者口座情報 (適用時期) 海外税務当局 国税庁 A国 非居住者口座情報 B国 届出書の提出 国税庁への報告 自動情報交換 平成 29 年 1 月 1 日以降 平成 30 年 4 月 30 日期限(初回) 平成 30 年末までに 開始することを表明 (平成 27 年度税制改正「国際課税関係の改正」を参照に作成) 報告金融機関等の義務 報告金融機関等は、特定取引を行った非居住者の氏名(名称)、住所(所在地)、居住地国、外国の 納税者番号だけでなく、その年の 12 月 31 日現在における報告対象契約に係る資産の価額、その年にお ける当該資産の運用、保有又は譲渡による収入金額を、その年の翌年の 4 月 30 日までに、本店所在地 の所轄税務署長に提供しなければなりません。 日本の居住者が保有する外国金融口座の情報について 日本の居住者が共通報告基準(CRS)に従った情報交換を行う外国に金融口座を保有している場合、 国税庁は当該口座保有者の金融口座情報を把握することができるため、国外財産調書の未提出者の把握、 記載内容の不備の検出が可能となります。 共通報告基準(CRS)の報告対象 国外財産調書の記載項目(一部抜粋) 口座保有者の氏名(名称)、住所(所在地)、居 住地国、納税者番号、口座残高、利子・配当等の 年間受取総額 預貯金、有価証券、未決済デリバティブ取引に係 る権利 お見逃しなく! 国税庁への報告対象は非居住者に限られますが、預金口座の開設などの特定取引をおこなうに当たっ ては非居住者だけでなく居住者も届出書の提出が必要となります。 このニュースレターのバックナンバーはホームページにてご覧になれます。http:// www.grantthornton.jp © Grant Thornton Japan. All rights reserved.
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