平成 28 年度糸賀一雄記念未来賞 受賞者のご紹介 まきの けんいち 牧野 賢一氏(神奈川県相模原市・52歳) ■現職 特定非営利活動法人UCHI(うち)理事長 株式会社かかわ 代表取締役(社会的事業=グループホーム事業支援) ■経歴 1989 年~1992 年 1992 年~1997 年 神奈川県社会福祉協議会県民運動室 社会福祉法人湘南福祉センター『工房絵』(知的障害者通所授産 施設) 1997 年~2014 年 同 『下宿屋』(グループホーム)ホーム長 2013 年~ 株式会社『かかわ』を仲間と設立し現職 2014 年~ 特定非営利活動法人『UCHI』を仲間と設立し現職 ■活動内容 1995 年、知的障害者通所授産施設から晴れて就労し社会人となった人たちが、日を 追うごとに個性の輝きを失う姿に直面し、毎月の彼らの給料日の後に居酒屋での飲み 会を開催する。その中での、彼らの止めどなくあふれる話とかつての輝きを取り戻し た表情から、ほっとできる仲間と場所の必要性を感じ、就労した人たちが参加する社 会人サークルの活動を始め、1997 年にグループホームを設立した。1997 年~2014 年 までグループホームのホーム長となる。 その後、2014 年に特定非営利活動法人UCHI(うち)を設立し理事長となり、グ ループホーム「うち」(共同生活援助事業)を運営している。 社会福祉法人のグループホーム長時代から、地域社会の中で孤立する、社会的トラ ブルや精神的問題を抱える人、入所施設や精神科病院の社会的入所・入院をしている 人、家族から虐待を受けて児童福祉法で保護された人、罪に問われた人などを受け入 れ、軽度と言われる知的障害、発達障害のある人のさまざまな「生きにくさ」に出会 ってきた。 その人たちに共通する「相互関係」「社会関係」「自己決定」における障害を、「関 係障害」としてとらえ、地域において、その人らしく生きるための「自己決定」のた めのその人中心のつながりづくりを支える、「関係支援」によって解決していく活動 を長く実践しておられる。 その活動では、人の一生を人類史になぞらえ、 「安心・安定」 「移動」 「交流」 「表現」 「自己実現」の視点から彼らにとってのその人らしい暮らしを考え、「生きにくさ」 を抱える人たちとのかかわりに奮闘されている。 また、「関係支援」の中では、「自分史作成支援」にも取り組まれ、その「自分史」 はこれまで、福祉関係者、教員、学生、地域住民などを前に障害のある彼ら自らが発 表し、3 年前から東京大学のゼミにも彼らが講師として参加している。 「罪に問われた障害者」 「地域定着支援センター」 「生活困窮者支援」 「最貧困女子」 などが近年注目されているが、こうした言葉が無い時代から長く、制度では行き届か ない軽度知的障害者、発達障害者の支援にかかわってこられた。
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