マンション管理―しっ得ナビ - 一般社団法人愛媛県マンション管理士会

一般社団法人愛媛県マンション管理士会
マンション管理―しっ得ナビ 2016 秋号
通巻第 6 号
マンション管理情報
発行元(一社)愛媛県マンション管理士会
事務局 松山市北土居 5 丁目 8 番 60 号
TEL
089-969-8058
FAX
089-969-8052
通巻第 4 号
◇個人情報保護法改正
~すべての管理組合が対象に~
個人情報保護法が昨年 9 月に改正され、政府は改正法の来春施行に向けて、準備を行っ
ています。同法が成立してから初めての実質的な改正で、その内容は多岐に渡っており、
管理組合にとって最も大きな影響があるのは、適用除外要件(5,000 人以下の取扱い)が
なくなったことです。
これまでは、多くの管理組合が、適用除外要件に該当し、個人情報取扱業者としての規
制を受けていませんでした。しかし、このルールが外されたことにより、居住者の多寡を
問わず、組合員名簿や居住者名簿などの個人情報を扱う管理組合も「個人情報取扱事業者」
になるということです。
「個人情報取扱事業者」は、様々な義務が課せられますが、利用目的を具体的に特定し、
個人データの漏えいや毀損の防止など安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなけれ
ばなりません。今回の改正に伴い、管理組合等はどう対応すべきでしょうか。
管理組合では、防災上等の観点から組合員や居住者名簿等を整えておくことは必須です。
現状は、やや保護に重点が置かれるあまり、適時更新されていないケースが見受けられま
す。個人情報の法の趣旨をよく理解し、個人情報の活用と保護との両者のバランスを取る
ことが必要になるでしょう。
公益財団法人マンション管理センターは昨年1月、
「マンション管理組合で作成する名簿
の取り扱いに関する細則について」を発行しており、「区分所有者」「居住者」「要援護者」
の各使用細則のモデルを提示、各名簿の作成にあたっての留意点、取扱いルールなどをま
とめています。
また、一般社団法人マンション管理業協会発行の「マンション管理業における個人情報
保護ガイドライン」は、管理会社における組合員等に関する個人情報の適切な取扱いにつ
いて、管理実務 Q&A、各種書式例を掲載しています。
個人情報保護委員会は、小規模事業者の事業活動が円滑に行われるよう配慮することを
定めています。同委員会は公開した政令案と規則案等について意見募集を行い、年内まで
には結果を公表するとしています。また HP には、「会員名簿を作るときの注意事項」が掲
載されています。
「会員名簿を作るときの注意事項」
パブリックコメントと結果
www.ppc.go.jp/files/pdf/meibo_sakusei.pdf
http://www.ppc.go.jp/news/public-comment/
一般社団法人愛媛県マンション管理士会
◇空き駐車場問題対策
ここ数年、都市部のマンションでは、駐車場の空きスペースが目立ってきています。そ
の主な要因として、交通機関の整備、居住者の高齢化に伴う車離れがあります。多くのマ
ンションが、駐車場収入を管理費や修繕積立金に充当していて、駐車場収入が減少すると
管理費や修繕積立金が不足し、管理組合の会計を圧迫することが懸念されます。特に機械
式駐車場の場合は、維持管理費がかさむため、駐車場が空いてしまうと保守や修繕の資金
すらまかなえないという事態にもなりかねません。
空き駐車場対策の一例として、
「使用料を見直す。」
「駐車場そのものを縮小する。」
「マン
ション入居者以外の人に貸し出す。」「用途を変更する。」といった方法が考えられます。
これまで、マンション管理組合の空き駐車場の外部貸出の検討において、法人税の課税
問題(課税基準の曖昧)がネックとなっていました。しかし、国 税 庁 が 2012年 、組 合 員
が 優 先 し て 駐 車 場 を 使 え る な ら 外 部 使 用 の み に 課 税 す る 見 解 を 公 表 し 、課 税 対 象
が 明 確 に な り 、駐 車 場 運 営 会 社 は マ ン シ ョ ン の 空 き 駐 車 場 を 新 規 の 収 益 物 件 と し
て 注 目 し 始 め ま し た 。首 都 圏 の マ ン シ ョ ン で は 、空 き 駐 車 場 を サ ブ リ ー ス( 一 括
借 上 げ 、賃 料 保 証 )す る こ と で 、賃 料 収 入 を 得 て 修 繕 積 立 金 不 足 を 解 消 し た と こ
ろもあるようです。
外部貸出で気になるのが、セキュリティーの問題です。居住者以外がマンションに出入
りすることになるため、防犯や居住者と外部利用者のトラブル防止などの対策が必要にな
ります。課税面がクリアになっても、収入賃料から法人税等を支払い、会計や税務申告を
専門家に依頼すれば、さらに費用がかかることになります。
まずは、マンションの状況を調査・把握してから、細かなシミュレーションを行い、さ
まざまな解決策を組み合わせて検討することが大事です。
(国税庁HP:マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/bunshokaito/hojin/120117/besshi.htm
◇28 年度愛媛県マンション管理基礎セミナー報告
10 月 23 日(日)アイテム愛媛にて、マンション管理基礎セミナーが開催されました。
第 1 部では、公益財団法人マンション管理センターの大阪支部長 長田康夫氏から、5 年
ぶりに改正のあった「マンション標準管理規約」についてご講演をいただきました。長田
氏からは、どういった背景で今回の改定が行われたのか、また改定のポイント(外部専門
家の活用、コミュニティ条項の再整理、暴力団等の排除規定、災害時の場合の管理組合の
意思決定、管理費滞納に対する措置等)について解説がありました。
第 2 部では、当会会長 宮岡 健氏から、
「大規模修繕工事は管理組合主導でできる」と題
して大規模修繕工事の発注形態(設計管理方式・責任施工方式)と工事の進め方について
解説がありました。マンションは、老朽化に伴い修繕に係る費用が増加していきます。経
費削減のためにも建物の現況を確認することが重要です。建物を知らずしては修繕計画の
立てようがないことも事実です。宮岡氏は「他人任せにしないで自分達の目で現況確認を
し、それぞれの発注形態のメリットを活かした工事を進めることは可能です。専門家との
相談の中で、管理組合の実態にあった修繕の方法を考察されてはいかがでしょうか。」と述
べ、
「建物を知ることが資産価値の維持に繋がるものである。」とし、講演は終了しました。